レーヴァティン
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第四十八話 バイキングの戦いその八
「それもそうか」
「ああ、まあそれでもエストニア位だとな」
「いいか」
「そういうことだろうな」
こうした話をしてだった、芳直はまた自身の鎚を見た。そうして今度はこんなことを言った。
「俺っちの鎚の威力は見たよな」
「巨人も一撃だったな」
「あの連中位はな」
それこそとだ、芳直は笑って久志に話した。
「本当に一撃だぜ」
「そうみたいだな」
「頭打ったらそれでな」
「まさに一撃か」
「そうなんだよ、だからこれまでな」
これまでの戦いではというのだ。
「巨人に後れを取ったことはないぜ」
「それは何よりだな」
「だからこれからはな」
「ああ、頼りにさせてもらうな」
久志は芳直に笑って応えた。
「是非な」
「そうしてくれよ」
「そのことはわかりましたが」
今度は順一が芳直に聞いてきた。
「貴方はバイキングですが」
「それがどうかしたのかい?」
「兜に角がありますね」
「ああ、これな」
牛を思わせる、大抵の日本人が連想するバイキングのイメージだ。
「本当は、だよな」
「バイキングは実用性を重んじますので」
「余計な飾りはしないんだよな」
「それでも貴方は」
「ファっションだよ」
笑ってだ、芳直は答えた。
「それでだよ」
「付けてますか」
「そうなんだよ」
「そうでしたか」
「変だって言われたよ」
「バイキングの人達には」
「うん、かなりね」
そうだったというのだ。
「何で角を付けるのかって」
「邪魔ではないか等」
「言われたよ」
そうもというのだ。
「けれどやっぱりな」
「イメージとしてはですね」
「バイキングはそれだろ」
自分の角を指差しての言葉だった。
「これがないとな」
「バイキングではない」
「そう思ってな」
「付けられたのですね」
「そうさ、気に入ってるぜ」
実際にという言葉だった。
「俺っちはな」
「そうなのですね」
「ああ、かなりな」
「というか何で角が付いたんだ」
久志はそのイメージの中のバイキングを思い出して言った。
「本当はなかったなんて俺も最初知らなかったぜ」
「それ何でだろうね」
「今じゃバイキングイコール角だけれどな」
「逆にリアルじゃ角がないなんてね」
「そっちの方が驚いたぜ」
むしとというのだ。
「本当にな」
「だよね、俺っちもだよ」
「だよな、それは御前もだったんだな」
「そうだよ、だから付けたんだよ」
他のバイキング達と違ってだ。
「あえてな」
「成程な」
「似合ってるよな、それで」
「ああ、いい感じだぜ」
久志は笑って答えた。
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