子猫達のお話
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第四章
そうしたことをお話しているとです、お父さんがお家に帰ってきました。
「只今」
「お帰りなさい」
まずはお母さんがお父さんに挨拶をしました。
「今から御飯作るわね」
「うん、待ってるよ。それまでの間は」
御飯が出来るまではというのです。
「お茶でも飲もうなら」
「あっ、じゃあ今からお茶淹れるわ」
「そうするわ」
ミトンとモペットがお父さんにすぐに言ってきました。
「紅茶でいいわよね」
「ミルクティーで」
「勿論だよ、お茶といえばね」
それこそと言うお父さんでした。
「第一はね」
「ミルクティーよね」
「お父さんの場合は」
「イギリスだからね」
だからだというのです。
「勿論お茶はね」
「ミルクティーで」
「そちらね」
「それを飲ませてもらうよ」
こうしたお話をしてでした、そのうえで。
お父さんは二匹が淹れてくれたそのお茶を飲もうとテーブルに向かってそこに座ろうとしました。ですがここで。
ふとです、そこでテーブルの上にトムがさっきまで遊んでいたけん玉を見てこんなことを言いました。
「おや、けん玉かい」
「お父さんもけん玉知ってるの」
「そうなの」
「子供の時はよく遊んだよ」
「そうだったの」
「お父さんもけん玉で遊んでたの」
「そうだよ、こうしてね」
そのけん玉を取って言うのでした。
「遊ぶんだ」
「あっ」
見ればです、お父さんはけん玉を手に取って遊びはじめるとです。
まさに縦横自在にです、けん玉の球を左右そして後ろに置いて先にも入れます。それは一度も外れません。
ただ立ってやるだけでなくです、座っても寝ても逆立ちしてもです。どんな姿勢になってもです。
一度も外さず思ったところに置いて入れてみせます、トムも二匹もそんなお父さんを見てびっくりしました。
そしてです、トムが妹達に言いました。
「けん玉名人ってね」
「そうね、お父さんね」
「お父さんのことだったのね」
「想像もしなかったけれど」
それでもというのです。
「けん玉名人はお父さんだったの」
「意外だわ」
「本当にね」
実際にとです、ミトンもモペットも言います。
「お父さんがけん玉名人なんて」
「まさかね」
「けれど凄いわね」
「そうね」
今度は背中に手を置いてけん玉をするお父さんですがそうしても一度も外すことはありません。
「まさにけん玉名人」
「凄いわ」
「昔に比べて動きが遅いかな」
けれどお父さんはこう言うのでした。
「随分していなかったし」
「えっ、そう言うの?」
「そこで」
「遅いって」
子供達は三匹共お父さんの今の言葉にびっくりしました。
「一度も外さないのに」
「絶対に置いて入れてるのに」
「それでもなんだ」
「昔はこれの倍の速さで出来たんだ」
そうだったというのです。
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