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ユニコーン

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第一章

               ユニコーン
 その土地の領主は珍しい生きものについて調べることを趣味としていた、それはあらゆる生きものに及んでいてだ。
 家臣達と共に沼まで行ってウィル=オ=ウィプスを見てこう言った。
「ふむ、ウィル=オ=ウィプスもわかった」
「どういった生きものか」
「それもですね」
「今わかりましたね」
「その目で見られて」
「満足だ、これまで本では読んできた」
 この生きものというか妖精と呼ばれる存在をだ。
「しかしこうして目で見るとな」
「やはり一番わかりますね」
「何かと」
「本を読むより目で見る」
「それが一番ですね」
「全くだ、これまであらゆる生きものを見てみたが」
 領主はさらに話した。
「これでウィル=オ=ウィプスも見た」
「満足ですね」
「これでまた一つ珍しい生きものを見られてましたし」
「ではですね」
「ウィル=オ=ウィプスのことも本に書いていきますか」
「そうする」
 家臣達に答えてだ、そしてだった。
 彼は自身の城に入るとすぐにだった、ウィル=オ=ウィプスのことを書き残した。その後でだった。
 彼は家臣達にだ、次に調べたい生きものの話をした。
「次はユニコーンを調べたい」
「ユニコーンですか」
「あの聖獣をですか」
「そうされたいですか」
「そう考えている」
 こう家臣達に述べた。
「是非な」
「そうですか、ではです」
「ユニコーンは乙女が好きです」
「その乙女を用意してです」
「ユニコーンがいる森に向かわせてです」
 そうしてとだ、家臣達も彼に応えて話した。
「そしってそのうえで、です」
「ユニコーンが乙女に近付き安心したところをです」
「見ましょう」
「そして調べましょう」
「そうしよう、ただ私は調べはするが」
 ここで領主は家臣達にこのことを断った。
「捕まえるつもりはない」
「はい、それが貴方様です」
「我等が主は生きものを愛し調べはします」
「ですが害を為されることはありません」
「捕まえられることも」
「そうしたことには興味がないのだ」
 あくまで調べることに興味があってだ。
「だからだ」
「はい、そうしたことはですね」
「絶対にされませんね」
「だからユニコーンもですね」
「調べられはしますが」
「捕まえられることはされませんね」
「絶対にだ」
 こう言ってだ、そしてだった。
 領主はすぐに領地の中の乙女を探した、するとすぐに見事な金髪に青い瞳の妖精の様に楚々とした少女が見付かった。
 その少女にだ、領主は確かな顔で告げた。
「よいか、そなたにはユニコーンがいる森に入ってもらう」
「ユニコーンのですか」
「我等は隠れている」
 森の木々の陰にだ。
「そうしてユニコーンが来たら調べる、しかしだ」
「しかし?」
「他の獣達が来た時は安心せよ」
 領主は少女にこのことも話した。
「すぐに我等が出て獣達を倒す」
「そうして頂けるのですか」
「そうだ、だから安心してだ」
「ユニコーンのいる森に入って」
「そうしてユニコーンを誘い出してくれ、褒美はもう渡す」
 事前にというのだ。 
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