| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

レーヴァティン

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第四十八話 バイキングの戦いその六

「それは」
「ああ、吹雪吐いたし術も使ったぜ」
「強かったんだね」
「ああ、相当にな。けれどな」
「そのドラゴンを降参させて」
「貰ったんだよ」
 人の背丈程の長さで巨大な鎚、そのウコンバサラをだ。
「目出度くな」
「そうだったんだね」
「それで持ってるんだよ」
「その事情はわかったよ」
「同じ北欧でも違うからな」
 芳直自身もこう言った。
「それぞれの地域でな」
「はい、よく北欧と一括りで言われますが」
 それでもと言う順一だった。
「実は国ごとで違います」
「ノルウェーにデンマーク、スウェーデン、アイスランドに」
「フぃンランドもです」
 こう芳直に話した、一人だけ自分の船にいる彼に。
「そして最近はエストニアもでしょうか」
「エストニアは北欧だったのか」
「違いますか?」
 今一つ要領を得ていない返事だった、順一にしては珍しいことに。
「あちらもでは」
「エストニアは北欧だったのか」
「そう聞いていますが」
「誰から?」
「同じ学部にエストニアからの方がおられまして」
「その人から聞いたんだ」
「はい」
 そうだとだ、順一は芳直に答えた。
「そうですが」
「東欧だろ、エストニアは」
 こう言ったのは正だった。
「そっちの地域になるだろ」
「そうなのですか?」
「俺はそう思うけれどな」
「北欧と言われましたが」
 順一は正に今一つ要領を得ない顔で返した。
「私は確かに」
「そうか?俺は東欧って言われたぞ」
「どなたにでしょうか」
「こっちの学部にいるラトビアの奴にな」
「エストニアの隣の」
「ああ、あの国からの奴にな」
「では隣国のエストニアも」
 この国もというのだ。
「北欧でしょうか」
「そうだろ」
「その方は力説しておられますが」
「エストニアは北欧だってか」
「それもかなり」
「そうなんだな」
「それで私もと思っていますが」
 その彼の話を聞いてというのだ。
「では東欧ですか」
「傍違うよ」
 こう言ったのは淳二だった。
「北欧の国は全部十字だよね」
「ああ、そうだよな」
 正は淳二のその言葉に頷いた。
「北欧はな」
「五国共ね」
 そのノルウェー、デンマーク、スウェーデン、アイスランド、フィンランドの五ヶ国のことである。
「国旗は十字だね」
「そうだよな」
「けれどエストニアはね」
 この国はというと。
「三色の旗だよね」
「だよな」
「だからね」
「エストニアは北欧じゃないか」
「東欧じゃないの?」
 淳二はこちらだった。
「やっぱり」
「そうなるのか?」
「多分ね、おいらが思うには」
「拙者は北欧だと思います」
 今度は進太が言ってきた。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