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名探偵と料理人

作者:げんじー
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第四十八話 -隠して急いで省略、西の名探偵vs.英語教師-

 
前書き
このお話は第33,34巻が元になっています。 

 
「このthatは、関係代名詞として使われていまース。そのため、この文章は…」

 

今日も今日とて高校生活。今はジョディ先生の英語の授業中だ。こと、言語に関してはある意味反則の才能のお蔭で苦労せずに済んでいるために苦にしていない。苦にしていないが、最近ジョディ先生の俺を見る目にたまに疑念と殺気が籠っているように感じるのは気のせいだろうか?俺なんかしたかね。授業中に気を抜いているのがばれたのかな。

 

「Hey!毛利サーン!」

「え?」

「ちゃんと私の授業聞いてましたかー?」

「え?あ、はい!」

 

おや、珍しい。蘭ちゃんが部活が忙しいわけでもないのに授業中に注意を受けるなんて。部活が忙しくて疲れている時でも授業をしている先生に気取られないように休んでいるのにな。

 

「じゃあ、黒板のあのマーク、何の事か分かりますカー?」

「×印…いやx…かな?」

 

その言葉にクラスの中で笑いが起こる。まあ雑談だったから意味なんて書いてないしね。思春期の高校生には興味を引く内容だったし、答えられない=聞いてないだからクラスメイトも大うけだ。

 

「蘭、あれはね…」

 

キーンコーン――

 

「Ah~Time is up!毛利サンには次の私の授業までに考えておいて貰いましょーう!ちゃんと答え、見つけなきゃダメね!レディーなら知ってて損しなーいキュートなマークでーすから!…OK?」

「は、はい…」

「ソレから、クラスの皆に教えてもらうのはなしデースよ?」

「え?」

「毛利サーンのキュートな答え、期待してますからネー?」

 

園子ちゃんが助け舟を出そうとしていたみたいだが運がいいのか悪いのかチャイムに遮られて蘭ちゃんだけに特別な宿題が与えられた。自分で考えろとは…蘭ちゃんが自力で思いつくとは思えないけどなあ…

それから出ていくときにさりげなく、一般人には分からないレベルで俺を一瞥して出ていくジョディ先生。だから俺は何をしたんでせう…?

 

 

――

 

 

「x?それに何か特別な意味があるの?」

「うん!ジョディ先生が授業の余談で話したみたいなのよ。キュートなマークだって」

「無理無理!そんなガキンチョにわかるわけないわよ」

「でもコナン君、時々変な事知ってるし」

(エックス、X、x…)

 

ああ、新ちゃんが思案に入っちゃったな。知っていたらすぐに思い当たると思うけど、これは変な方向に思考が行ってるな…それにしてもいつも思うが高校生の下校時間と小学生の下校時間って被るもんだっけか?俺が帝丹小学校に行っていたときはもっと早く終わっていたと思うんだが。

 

「それにしても蘭ちゃん、授業中に上の空って珍しいね」

「え、あ、うん。ちょっと黒いニット帽の男の人の事を考えてて…」

「あら?それって京極さん事ですか?ウチはチョコレートを作りに行った時が初めましてやったけど」

「ええええええ!?そうなの、蘭!?まさか新一君から乗り換える気!?」

「ち、違う違う!京極さんとは別の人よ!別の人なんだけど…容姿だけが浮かんできてどこであったのか、誰なのかも思い出せないのよ」

「それって街で一瞬すれちがった人の事を思い出しているんじゃないの?」

「ううん。何かあった筈なんだけど、それ丸ごと忘れている感じで…思い出さない方がいいって心がブレーキをかけているような…でも思い出さないといけない気がして…」

 

黒いニット帽…黒かどうかは忘れてしまったけど赤井さんが今の時期のトレードマークにしているのもニット帽だったよな?でも蘭ちゃんはどこであったんだ?てか、そもそも赤井さんかどうかも分からないか。

 

「…あ、コナン君!ジョディ先生はそのマークは女なら知っていて得するって言ってたわよ!」

(女…?そう言えば母さんが手紙の終わりに良く書いてたな…xxxって。でも母さんも教えてくれなかったな、意味)

「でも、最近のジョディ先生の授業変わったと思わない?」

「そやねー。赴任して最初の頃は型通りに当てはめた授業やったなー」

「私らからしてみれば退屈な真面目一辺倒の授業だったけど今は教科書とかには載ってない本場の砕けた英語を教えてくれたりいい感じよねー!」

「そういえば、女子からも人気出始めているんだってね?」

「そうそう!真面目で堅物なのに色気ムンムンっていうのに女子連中は反感買ってたんだけど、授業以外でも砕けた感じで接してくれるようになって他の先生にないカンジが大人の魅力!とかでさ!」

