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転生とらぶる

作者:青竹
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番外編068話 if ゲート編 04話

 
前書き
転生とらぶる設定集にて、 話数での具体的なタイトルを更新しました。
鏡あきらさん、ありがとうございます。 

 
 ムラタとの模擬戦が終わると、俺達はエアバスで次の目的地に向かう。
 伊丹がエルフと一緒に写真を撮ったり、栗林が色々とショックを受けていたり、銃火器が全く役に立たないといった俺達に役人が驚愕の視線を向けていたりといった風に色々とあったが、それはそれ。

「アルマー代表、次は一体どこに?」

 既に色々な意味で許容量がギリギリらしい役人が、恐る恐るといった様子で尋ねてくる。

「俺達シャドウミラーの最大の特徴の場所……といったところか」
「その、最大の特徴というのは、先程の戦い以上という意味で?」
「そうだな。さっきのは、あくまでもおまけに近い」

 銃弾を日本刀で斬るといった行為が普通に行われる戦いをおまけと言われたのがショックだったのか、日本の役人はそれ以上は何も言わない。
 伊丹を始めとした他の面々も、今は何を言うでもなく、物珍しそうに外の景色を眺めているところだ。
 そうして20分程が経つと、やがて周囲には建物の類が全くなくなってくる。

「エザリア、向こうの用意は?」
「ええ、準備は整っているわ」

 そう言葉を交わし……やがて、エアバスは周囲に何もない場所で動きを止める。
 日本からの一行に対し、コジローがどこか哀れみの籠もった視線を向けていたのは……恐らく、これから受ける衝撃がどれ程のものなのかを知っているからだろう。

「さて、到着だ。降りてくれ」

 俺の言葉に従って全員がエアバスから降りるが……日本の面々の表情に浮かぶのは、困惑。
 まぁ、本当に何もない場所なのだから、それも当然だろう。

「アクセル代表? 一体ここで何を……?」

 普通であれば、こういう事態になったら自分が騙されたかもしれないと、それこそ命の危機だと考えてもおかしくはないのだが、役人にそんな様子は見られない。
 これは俺達が騙さないと信じているからか……それとも、完全な平和ボケか。
 何となく後者のような気がしながらも、俺は空の向こうを指さす。
 ……ホワイトスターの中である以上、空という表現は相応しくないのかもしれないが、取りあえず便宜上は空でいいだろう。
 そんな俺の行動に、日本からの一行も俺の指さす方に視線を向け……

「……え?」

 誰の口から出たのかは分からないが、そんな間の抜けた声が出る。
 当然だろう。俺の指さした方からやって来たのは、ヴァイスセイヴァー、ラピエサージュ、ヒュッケバインmk-Ⅱ、ヒュッケバインmk-Ⅲ、アシュセイヴァー、シャドウ……といった、人型機動兵器だったのだから。
 日本では開発すらされておらず、寧ろナンセンスな兵器だと判断されているだろう、2足歩行型ロボット。
 それでいて、常に一定数のファンを作る人型機動兵器。
 そんな存在が普通に空を飛んでいるのだから、それで驚くなという方が無理だろう。
 いやまぁ、門世界と繋がっている門をメギロートが守っているのを考えれば、こっちがロボットの類を持っていても不思議ではないと考えてもおかしくはなかったんだが……ああ、でもこうして見る限りではそこまで考えが及ばなかったのか? それとも、単純にそう思いたくはなかったのか。
 ともあれ、シャドウミラーの機体が動いているのを見た日本の面々は、ただ唖然としてそれを見ているしか出来ない。
 そうして機体が俺達の前に着地すると、やがて模擬戦を始める。
 もっとも、演習プログラムを用いての模擬戦である以上、ビームや重力波の類は最低の威力でだが。
 ……一応模擬戦プログラムを使えば、ビームやら何やらも実際には使わないで模擬戦出来るんだが……この辺りは、それぞれの趣味が多分に影響している。
 最低威力まで弱めたビームの類は、食らっても特に問題はないので、普通にビームとかを使って模擬戦をする奴もいれば、プログラムの方が簡単に出来て好きだという奴もいるのだが……今日は日本の面々に対してシャドウミラーがどのような存在なのかを見せる、おもてなしをする必要があるので、実際にビームとかを使って貰った。
 こういう時、シャドウミラーの機体は実弾兵器を殆ど使ってないから、流れ弾とか気にしなくてもいい分、楽だよな。
 当然模擬戦の場合に実弾兵器はペイント弾の類を使うのだが、ペイント弾であっても、日本の人間辺りであれば当たった場合致命傷になる事もある筈だ。
 だが、基本的にシャドウミラーの機体というのは、ビームや重力波砲の類が主力となっている。
 まぁ、シャドウミラー……国じゃなくて部隊だった頃に使っていた実弾兵器の類はあるので、実弾兵器が全くない訳じゃないし、S-11ミサイルの類もあるのだが。

