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NEIGHBOR EATER

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EATING 12

「仕える?主様?いったいなんだよ?」

目の前膝を突く羽々斬夜架の問い掛ける。

「主様が部隊を作ると聞いてここに参りました」

情報早ぇな…いや、新隊員には伝えられてたってオチか?

「わたくし、剣には自信がありますの」

アタッカー訓練生トップ羽々斬夜架…

ファイルにはそう書いてあった。

それにどうやら道場か何かの子供らしい。

確かにコイツは部隊の候補でもある。

だがなぁ…

「少し、考えさせて欲しい」

「わかりましたわ。わたくしは主様の部隊で剣を振るえる事を楽しみにしていますわ」

羽々斬夜架は立ち上がり俺に一礼して去って行った。

なんだったんだいったい…まぁ兎に角迅の所に行こう。

迅の私室まで歩き、コンソールにトリガー(俺専用のワンオフ、トリオンレギュレーター付き)を当てドアを開ける。

「……………………邪魔したな」

「待て待て待て待て!誤解だ!彼女は君に用があるんだ!」

迅の私室の中に居たのは迅ともう一人…

雪乃下陽乃だった。

めんどくせぇ…そう思った俺は悪くない筈だ。

「あー…で、俺に何か用でしょうか、雪乃下陽乃さん」

「そんな畏まった口調じゃなくていいよ、助けてくれた時みたいにね。
清輝翼君?」

はぁ…

「だったら先ずはその仮面をやめろ。見ていて鬱陶しい」

すると雪乃下陽乃はキョトンとした顔をして笑いだした。

「ふふっ…なるほど…君は解るんだね…」

そう言いながら彼女が浮かべた顔は『面白い物を見つけた』と言う喜びだった。

そしてその顔は心からの感情を写していた。

「それで、本題は?」

「翼君が部隊を作るってきいたら来たんだよ。
君の部隊に入れてくれないかな?」

「何故知っている?」

「昨日迅君に教えてもらったのよ」

ああ、そう言えばコイツらタメだったな。

………ん?

「教えてもらった?いつ?」

「昨日の昼休み」

ほう?

「迅、どういう事だ?」

「いやーその…」

「くっそ眠い中会議室に呼ばれたんだが?
お前が一言言ってれば違ったと思うんだが?」

「うぐぅっ!」

「さて…俺の安眠を妨げた罪は重いぞ?」

右手にトリオンを集める。

「どうせトリオン体だ…ナニシタッテイイヨネ?」

圧縮されたトリオンが光りだす。

「いやっ!ちょっ!それはマジでダメな!」

構えた拳を…

「くぅらぁえやぁぁぁぁっぁぁ!!」

バキィ!

振り抜いた。

「いっだぁぁぁい!」

<トリオン体活動限界>

迅のトリオン体が解除された。

「ぐぉぉぉぉ!いたいぃぃ…!」

自室の床を転げ廻る迅。

「えっと…大丈夫…なのよね?」

「トリオン体だからな。死にはせんし傷も残らんよ」

「そ…そう」

実は迅をぶん殴るの三回目だ。

「で、雪乃下陽乃。俺の部隊に入りたい理由は?」

「強くなりたいから。貴方がボーダーで一番強いんでしょ?」

うーん…そうでもないと言うか何と言うか…

「俺が強いのはトリガーの性能が良いからであって俺自信はそんなに強くないぞ」

「よく言うよ…忍田さんと林道さんにしごかれてて弱い訳無いだろ…」

うん…最近見掛ける度に忍田さんに訓練室に連れてかれるんだよね…

林道さんはそうでもないけど。

「でもなんだかんだで剣だと迅に勝てないし」

「体格的にそれは当たり前だよ。それに天使ちゃんはアタッカーじゃなくてシューターだろ」

まぁそうなんだけどな。

「天使ちゃんがここに来たのは部隊構成の相談でしょ?
天使ちゃんが中~後衛だから前衛が欲しいね」

前衛か…

「一部隊何人くらい?」

「だいたい一部隊三、四人かな」

んー…だったら…決定かな。

「ああ、じゃぁ、もう決めたよ」

「へぇ…誰にするんだい?」

「羽々斬夜架、雪乃下陽乃。この二人を部隊に加える」

「あら?私から言った事だけど…いいの?」

「ああ、『入れてくれ』と自分で言ったヤツを入れる」

俺の部隊に入りたい、そう言ったのはこの二人だ。

「さて…羽々斬夜架に連絡するか」

その後俺の部屋に戻り、羽々斬夜架を呼び出した。

「信じておりましたわ、我が主様」

と膝を突く羽々斬夜架。

「翼君…貴方…何したの?」

「俺が一番知りたい」

何でこの子は俺を『主様』と呼ぶのか…まぁ今はどうでもいい。

「羽々斬夜架」

「はい」

「雪乃下陽乃」

「うん」

二人の名を呼ぶ。

「俺のチームで戦え」

「はい、我が主様」

「OKだよ翼君」

二人の笑顔は、紛れもなく『本物』であった。

こうして、俺が率いる部隊。

『清輝隊』が結成された。 
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