エアツェルング・フォン・ザイン
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そのさんじゅうさん
「ここが迷いの竹林ねぇ…」
「本当に入るの?」
「えー?だって慧音の尻尾モフモフしたくない?」
「そりゃしたいけど…戻って来れるの御主人?」
「ああ、多分な」
雪が降る中、俺達は慧音を追うべく迷いの竹林に来ていた。
慧音は満月になると、迷いの竹林へ向かうのだ。
恐らくは、自らの獣化した姿を見せない為に。
「さーて、行こうか」
慧音には使い魔をつけてある。
ノームの使い魔は蛇だ。
「御主人、ストーカーって知ってる?」
「Oh,yes.So,what ?」
しってるよ、で?
「はぁ…」
「取り敢えず行こうぜ」
使い魔の反応を追い、慧音の下へ向かっていると、急に正面が開け、光が見えた。
色とりどりの光が舞っている。
「弾幕ごっこ?
国符の剣?慧音と…誰だ?」
片方…今スペカを発動させた方は、スペカから慧音と判る。
相手は誰だ?もこたんか?
しかし、相手側の宣言したスペカは…
「神符ブリリアントドラゴンバレッタ!」
「輝夜だと!?」
驚きの声を上げると、もこたんが走ってきた。
「よっすもこたん。何事?」
「えー、あー、その…えっと…」
顔を赤くしながら、彼女が語ったあらましは以下の通りだった。
始めに、輝夜ともこたんで殺し合いをしたらしい。
その時に、負けたら一つ言うことを聞くという賭けをしたらしい。
そして、もこたんが敗北し、もこたんの家でにゃんにゃんしていたら慧音が来たらしい。
そして慧音がぶちキレてこうなった…らしい。
今の話を聞けば判るだろうが、二人は既に和解して、暇潰しで殺し合っている。
「いや、ナニしてんのお前ら?」
カァーっと顔を赤くして黙り込むもこたん。
「まぁ、よかったじゃねーか。両手に花だぜ?」
「あぅぅ…」
何時もはイケメンなもこたんの赤面とか…
「な、なぜお前は拝んでいるんだ…」
「え?もこたんの赤面が見れた喜びに対して」
「死ね!フジヤマヴォルケイノォォォ!」
照れ隠しでフジヤマヴォルケイノ(ガチ)は勘弁してほしい。
「玉藻」
「うん!」
妖獣化した玉藻に股がり、フジヤマヴォルケイノを避ける。
が、一寸間に合わず、右の膝から下が吹き飛んだ。
弾幕ではなく一直線だったので避ける事が出来たが、弾幕だったら当たっていた。
まぁ、弾幕なら足は吹っ飛ばないが…
「あっぶねぇ…やっぱ非スペカのフジヤマヴォルケイノはすげぇな…」
何故知ってるかって?
そりゃ里に妖怪が出たときに何度か共闘してるし。
「御主人、スペカ打たれてないなら、こっちもスペカで返す必要無いよ」
「お、それもそうだな、どうせ」
蓬莱人だし、と言おうとして止めた。
何となく言っちゃいけない気がした。
「ジェネレート!メタルエレメント!
ジェネレート!フレイムエレメント!」
玉藻に跨がったまま、弓を引くポーズと共に、エレメントを生成。
それを弓矢の形に変化させ…
「〈偽典 熾焔弓〉」
もこたんに向けて焔の矢が飛ぶ。
「バースト!」
「きゃぁ!?」
着弾する前に半分をバーストさせ、炎の壁で残り半分を隠す。
「な!?」
カカカカカカ!と残りが地面ともこたんに突き刺さる。
「バーストォォォ!」
ボン!と音がして、大爆発が起こった。
「やったか!?」
「御主人!?なんでフラグたててるの!?」
「言わなきゃいけない気がした」
そして案の定爆煙の中から妖術が飛んで来る。
「おわっと…!」
煙が晴れた先には、左肩から先がなくなったもこたんがいた。
「やるなぁ…ザイン…!」
星騎士の忠誠剣を出そうとしたその刹那。
「あら?そこの妖精さんは私の妹紅に何をしているのかしら?」
見れば、慧音はピチュッたらしく、木に寄りかかっていた。
ちゃんと獣化している。
慧音の白沢モードを見るのは何気に初めてだ。
「貴女も妹紅のお友達?」
「え?あ、まぁ、そうだけど?」
「そう、なら死になさい。妹紅は私の者よ!」
ヤンデレ輝夜キター! てるもこキター!