「Hi!おだててもテストの点数は甘くしませんよー!」

「わ!」

「せ、先生!」

 

話していた俺達の後ろから割り込んできたのは話題に上がっていたジョディ先生だった。気づいてなかった園子ちゃんと蘭ちゃんは素で吃驚してる。

 

「…ジョディ先生、いきなり声かけないで上げてください。2人が吃驚してますよ」

「Oh,それはごめんなさいですねー…でもMr緋勇はそんなに驚いていないんですねー?」

 

そう言って目を細めるジョディ先生。

 

「まあ、これでも古武術を修めていますので。後ろの気配を読むのは意識しなくても自然とやっちゃうんです。それに紅葉も気づいてましたよ?」

「わお。ほんとーですかー?」

「え、ええ。ウチも最近どんどん感覚が鋭くなってますし…ただ誰が来るかまではわからへんですけど」

「んんー。ずいぶんとFantasticなカップルですねー!…そう言えば毛利サン!xの意味わかりましたかー?」

「いえ、全然…」

「じゃあ、新一君メールして聞いてみようよ。内容は、そうね…「答えが分かったら私の大切なxをあげる!」って言うのはどう?」

「おいおい、園子ちゃん…」

「Oh!それはグッドアイディアねー!」

「ウチも新一君の反応見てみたいなー。ぐっどあいでぃあやで、園子ちゃん!」

 

ありゃ。女性陣がノリノリになっちゃったな。これは俺がどうこう言ってもメールに「xxx」がつくな…あれ?新ちゃんへのメールなら別にいいんじゃないか?

 

「そ、それよりジョディ先生のマンションってこっちと逆方向なんじゃ?」

「ちょっと三人に聴きたいことがあるんでーす!付き合ってくれますかー?」

 

 

――

 

 

そう言われて連れて行かれたのはとあるデパートに入っている喫茶店だった。ジョディ先生が聞きたいこととは最近帝丹高校の学生がバスや電車で痴漢の被害が広がっているという事で、三人もそう言う被害にあっていないかという事だった。

紅葉は俺と歩いて帰るし、二人も遭ったことはないという。まあ蘭ちゃんは空手で、紅葉は護衛のペットが被害を受ける前に痴漢を排除するだろうから問題はないだろう。園子ちゃんは、園子ちゃんは…黙って痴漢されるタマじゃないし…ね?

 

「でも気を付けてくださーい。もしかしたらその相手は家の近くまでしつこく付きまとって、息をひそめて隙をうかがう恐ーい悪魔のようなストーカーかもしれませんか―らーねー?」

「帝丹高校の近くでそんな男がうろついていたら警備員につまみ出されますよ」

「せやせや。帝丹高校は私立ですし、ウチらが通ういうことでセキュリティも強化されてますよ?…そもそもウチには龍斗がいますし」

「私の家の周りでもそんな人見かけませんし…ねえコナン君?」

「あ、うん…」

「じゃあ、近くで怪しい人を見かけたらすぐに私に電話くださいねー」

「え?ジョディ先生にですか?…先生も女性ですし危ないんじゃないですか?(まあFBIの捜査官だし危ないことは無いんだろうけど)」

「Mr緋勇は紳士ですねー。でもだいじょーぶでーす!先生がアメリカ流のお仕置きをその性犯罪者にお見舞いしてあげマース!」

 

……女子高生組はのほほんとしているが、新ちゃんは気付いているよね?一生徒にそんな話をしているのはおかしいって。

 

 

――

 

 

その後は変な男性の変な会話が聞こえてきて、突然デパートが停電し電気が復旧したと同時に悲鳴がデパートに響き渡った。どうやら喫茶店の前にあるエスカレーターの階下で刺殺体が発見されたそうだ。

……なんだろう、幼馴染みたちがぐいぐいと警察に話しかけていくのを見ると何かこう…

 

「どないしたん、龍斗?」

「ああ、いや…蘭ちゃんや園子ちゃんが、相手が目暮警部…知り合いの警部さんとは言え事件現場でぐいぐい話しかけているのを見ると…」

「ああ。なんか遠くに言った感じがしますか?」

「まあね…あと随分図太くなったなって」

 