「うわ……ビームだ……」

 誰が呟いたのか、ビームが放たれたのを見ると、そんな声が響く。
 日本では、ビームは勿論だがレールガンの類もまだ存在していないらしいからな。
 まさにここで見る事が出来る光景は、驚愕の一言以外にはないだろう。

「その……アルマー代表。ビームはともかく、時々放たれている黒いのは何でしょう?」

 恐る恐るといった風に伊丹が尋ねてくる。
 まぁ、ビームは見ればすぐに分かるが、黒いの……重力波砲の類は見ても分かれという方が無理か。

「あれは重力波砲の類だな」
『重力波砲!?』

 伊丹の質問に答える声を日本の全員が聞いていたのだろう。
 殆ど同時に驚愕の声を漏らす。

「そ、その……アルマー代表。シャドウミラーは、もしかして重力を自由に操ったりといった事も出来るのですか?」

 伊丹を押しのけ、役人が俺に尋ねてくる。
 その役人の表情は、切羽詰まっている……と表現しても、きっと間違いではないだろう。
 日本の他の面々も、ビームやらPTやらを見た時以上に驚きを示していた。

「ああ。シャドウミラーは重力……ブラックホールについての研究も進んでいる。あのPTとかに使われている動力炉も、ブラックホールを利用したブラックホールエンジンだしな」

 そう告げると、返ってきたのは沈黙のみ。
 どうやら、これまでの中でも最大限に向こうを驚かせてしまったらしい。
 ……ブラックホールだと考えれば、当然か。
 向こうの世界の技術レベルでは、到底考えられない事だろうし。
 いや、そもそも俺達の出身世界であっても、ブラックホールエンジンは非常に希少性が高い代物だった。
 ヒュッケバインの事故とかあったから、危険視もされてたしな。
 だが、そこはシャドウミラーの技術班。
 俺が入手してきた機体や情報等から分析し、研究し、今ではブラックホールエンジンはシャドウミラーにおいて普通の代物となってしまったのだ。
 元々、シャドウミラーでは重力関係の技術って、そこまで研究されてなかったんだけどな。

「……」

 役人は、俺の言葉にただ唖然とするだけしか出来ない。
 恐らくだが、日本の戦力とどれくらいの戦力比であるのか……といったことを考えているのだろう。
 ちなみに、SEED世界の話だが、最初期のMSジンとMA――という名の戦闘機――の戦力比は、1:3、もしくは1:5と言われる事もある。
 SEED世界は当然のように日本よりも技術的には進んでおり、戦闘機の能力として考えてもメビウスの方が間違いなく上だろう。
 同時に、ザフトのジンとシャドウミラーの主力量産機のシャドウの性能差は、それこそ比較にならないだけのものがある。
 もっとも、メビウスはあくまで宇宙用の戦闘機であって、大気圏内で使われている戦闘機と軽々しく同一視は出来ないような気がしないでもないが。
 そう考えれば、日本の戦闘機とシャドウの戦力比はどれくらいになるのやら。
 ああ、でもバッタとかなら自衛隊の戦力でもどうにか出来るか?
 もっとも、ディストーションフィールドを持っているバッタを相手だけに、バルカンとかそういうのではなく、ミサイルとかが必要になるだろうが。
 そして日本で使っているミサイルは、安くても数千万……場合によっては億単位の値段がした筈だ。
 バッタの数を考えれば、日本にとっては悪夢だろう。

「ちなみに……」

 そう告げると、役人や伊丹達が我に返ってこっちに視線を向けてくる。
 まぁ、空中で行われている模擬戦の方にも意識が向けられているのは間違いないが。

「アルヌスの丘で門を守る為にいたメギロート……カブト虫型の無人機だが、あの機体は数万……いや、数十万、もしくはそれ以上の数が存在している。俺でも実際にどれだけの数がいるのか把握していないくらいにはな」

