ナポリタン
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第二章
「作ろう、僕がね」
「君自身がだね」
「では食材を揃えて」
「ケチャップとソーセージ、玉葱、それと」
「マッシュルームにピーマン」
「大蒜とオリーブオイルは絶対だよ」
この二つは欠かせなかった、パスタには。
「それこそね」
「そうそう、その二つはね」
「忘れちゃいけない」
「チーズは好みで」
その人のだ。
「勿論パスタもね」
「イタリアのでも日本のでもいいかな」
「それは」
二人で肝心のスパゲティについて考えたがホセが決断した。
「イタリアのものにしよう」
「あえてだね」
「イタリアのスパゲティで作っても美味しいか」
「それじゃあね」
二人で話してだ、そうしてだった。
ホセは自ら食材を集めそのうえで自分でナポリタンを作ってみた、プロの料理人ではないが手慣れた作り方だった。
自分の部屋でナポリタンを作って慎吾と共に食べた、すると出来たナポリタンのその外見を見てだった。
ホセは慎吾にだ、こう言った。
「うん、こうして見てみるとね」
「美味しそうだね」
「ケチャップの独特の香りもしてね」
「そしてソーセージやピーマンもね」
「いい感じだよ、勿論ね」
「大蒜とオリーブオイルも使っているし」
「普通は使わないかな、洋食屋では」
ここでこうも考えたホセだった。
「大蒜とオリーブは」
「まあ普通はね」
「ああ、やっぱりだね」
「最近はわからないけれどそうした洒落たものはね」
「使っていなかったんだ」
「オリーブはね、あと大蒜は匂いがするから」
それでというのだ。
「使っていなかったよ」
「そうだったんだ」
「そう、けれどね」
「それでもだね」
「家での料理だからね」
「大蒜とオリーブを入れても」
「構わないだろうね、じゃあ今から食べよう」
二人で話してだった、それぞれの食べる前のいただきますをしてからフォークを取ってそのうえでだった。
ナポリタンを食べてみた、慎吾が食べたそれは美味かった、ホセの料理は上手でスパゲティもアルデンテだった。食材も適度に火が通っていた。
美味い、そう思った慎吾だったが問題はホセの反応だった。それで慎吾は自分の向かい側の席に立つホセを見た。
どう言うか、それはというと。
「美味しいね」
「ナポリタンはだね」
「うん、美味しいよ」
実にというのだ。
「これはね」
「そうだね」
「いや、まさかね」
「まさか?」
「こんな不思議な味付けがね」
ホセにとってはそうだった、まさに。
「あるんだね」
「まあ何ていうかね」
「不思議な美味しさだよ」
「それが君の感想だね」
「ケチャップが合うね」
スパゲティにというのだ。
「トマトじゃなくて、じゃあ今度はね」
「お店のものをだね」
「食べてみよう」
作ったものだけでなく作ってもらったものまでもだ、そうしてだった。
二人は今度は近くの美味いと評判の洋食のレストランに行ってそうしてナポリタンを注文して食べるとだった、こちらのナポリタンについてもホセは言った。
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