昔はあんなに自分から警察に歩み寄ったりはしていなかっただろうに。慣れって怖い。

殺された男性が、ジョディ先生曰く「ダイイングメッセジ」を「○×△」として残していたのでそれを解く謎解きが始まった。刺殺体の携帯のリダイヤルをしてみると喫茶店で声を張り上げていた男性の携帯へとかかった。そこから犯人の可能性になるリストがあがった。途中、千葉刑事が犯人の来ていた服を回収してきたので一応匂いは覚えておいた…が、新ちゃんもいるし活用する事はないだろう…びっくりしたのは高木刑事がxの意味を知っていたことかな。

 

 

――

 

 

犯人の目星がつき、目暮警部たちは○×△さん…国吉文太さんがいる会社へと向かった…新ちゃんも一緒に。

 

「Ah!もうこんな時間でーす!それにしても電話に行った毛利さーんおーそいでーすね?」

「もしかしたら電話で新一君にxの意味聞いているのかもよ!」

「じゃ、じゃあ。「私のxをあげる!」も言うたんかな!?」

「そうよそうよ!」

「いや、それはないんじゃ…」

「龍斗君の言う通り…なーにが私の大切なエックスを上げる、よ!」

「「「え?」」」

「高木刑事に聞いて来たわよ!xの意味!」

「あ、そう…?」

「大体ねえ、新一だってたとえ知ってても「xをあげる」なんて言われたら答えられないじゃない!」

「まあ、知るわけないよ。その手の情報にあの男は疎いし…」

「もう…あれ?コナン君は?」

 

俺は蘭ちゃんのその言葉に黙って上を指さした。目暮警部たちが犯人の確保に向かったこのビルの階上を。

その後、戻ってきた新ちゃんに事件が解決したことを聞いて俺達は帰路に立つことになった…新ちゃんもxの意味を知りたがっていたが、蘭ちゃんにxは「ダメ」という間違った意味を教えられていた…面白そうだから教えないでいようっと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もしもし…ええ。彼が母親の葬儀で娘と話していたという情報が入ってから私も注意して観察してみたけれど。あの子、只者じゃないわね。古武術を修めていると言っていたけれど、それにしては少々血生臭い感じがするわ……ええ、要注意人物として警戒は続けるわ」

 

 

 

=================================

 

 

 

 

「何!?毛利探偵が関わった事件の調査書が警視庁から盗まれた!?本当に高木刑事がそう言ってたのか!?」

「シーシー、大声出すなよ!…龍斗、どうだ?」

「…あー」

 

新ちゃんが俺に聴きたいのは哀ちゃんが聞いていないかどうか。彼女は今の所、地下のラボにいるし、もう一人は二階で息をひそめているし。

 

「大丈夫、彼女は地下にいるよ」

「そ、それで?もしかして盗んだのは…」

「ああ、奴らの仕業かもしれねーな。例の薬で殺したはずのオレが生きている噂を聞いて毛利小五郎の活躍に不審を持ったのならあり得ねえ話でもねえ…工藤新一が毛利小五郎に知恵入れしてるってな!」

 

んんー、実際どうなんだろうな。確かに小五郎さんの活躍と新ちゃんのコナンになった時期は重なっているけれど、世界中で暗躍している組織がわざわざ調書を盗むほどのことかな?彼らが警戒するのは警察機関で私立探偵まで回りくどいことをするんだろうか。それなら小五郎さんを殺して終わりな気がする。絶対阻止するけど。原作だと下手人は誰だったっけ?思い出せない…

 

「まあ、オレが遊園地で薬を飲まされた日と「眠りの小五郎」が出始めてたのが同時期だからな…」

「おいおい…」

「でも、さ。結局工藤新一は本当に姿を消しているし…たまーに俺が変装したりしてるからそれが噂の元になっているかもしれないから完全に否定しきれないけど…なんかごめん」

「いや、龍斗がいたずらに変装したことはねーし、そもそもお願いしてんのはオレだからな。龍斗が気に病む必要なねーよ。工藤新一が薬でガキになったなんてファンタジーな話、奴らが可能性としても気づくわけねえし、そもそも調書が奴らの仲間が盗んだかなんて決まったわけじゃねえしな」

「しかしのぉ…」

「でもまあ、おっちゃんを誰かが調べているのは確かだし…念のためってことで博士に頼みたいことがあんだけど…」

「……フン!都合のいい時だけヒトに頼りよって!頼むんならもっと頼りになるそこにいる龍斗君にでも頼んだらどうじゃ?」

 

ありゃ。なんだか博士が拗ねてる…お。哀ちゃんがあがってきたな。

 

