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NEIGHBOR EATER

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EATING 8

「盗み聞きはよくないぞ迅」

「天使ちゃん…本当にいいのかい?」

臨時司令室から出てきた幼い少年を見て、俺は尋ねた。

「ああ、ボーダーは俺に首輪を着けたいらしい、それに利害は一致している」

利害…彼はまだ子供だと言うのに、損得を話す…

「そうか…なら」

「なら?」

「チームを創るといい、俺のサイドエフェクトがそう言ってる」

彼と出会い、関わる内に視えてきた未来。

何があろうと変わらない絶対の未来。

「チーム?サイドエフェクト?」

「先ずはサイドエフェクトからだな、サイドエフェクトってのは超能力みたいな物だ。トリオン能力の高い者が時折目覚める」

「俺の、って事は迅は持ってるの?」

「ああ、俺のサイドエフェクトは未来視…未来予知だ。そして天使ちゃんが誰かと一緒に闘う未来が視えた」

そして、その部隊は、絶対の忠誠と…

「君のチームは恐らくかなりの力を持つだろう」

「そう、考えとく」

またこれだ、彼はあらゆる事に無関心だ。

「ねぇ」

「なんだ天使ちゃん?」

「迅の未来予知ってどの程度の物なの?」

「程度?」

「確実性とか何処まで視れるかとか…それを覆せるのか…」

「確実性…というか幾つかの可能性が視える。自分に不利な可能性、有利な可能性、自分に関係ない可能性…いろいろ視える。
そして行動によって未来は変わる。
ただし俺は関わった人の未来しか見えない。
だから天使ちゃんがチームを率いる姿は視たが、それが誰なのかは全くわからない」

俺が説明すると彼は何かを考え出した。

少し難しかったかとも思ったが彼に限ってそれは無いだろう。

「だったら…」

彼は唐突に口を開いた、その顔は諦めと期待を浮かべていた。

「世界は幾つかの可能性があり、その可能性…世界樹の枝を渡る事は出来ても世界樹自体からは出られないって事か?」

世界樹か…また難しい例えだな…

「そうだ…だが、全ての枝が最初から有る訳じゃない…
枝は育つ、その人間の行動によってな」

「そう…解った…有り難う」

彼は何故か嬉しそうに礼を言った。

「天使ちゃんなんでそんな事聞くんだ?」

「もし…未来が決まってたら俺達に自由意思は無い…俺はそれが一番怖い…未来は…運命は決まった物で絶対不変…そんなのは嫌だから…」

その不安は俺が未来視に目覚めた当初、覚えた不安だった。

「天使ちゃん…君は…」

「迅は…迅はどう思う?絶対に避けられない未来が合ったら…諦める?それとも足掻く?」

「俺が未だに関わった事の無い人が運命をねじ曲げてくれる事を願う…かな。
そう、例えば今回の天使ちゃんみたいにね」

「もしも、もしも俺があそこでネイバーに殺られていたら、どうなってたかな…」

彼のif、しかしそれは彼の死を示す。

「もっと被害が出て、もっと時間がかかっただろう」

だから、俺は彼のifの前提には触れなかった。

「でも、まぁ、俺が死んでても迅達がどうにかしたんだろうね」

「そう、だな…」

彼は今、何を考えているのだろうか?俺は彼の言葉に曖昧に頷くことしか出来なかった。

「おーい!翼ー!」

彼を呼ぶ声が聞こえた。

side out










「おーい!翼ー!」

こちらに小波が駆け寄ってきた。

「どうした小波?」

「ああ、迅さんには用は無いわ」

バッサリ斬り棄てた…

「うわ、ひでぇ…てことは天使ちゃんにか?」

「そうよ、簡易シャワー室が出来たから一緒に行きましょ」

「ん、いーよ」

「え?」

ん?