 これは脅しでも何でもなく、完全なる事実だ。
 シャドウミラーの中で有人機の主力機がシャドウだが、無人機の主力機として存在するメギロート。
 バリアの類がある訳でもなく、攻撃力もシャドウには遠く及ばない機体だが、それでも一定以上の戦闘力はあり、撃破されてもこっちにとっては全く被害がない――メギロートが1機減るのは一応被害と言えるが――のだ。
 おまけにメギロートを製造するにも、ホワイトスターにある3つの生産ラインが自動的に作り出してくれるので、特に人が介入する予定もない。
 一応何かあった時の為に量産型Wが数人待機しているが、その程度だ。
 つまり、そんな状況で24時間延々とメギロートを作り続ける事が出来る。
 おまけにホワイトスターと関係のある世界に次々と送り込み、例えばSEED世界ではオーブが実質的な世界の支配者としての後ろ盾となっていったり、マブラヴ世界では火星でBETAの間引きやG元素の奪取といった行為、それ以外にも労働力として便利に使われている。
 今はバッタも労働力として多く使われているが、やはり大きな仕事をするとなれば、メギロートの方が役に立つ。
 ましてや、今の状況ではメギロートを作る為の材料も各世界から様々な産業廃棄物やら粗大ゴミやらBETAの死骸やらスペースデブリやら、キブツに突っ込む材料に事欠かない。
 あー……今の日本にこっちが何も欲しい物がないという風に思っていたけど、ゴミとそういうのを格安の処理料金を貰って引き取るという風にすれば、門世界の日本でもそれなりに資源国として使えるか?
 別になければないでいいんだが、あればあっただけ、そういう国はシャドウミラーとしてありがたい訳で。
 ともあれ、そんな訳でメギロートは幾ら作っても問題のない状況になっている訳だ。

「あ、あががが……」

 役人の口から奇妙な言葉が聞こえたかと思えば、何だか魂の抜けたような表情をしているようにすら思えた。

「その……一応、本当に一応聞きますけど、日本に機動兵器の輸出とかは……」

 恐る恐るといった様子で伊丹が尋ねてくるが、俺はそれに首を振る。

「残念だが、兵器の輸出はシャドウミラーとして認めていない」
「そうですか、残念です」

 口ではそう言っているものの、伊丹の表情は言葉程に残念そうな様子を見せてはいない。
 元から、シャドウミラーの兵器を輸入出来るとは思っていなかったのだろう。
 だが、これについては諦めて貰うしかない。
 基本的に、シャドウミラーの兵器を別の世界に……そして異世界間同士でも、兵器の輸出は行っていないのだから。
 勿論マブラヴ世界の時のように、少数の例外はあるのだが。
 だが、門世界の日本にとっては、別にBETAのように人類の脅威がいる訳でもないのだから、例外を認める必要もない。
 帝国という敵国はあれど、ぶっちゃけ帝国は日本が本気になればすぐに殲滅出来る程度の戦力しかもってないし。
 それを出来るのにやらないというのは、日本の都合だろう。
 である以上、マブラヴ世界のようにてこ入れをする必要はない。

「兵器以外の物は輸入とか輸出も出来るぞ。……そうだな、お前達にとって興味深いのは……次に行く場所だな」

 そう言い、実働班の模擬戦を見終わると、次の場所に向かう事にする。
 さて、次は一体どれだけ驚いて貰えるかな?
 そんな悪戯心を抱きながら。





「……ここは、牧場、ですか?」

 黒川の言葉に意外そうな響きがある。
 まぁ、これまでは俺とムラタの模擬戦、PTの模擬戦といった風に、こっちの強さを見せつけるような……それこそ、砲艦外交と呼ぶのに相応しい光景だけを見せたのだから、疑問に思っても当然だろう。

「ああ、ここは紛れもない牧場だ。ほら、向こうを見てみろ」

 日本の面々に、牛や馬、羊、山羊、ダチョウ……といったように、様々な動物がいる平和的な光景を見せる。
 元はオーブから色々と動物を入手していたのだが、今では様々な世界から動物を入手する事が可能になっており、また量産型Wの方でも牧畜の知識が蓄積しており、問題なく牧場を経営出来るようになっている。

「えっと、ですけど……私達にとって興味深いもの、ですよね?」

 疑問を口にする黒川に、俺は上に……上空に視線を向ける。
 そこでは、ワイバーンが悠々と空を飛んでいる光景があった。

「……あれ、何です?」
「ワイバーンだ」
『ええええええええええええええええええええええええええええええええええ!?』

 あっさりとそう告げた俺の言葉に、黒川……いや、他の面々も驚愕の声を上げるのだった。
 いや、帝国軍と戦ったんなら、ワイバーンに乗った竜騎士とかいたんじゃないのか? 
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