「あ、もしかして調書が盗まれたことを内緒にしていたことを怒ってんのか?」

「フーンじゃ!」

「(フーンじゃって…)いや、博士?俺も調書盗まれたなんて初耳なんだけど?」

「え?そうなの?」

「怒るなよ博士。しゃーねーだろ?博士に話そうとした時、アイツが傍にいたんだから」

「アイツって哀君の事か?」

「ああ、この近辺で誰かが嗅ぎまわっているなんて聞いたらまたアイツ引きこもっちまうだろ?それにオレ、アイツと約束しちまったんだ。「ヤバくなったらオレがなんとかしてやっから心配すんな」って。だから無用な心配をかけるわけにはいかなくてよ」

 

あらら。よりにもよってここを盗み聞きされちゃうとはね。まあ、哀ちゃんも出会った当時から変わってきているようだし、ここは静観しましょうかね。聞いて損があるわけでもないし、何より気を配ってくれる他人の存在がいることを知るのは彼女にとってもいいことだと思うし。

 

「つーわけで、この事は灰原の耳には入れんじゃねーぞ!龍斗もだ。アイツ、見かけよりタフじゃねえからよ」

『(…バカ…)』

 

地下へと降りる階段の壁に寄り掛かった哀ちゃんが小声でバカと呟いたのが聞こえた。こりゃあ完全に聞かれてたね。タイヘンダナー新ちゃんは。あ、降りてきた。

 

「でも、ひっかかるんだよなァ」

「何が?」

「その泥棒、盗んだ調書をわざわざ送り返してきやがったんだ。わざわざ警視庁までな」

「それは…また色んな意図が考えられるね」

「なにがじゃ?調べ終わったから返しただけじゃろ?」

「バーロ、用が済んだんなら捨てちまえばいいだろ?燃やしてしまってもいい。なんでわざわざ不審がらせて警戒させなきゃいけねえんだ?」

「たしかにそうじゃの」

「俺が真っ先に思い浮かんだのは警察への挑発かなあ。「お借りしたものはお返しします、無能な警察さん」みたいな」

「む、無能って。龍斗も結構辛辣なところあるよな…あとは、これでこっちの手の内を丸裸にしたぞって言う意味の不敵なサインか…もしくは」

「誰かをおびき出そっちゅう罠か…まあこの場合おびき出す相手は工藤…お前やっちゅうこっちゃ」

「ああ、たぶんな…」

「わからんのはホンマにそれが罠やったらなんでそないなややこしくてまどろっこしい手段を取ったのか…」

「そうだな、おびき寄せる方法は他にもいっぱい…ってなんでオメーがいるんだ、服部!」

 

おおお、新ちゃんと平ちゃんが漫才みたいなやりとりしてる。因みに平ちゃんは博士が思い悩んでいる新ちゃんのために呼んだそうだ。俺相手だと背伸びして素直に相談しないだろうからと。何だかんだで10数年。博士は俺と新ちゃんの事をよく分かってらっしゃるわ。

 

「…龍斗。テメェ服部がいることをだまってたな?」

「黙っていたのはその通りだけど、俺が博士の家に来たのは新ちゃんのあとだよ?その後すぐに調書の話をし始めたんだから俺は博士に聞いたわけじゃないよ。来たときすでに二階で息をひそめているのには気づいたけど。そこはもっと注意深く周りを見ないといけないぞー、探偵君?」

「バーロー、オメーの超感覚と探偵の技量を一緒にすんなっつうの」

「なんや、ばれとったんかいな。龍斗も来るいうことで驚かそ思っとったのに。いやあ、龍斗にドッキリ仕掛けんのは至難やで」

「ははは。しかし、さっきの調書の事じゃが盗んだ相手がどこの誰かも分からん今は手の打ちようがないのう」

「甘いでジィさん。そんな大事な話をだまっとった工藤が今話したっちゅうことは何かしらのてがかりを掴んだからや。そやろ?お、その顔は図星やな??言うてもええんやで??」

 

新ちゃんの額を突っつく平ちゃん。新ちゃんは図星をつかれた顔…もしてるけどどっちかというと呆れている割合が多い気がするぞ平ちゃん。

新ちゃんが気にしているのは俺が哀ちゃんの大人バージョンで自殺を偽装した件の発端となった、杯戸シティホテルで行われた映画監督をしのぶ会の会場で起こった殺人事件だ。新ちゃんはその事件が起きてからもしかしたらあの事件現場には新ちゃんの知らない組織の人員がいたんじゃないかと考えていたそうだ。そして、事件が起きて以降、表舞台に出なくなった有名人がいるそうだ。ああ…そう言う事か……

