真田十勇士
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
巻ノ百三十 三日その九
「そして他の者達でな」
「うって出ます」
「そうせよ、戦に勝っておるならな」
茶々も三人の必死の説得を受けて考えを変えた、三度続けての勝ちを聞いたことがその決め手となっていた。
「うんと攻めよ」
「それでは」
「これよりな」
「はい、攻めまする」
三日後にとだ、大野は応えた。そしてだった。
茶々の前から退き城の廊下を進みつつ三人で話した、三人共会心の笑顔で話をしていた。まずは治房が言った。
「これでな」
「はい、我等は助かりますな」
治胤は次兄に笑顔で応えた。
「城からうって出て攻めて」
「そしてじゃ」
「城の周りの敵を全て退けるか」
「大御所殿の御首を取ってな」
そしてというのだ。
「それでじゃ」
「左様ですな」
「うむ、ではじゃ」
ここで大野も言ってきた。
「ここはじゃ」
「すぐにですな」
「諸将を集めて」
「このことをお話する、そして三日後にじゃ」
まさにその日にというのだ。
「よいな」
「兄上が右大臣様と城を守られ」
「そのうえで」
「攻めるぞ」
幕府の軍勢とをだ、その用意に入ろうというのだ。
「よいな」
「それでは」
「早速」
こうしてだ、早速諸将が集められこのことが話された、大野はその話をほっとした笑みで話したが。
幸村も他の者達もだ、怪訝な顔で言った。
「三日、ですか」
「今すぐにではないですか」
「三日後に攻めよ」
「そう言われますか」
「左様でござるが」
大野はその彼等に怪訝な顔で返した。
「それが何か」
「いえ、その三日の間にです」
「何もなければいいですが」
「くれぐれも」
「そう思いますが」
「たった三日ですぞ」
大野は彼等にその怪訝な顔でまた返した。
「まさか何かが起こると」
「戦は刻一刻と変わるもの」
後藤が言ってきた、深刻な顔で。
「ですから三日の間に」
「流れが変わると」
「その場合もありますし」
こう言うのだった。
「そして三日の間にです」
「幕府が仕掛けることもです」
毛利も大野に言った。
「有り得ます」
「だからと申されるか」
「決めたならです」
まさにと大野に言うのだった。
「仕掛けるべきです」
「その通りですぞ」
長曾我部も真剣な顔で大野に言った。
「ここは何としてもです」
「今すぐにですか」
「はい、外にうって出るべきです」
「そう言われますか」
「それがしも同じ考えです」
夜討ちを成功させた塙も同じ考えだった。
ページ上へ戻る