しかし、やはり飛んで来た弾幕(ガチ)によってその思考は中断させられた。
「ちょっと待ちやが…」
輝夜の放ったビームが、俺を包み込んだ。
チクショウ案の定エンドフレイムかよ…
半吸血鬼化したんだから即時回復とかしねーのかよ…
だけど、輝夜のビームが途切れ、月明かりに触れた瞬間、紫がかった視界が、焔に包まれた。
復活エフェクトだ。
「テメェ何しやがるニート姫!
俺はもこたんとそんな関係じゃねーよ!
大人しく三人で百合ってろチクショウめ!」
と俺の心の叫びが放たれる。
「それもそうね!妹紅、そこの女を連れて永遠亭まで来なさいな。
朝まで楽しみましょう?」
「………………そうだな」
もこたんが自らの首を跳ね、無傷で復活した。
「慧音、行くぞ」
「え?あ、う、うん…」
結局永遠亭に行くらしい。
「って待て待て待て待て!」
「「「?」」」
「俺はケンカの仲介に来たんじゃねぇ!」
本題は…
「慧音ぇぇぇ!尻尾モフモフさせろぉぉぉ!」
「!?」
「行けぃ!玉藻!」
「うん!」
とたたたたたたー!と走って行った玉藻が、慧音の後ろに回り込んでヒトガタモードになり、膝カックンを仕掛けた。
「にゃ!?」
「今だぁ!」
翅を出し、慧音に突撃。
あ、そういえばこの前半吸血鬼化してから翅が虹色になってスピードも少し上がった。
今までの五割増しくらい。
「ざ、ザイン!?」
「尻尾捕まえた!」
「あ!ちょ!こらぁ!?」
慧音の尻尾はモフモフ、ではなくフサフサって感じだった。
だが!それでもかまわない!
「おぉー!フサフサ!フサフサだぞこれ!」
「本当だぁー!御主人!慧音の尻尾フサフサだよ!」
しかし…
「御主人!慧音のお尻むっちむっちだよ!?」
「ひゃぁぁん!?」
「あ!おいバカ!寄せ!玉藻!」
気付けば、ゴッ!ゴッ!と音がしていたら。
「「いっでェェェェェ!?頭が割れるぅぅぅぅ!?」」
慧音の頭突きを一発ずつもらい、悶絶。
「玉藻のバカァァァァァァァ!」
「だって揉みたかったんだもぉぉぉん!」
「つーかなんで俺までなんだよ!?」
「式神の責任は術者が持て!」
そのまま三人はスタスタと歩いていった。
「をい…玉藻ぉ…」
「あい…ごめんなしゃい…」
翌日、寺子屋に行くと、慧音が後ろを滅茶苦茶警戒していた。
その一部始終を見ていた人間二人。
「ザインさん…最低です。縁記に追記ですね」
「も、もう本貸してあげませんよ!?」
「待て!阿求!小鈴!俺は無実だ!
俺は慧音の尻には指一本たりとも触れていない!
それをやらかしたのは玉藻で俺は慧音の尻尾を堪能しただけだ!」
「「ギルティ!」」
「Why!?」
く、くっそー…
「ところで慧音君!昨日はお楽しみだったようじゃないか!」
「え…?慧音先生?」
「嘘ですよね?」
と、今度は慧音に疑いの目が向く。
「もこたんと竹林の姫と朝まで愉しんだんだろう?」
すると慧音は俯いてしまい…
「…カ」
「ん?」
「ザインのバカぁぁぁ!」
ゴッ!
「ぎにゃぁぁぁぁ!頭がぁぁぁ!?」
「うわぁぁぁーん!」
と泣きながら何処かへ走って行った。
「マジか慧音…そこまで恥ずかしかったのか…?」
呆然と慧音の背中を見ていると…
ガシィ! と両肩に手が置かれた、いや肩を捕まれた。
「「ザインさん?」」
肩がギチギチいってるぅ…
お前ら非戦闘系の能力だろ…?
「「ちょっと来ましょうか」」
「あい(泣)」
女の子こわい…
【文々。新聞
寺子屋の妖精教師と人里の守護者禁断の職場恋愛!?
人里を訪れた調査員は「ザイン(寺子屋の妖精教師)のバカァァァァァァァ!」と泣きながら走り去る人里の守護者を目撃した。
何事かと思い、彼女の来た道を遡ると、呆然とする寺子屋の妖精教師と、九代目阿礼乙女、判読眼のビブロフィリアを目撃した。
その後、寺子屋の妖精教師は二人に寺子屋の中に連行されていた。
その後周囲の人々に話を聞いた所…】
「あんのクソ天狗がぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
後書き
次回からオリジナル異変です。
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