 

「クリス・ヴィンヤード…アメリカのムービースターだ!」

『!!』

「ク、クリスってあの有名な二世女優の…!?」

「チチのでっかい綺麗で賢いねーちゃんか!?」

「ああ…大女優、シャロン・ヴィンヤードの一人娘さ…龍斗、大丈夫か?その…」

「んん?なんで龍斗にそないな事聞くんや?」

 

ああ、シャロンさん。新ちゃんが貴女までたどり着いてしまったよ。今はまだ確証のない段階だけれどいずれ貴女に食らいつきます…ただ、今はあなたとの約束を守ります。

 

「シャロンさんとは個人的な交友関係があってさ。それを心配してくれてんのさ、新ちゃんは」

「え?龍斗、シャロン・ヴィンヤードと交流があったんかい!?」

「まあね。結構可愛がってもらってたんだ。ただクリスさんとはシャロンさんの葬式で一度会っただけだから…大丈夫だよ」

「そ、そっか…まあ、龍斗の事もあるしオレも無関係とは言い切れねえし考えたくなかったんだけどな。色々調べて彼女が一番疑わしいんだ」

「………(工藤?)」

「そこでさっきの博士の頼みごとにつながるだが…」

 

そう言って新ちゃんが差し出したのはどこかのアドレスが書かれた一枚の紙片だった。

 

「インターネットのアドレスか?」

「ああ。彼女の復帰を熱望するファンのサイトだよ。上手くそこに潜り込んで情報を集めてくれねえか?彼女の癖から、趣味、経歴…コアなファンだからこそ得られる生の情報を。これ以上インターネットカフェで海外のサイトを小学生が覗くのは不自然すぎるからな」

「まあええが、そんな|情報もの集めて一体どうするんじゃ?」

「いつか何かの役に立つかもしれねえだろ?」

「いてるんやろ?」

「え?」

「お前の周りに怪しい外国人の女が…」

「ば、ばーろ。そんなん居るわけねえだろ?なあ龍斗?」

 

あ、その相槌を求める相手は俺じゃないのが正解の選択肢だぞ新ちゃん。

 

「それってまさか、ジョディ先生の事じゃないじゃろうな?」「ゲッ」

 

ほら、博士が言っちゃうもの。そしてそんなことを聞いたら平ちゃんなら。

 

「何者や?そいつ」

「龍斗君達が通う、帝丹高校の新任の英語教師じゃよ」

「バーロ!こいつにんな事吹き込んだら…」

「?」

「よっしゃ!!試しに今からそのセンセのとこ行ってみよか?」

 

こういうに決まっている。流石に付き合いの浅い博士は分からないかったか。新ちゃんは分かっていたからこそ誤魔化そうとしたんだろうな。

 

「ここには龍斗もおるし、住所も簡単にわかるやろ?それに龍斗も一緒に行けば問題なしや!!」

「あー。いや、俺はパスで」

「え?なんでや??」

「なんか最近、ジョディ先生の態度が俺だけに冷たくてね」

 

○×△事件から数日たってから、彼女の視線から疑念が取れて敵意と殺意…そして悲観が混じるようになった。何かを彼女は確信しているようなのだが、俺にはさっぱりなんのことなのやらだ。

 

「俺が一緒に行っても上手くいかないと思うから」

「そうなんか?」

「……(龍斗?)」

「ほな、俺と工藤とで行ってくるわ。上手くいけばなんとかっちゅう薬も手に入るかもしれへんしな」

「オメーゆるすぎ。奴らはそんなにあめえ相手じゃねえぞ?」

「ほう?ほな、コナン君はおとなしゅうおうちでお留守番でもしときまっか?」

「…ったく。しゃあねえな…わりいが、龍斗」

「はいはい、住所ね。今調べるよ……2人とも気を付けてね」

「「ああ!」」

 

 

 

 

 

――

 

 

 

 

 

服部平次…面白いボウヤ。大阪府警本部長服部平蔵の息子で工藤新一と同じ…探偵。そしてあの緋勇龍斗の幼馴染み。貴方は一体どれだけの人を欺いているのかしら?

 

 

 

 
 

 
後書き
やっぱりオリ主は勘違いされてこそですよね!
住所は方々の手を使って手に入れたことにしてください。今はそう言う情報の扱いが高校でどうなっているのか知らないですので。 
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