エアツェルング・フォン・ザイン
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そのじゅうろく
「あら、起きたかしら?」
「状況を説明して欲しいな。さっきまで殺しあってた奴の枕元で何をしてるんだ?」
「『お兄様』とやらがどんな奴かと思ってね」
「そうかよ…」
なぜか天蓋付きのベッドに寝ていて、なぜか枕元にレミリアがいる。
どんな状況だよ…
「すぅ…すぅ…」
ん?
隣を見るとフランが抱きついていた。
「ああ、成る程…」
クスリと笑ってしまった。
「なによ?」
「西欧諸国でスカーレット・デビルと恐れられた吸血鬼がただのシスコンだったとはねぇ…」
「知らないわよ」
レミリアはプイッとそっぽを向いた。
「おにぃさまぁ…」
「あ、起こしちまったか?」
「おねぇさまもどうしたの~」
「なんでもないからもう少し寝てていいぞ」
「わかったぁ…」
と再び寝息発て始めた。
「『お兄様』も寝てていいのよ?」
「なぁ…」
「なによ?」
「お前…俺に嫉妬してんの?」
「はぁ!?してないし!妹が取られるとか全然思ってないし!」
はい墓穴掘った~
「お前がそう思うんならそうなんだろうな、お前ん中ではな」
「ムカつく…!」
「じゃぁ、俺も眠らせてもらおう。
おやすみ、レミリア」
「レミィでいいわ…」
「ああ、おやすみ、レミィ…」
一夜明けて…
「あぁ!」
「どうしたのお兄様?」
「玉藻とルーミアの事忘れてた!」
「誰?」
「俺の使い魔と道中伸した女の子」
我ながらひどい言い様だ…
「やべぇ…一晩放置しちまった…あ、アリスにも言ってない…」
けーねにも…てか寺子屋無断欠勤じゃん…
「今更だけどここ何処だよ…」
ガチャリ…
ん?
「ザイン様、妹様、お嬢様がお呼びです」
ドアから顔を覗かせたのは十六夜咲夜だった。
「て言うかここ何処なの?」
「妹様の新しい部屋です」
いやいや…
「なんで俺がここに居るのさ?」
「妹様のご希望です」
「そうなのか?」
「うん!」
すげぇいい笑顔で言われた…
うん…
俺はフランから離れてメイド長を手招きした。
「おい、メイド長、ダメだろ?」
「何がですか?」
「俺は男だぞ。主の妹だろ?ちゃんと説き伏せろよ」
「そう言われましても…お嬢様もそれで言いとおっしゃいましたので…」
「あのバカ…!」
「お嬢様のお気持ちも汲んでいただけないでしょうか…
お嬢様は長い間何も言わなかった妹様のわがままを許したいのです…」
「分別をつけろと言っといてくれ…」
「承知しました」
俺はメイド長から離れ、フランの下へ向かう。
「フラン、男を簡単に寝室に入れたらダメだぞ?」
「お兄様は勝手に入って来たよ?」
シャキン…
おい、メイド長今の音はなんだよ…?
「まぁ…アレは俺の方から入ったが…自分から誘うのはダメだぞ」
「勝手に入って来るのはいいの?」
うぐぉぁ!純粋すぎる!
「そこら辺は七曜の魔法使いかメイド長に聞くといい」
「うん!わかった!」
俺は振り返り、メイド長にGoodサインを送る。
あ…メイド長が頭を抱えた。
「ああ、それとザイン様」
「ん?」
「ザイン様の使い魔を名乗る妖獣が門の前に…」
玉藻か…
「OK直ぐ行く」
咲夜に案内され、俺とフランは門へ向かう。
「いよぅ、玉藻、悪いな…ちょっと手間取ってな」
「別に気にしてないよ、ご主人は何時だって戻って来てくれるから」
ああ、そうだな…
ハイヴ攻略戦の時…
UWの時…
GGOの時…
俺は何時だって玉藻の所へ戻ったんだ。
玉藻の首に抱きつく。
「ありがとう…玉藻。俺を信じてくれて…」
「うん」
玉藻…ありがとう…
「ねぇねぇ!お兄様!」
「んー?どうしたフラン?」
「え?お兄様?ご主人何したんです?まさか…」
「タマモのしっぽもふもふしていい?」
「おー、いいぞ」
「やったぁ!」
と言ってフランは玉藻の尻尾に抱きついた。
「ご主人?」
「ああ、こいつはフランドール・スカーレット。赤い霧の異変の主犯の妹だ。訳あって俺になついてる」
「ご主人…犯罪…」
「誤解だ、フランは見た目はアレだが495歳だ」
「んー…ロリバd…」
「それ以上はいけない」
ヤバい事を口ばしろうとした玉藻をとめる。
刹那。
「でやぁぁぁぁぁぁぁ!」
横から烈迫の気合いで蹴りが放たれた。
「剛気功!」
ガキィィォン!
俺はその脚を剛気功で受け止めるが数センチ押された。
生身の音じゃぁねぇな…
それを押し返し相手を吹き飛ばす。
「貴方だけは一発殴りますいや殴らせろォォォォォ!」
さぁ、ここまでくれば相手が誰だかわかるだろう…
そう…
「居眠り門番!」
「誰がですか!」
「お前だよ」
「ええい!今はそんな事はどうだっていいのです!」
気を纏わせ肉弾戦を仕掛けて来る美鈴を受け流す。
さっきの威力を何発も食らう訳にはいかない。
「おい門番!」
「何ですか!客と言えど容赦はしませんよ!」
「これを見ろォォォォォ!」
懐から一枚の写真を取り出す。
それは…
「それを寄越せぇぇぇぇぇ!」
美鈴の落書きされた写真だ。
「やーだねー!」
俺はヒョイヒョイと美鈴の攻撃を避ける。
怒りで攻撃が単調になっている。
当たればかなりのダメージだが視線でバレバレだ。
「おい!フラン!」
「なぁに?」
「これを見ろ!」
俺はフランに写真を渡す。
それを見たフランは…
「アッハッハッハ!なぁにコレ!面白い!」
爆笑していた。
一方美鈴はフランに笑われて凄く落ち込んでいた。
Orz状態の美鈴、そこに追い討ちをかける咲夜…
「美鈴?」
「さっさっさ、咲夜さん!?」
「アナタ…お嬢様の客人に何をしているの?」
とナイフを取り出す。
「い、いや、コレはですね…」
「問答無用!」
ヒュッ!トスッ!
「ニャァァァァァァ!ナイフがぁ!ナイフが頭に!」
「反省しなさい」
「あい…」
俺は玉藻を小さくさせフランに抱かせてやる。
「メイド長、お嬢様が呼んでるのだろう?」
「はい、直ぐに案内致します。
ウチの門番が申し訳ありません」
「いや、気にするな」
俺とフランは咲夜に連れられ、レミィの下へ向かった。
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