ドリトル先生と和歌山の海と山
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第一幕その七
「何か出家されたりしてるよね」
「お坊さんになられてるよね」
「先生のお話聞いてたらね」
「それも普通に」
「そう、キリスト教で言うと日本の天皇はローマ皇帝とローマ教皇を兼ねている様な立場におられるけれどね」
日本の主であると共に神道の頂点におられる方だというのです。
「東欧の皇帝教皇主義にもなるかな」
「一つの宗教の頂点でもあるんだね」
「日本の神道の」
「それでいて出家もするんだね」
「仏教のお坊さんにもなられるんだ」
「その場合は譲位してからね」
他の皇室の方に位をお譲りしてです。
「上皇になられてね」
「それからだね」
「出家されてなのね」
「お坊さんになられるのね」
「この場合は法皇っていうんだ」
こちらの呼び方になるというのです。
「日本の歴史では結構出て来るね」
「あっ、白河法皇とか後白河法皇とか」
「平安時代の帝の方々ね」
「息子さんやお孫さんに位を譲られて」
「それで出家されて」
「そうなられるんだ、それで神道も仏教も両方信仰されるんだ」
「凄いね」
思わずこう言ったジップでした。
「二つの宗教を帝自ら同時に信仰されるなんて」
「そんな国も滅多にないわよ」
ガブガブは欧州の考えから言います。
「それもそれが普通なんて」
「魔法使いも悪くされないでね」
ダブダブはこのことから思うのでした。
「しかも仏教に色々な宗派があって」
「それの一つ一つが違っても異端にもなってないね」
トートーはこのことを指摘しました。
「これも凄いよ」
「異端ってなるとね」
「欧州じゃ魔女と同じだったからね」
オシツオサレツも欧州のことから考えるのでした。
「何されるかわからなかったよ」
「異端審問とか十字軍とかね」
「そういうのが一切なくてね」
チーチーも言います。
「宗教的に寛容なのはいいことだよ」
「うん、凄くわかりにくいけれど」
「とても寛容なのはわかるしね」
チープサイドの家族も言います。
「そのことはとてもいいわ」
「そうだよね、日本のいいところの一つだよ」
「空海さんは偉大な魔法使いでね」
ポリネシアは空海さんをこう考えていました。
「それ以上に素晴らしい人だったのね」
「そのこともわかってきたよ」
老馬は先生のお話を聞いているうちにこう思えてきました。
「段々ね」
「真言宗のことも空海さんのことも日本の仏教のことも」
最後に言ったのはホワイティでした。
「少しだけれど僕達も理解出来てきたかな」
「僕もイギリスにいた時に日本の宗教のことを聞いてわからなかったよ」
先生もそうだったというのです。
「何て不思議な国だって思ったよ」
「実際に不思議だしね」
「もう何が何かわからない位に」
「私達も暫くこの国にいるけれど」
「それでもね」
「わからないことまだまだ多いし」
「宗教のことでも」
動物の皆もしみじみと思うのでした。
「何かとね」
「わからな過ぎてね」
「訳がわからなくなることも多いし」
「このこともかなり訳がわからないよ」
「何で神道の一番偉い人が仏教も信仰出来るか」
「しかもお坊さんにまでなるなんて」
「尚且つね。この前奈良に行った時のことだけれど」
その時のお話をする先生でした。
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