おぢばにおかえり
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115部分:第十六話 色々と大変ですその二
第十六話 色々と大変ですその二
「見つかって怒られたわ」
「そうでしょうね」
それはわかります。やっぱりっていうか。
「立たされたわ」
でしょうね。そんなことしたら。
「ちっちも気をつけなさいよ」
「はあ」
「うちの先生は厳しいしね」
「厳しいですか?」
「そうよ、厳しいわよ」
それ以前の問題じゃないかしらと思うんですけれど先輩は違うお考えみたいです。それにしてもこの先輩も色々苦労されているんだと思いました。背のことで。
「何かとね」
「寮は厳しいですよね」
「あそこは自衛隊よ」
何か凄い表現ですけれど否定できませんでした。
「厳しいってレベルじゃないわよ」
「昔はもっと凄かったんですよね」
「海軍みたいだったらしいわね。私実家広島じゃない」
「ええ」
広島といえば海軍です。江田島がありますから。他には広島東洋カープとか牡蠣ってイメージがあります。広島には奥華の系列の教会も結構あって行くことが多かったんです。
「だからよく聞いたのよね」
「それで海軍っていうとどんなのですか?」
「鬼ね」
一言でした。
「滅茶苦茶凄かったんだって」
「東寮よりもですか」
それを聞いても実感できません。東寮よりもずっときついって何なんでしょう。
「ずっとみたいよ」
「うわ・・・・・・」
話を聞いてびっくりです。何か海軍って名前を聞いていて凄く厳しいんだっていうのは感じたりしていたしたけれどそれでもです。
「凄かったんですね、本当に」
「正直東寮もかなりだけれどね」
「北寮より厳しいみたいですよ」
「ああ、それね」
これは先輩も御存知でした。
「男同士より女同士の方が凄くなるのよね」
「ですよね」
「これって男の子からは信じられないそうよ」
私にはここがわかりません。男の子の方が厳しいんじゃないかしらって思うんですけれど実際は違います。女の子の方が何かときついんです。
「まあ北寮も先輩は凄いらしいけれどね」
「そうらしいですね」
それでも、です。
「それでも東寮よりはましよ」
「東寮に耐えられたら何処でもいけるそうですね」
「それは私も言われたわ」
言い換えればそこまで厳しいってことなんですけれど。
「だから頑張れって。一年の頃は毎日泣いていたけれど」
「毎日、ですか」
「そう、毎日だったわ」
これもよくある話で。私の友達にもよく泣く娘がいます。
「それこそね」
「そうだったんですか」
「中学校出ていきなりよ」
そう、本当にいきなりなんですよね。気分的にも時間的にも。
「寂しいの何のってなかったわ」
「どうしてもそうなりますよね」
私もやっぱり寂しくて仕方ないです。それは否定できません。
「三年ですか」
「もっといるんじゃないの?」
「もっと!?」
「だから。高校出た後よ」
かなり未来のことを言われた気になりました。そんな未来のことを言われても今一つ実感がないっていうのが本音なんですけれど。
「やっぱりあれでしょ?おぢばに残るつもりよね」
「天理大学受けるつもりです」
正直にこう言いました。
「じゃあやっぱり」
「ちっちの実家の教会って神戸だったっけ」
皆それを知っています。佐野先輩の広島よりも近いですけれどそれでもそうそう簡単に通える距離じゃないです。そこんところは大阪の人達が羨ましかったりします。
「はい、そうです」
「だったらここに残るわよね」
それをまた言われました。
「東寮から出ても」
「詰所に入るんでしょうか」
私は自然とこう考えました。詰所はその為にある場所ですし若しおぢばに残るとなったらやっぱりそこに入ることになります。これは皆そうです。
「それだと」
「そうなるわよね、やっぱり」
「詰所だったらまあ」
私はそれは抵抗がありませんでした。それこそもう子供の頃から何度も泊まっていますし知っている人ばかりですし。あそこだと全然平気です。
「抵抗ないです」
「やっぱり詰所は落ち着くのね」
「はい」
先輩の言葉に頷きます。
「東寮はやっぱり厳しいですし」
「それがあるのとないのとで全然違うわよね」
「先輩に言う言葉じゃないですけれど」
そうなんです。あの規則の厳しさが特になんです。
「そうなんです」
「詰所によって違うけれどね」
大教会ごとにあるんで本当にそれぞれです。私のいる奥華のそれは皆ざっくばらんで過ごし易いです。だから私も落ち着くんです。
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