「迅?どうしたの?」

「いや、なんでもない…」

「行くわよ」

小波に手を握られたので着いていく。

着いて行った先には大きなテントが有った。

男女で別れていたので男の方に行こうしたが…

ガシッ

「ちょっと、あんた何でそっち行くのよ?ほら、こっちよ」

「え?あ、ちょっ、待って、小波待って…」

と抵抗したが咄嗟の事であまり推力を出せない。

「まぁ、今まではお父さんと入ってたんでしょうけど、あんたみたいに可愛い娘は襲われるわよ」

あ、小波も俺を女って思ってる…

ブラックトリガーのせいだけど、ちょっと嫌だ。

そうこうしてる内に脱衣場に着いた。

「ふぅ…」

と、小波が服を脱ぎ始めた、取り敢えず眼を反らしておく。

「ん?なぁに?裸見るの恥ずかしいの?」

当たり前バカ小波

「大丈夫よ、同性だもの」

ちげぇよ!

「小波、俺は…」

「女の子が『俺』なんて言っちゃダメよ」

話を聞けぇ!

「ほらほら、恥ずかしがらずに脱ぎなさいな」

と、小波が全裸でこっちに来た。

逃げようとしたものの捕まってしまった。

「ほーら、脱ぎなさい」

と言って上着を脱がされた

ジタバタとしたが何故か脱がされてしまった…何故だ…

「あー!もう!あーばーれーるーなー!」

と、パンツ諸ともズボンを掴まれ…

ズルッ!

「あ…」

「え?」

「………」

「あんた…男?」

「……………」コクコク

「……………」

「……………」

「まぁ…いいわ、あんた女みたいだもの」

あぁ…今の言葉が一番胸に刺さった…

キッと睨みつける

「な、なによ、あんたまさか私の体に欲情してんじゃ無いでしょうね…」

ここで俺は思わず言ってしまった。

「誰が小波なんかの貧相な体にヨクジョーするかよ」

「な!な、く、くぅ…まぁ良いわ、あんたなんかに私の素晴らしさは解らないわよ…女みたいな顔だし」

「ぐぁ……」

「ま、とにかくさっさとシャワー浴びるわよ」

脱衣場の先に行くと区切られたシャワー室が有った。

「ねぇ、翼」

「なんだよ貧乳」

「ぐっ…その腰のはどうなってんの?」

俺の腰には翼があり、頭のうえには光輪が浮いている。

「さぁ?体の一部?」

「ふぅん…」

さわっ

「ひぁう!?」

な、何!?何今の!?びくってなった!?

「へぇ…いい触り心地ね」

さわさわさわさわ…

「あ、ひゃん、やめ、くすぐったいの…らめぇ!」

「ふふふ…女の子みたい…」

「やぁ!」

俺は本能に従い小波から距離を取った。

「はぁはぁ…」

「ふふふふふ…」

小波が手をワキワキさせながら近寄って来る。

じり…じり…じり…じり…とすん…

壁際まで追い詰められてしまった。

「ふふん…もう逃げられないわよ…つ・ば・さ…」

ネイバーより小波の方がこわい…

「う、うぅ…いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

周囲から強制的に力を吸い上げる。

バサッ!

肥大化した翼で体を包み、防御する。

『な、な、つ、翼!?』

『どうした天使ちゃん!?え!?何この毛玉…って天使ちゃん!?』

『え、ちょ、迅さん!ここ女子シャワー室よこの変態!』

『ち、違う!林道さんが!…あぁ、取り敢えず換装してこい!』

『言われなくてもやるわよ!』

『そしたら林道さんの所に行け』

迅が来たようだ。

『おーい、天使ちゃん?小波はあっち行ったから、出て来て大丈夫だぞ』

羽の繭に遮られくぐもった迅の声が聞こえた。

「ほんとう?」

『ああ』

バサッ…

羽の一部を開き外を見る。

「ほんとだ…」

羽に込めた力を霧散させ元の大きさに戻す。

「天使ちゃん、これつかいなよ」

迅が差し出したのはエアコンのリモコン位の大きさの何かだった。

「なにこれ?」

「予備のトリガーだ、握って使う意思を示せば仮のトリオン体が作られる…はず」

それを聞き俺はトリガーを受け取った

「トリガー……展開<オープン>」

『<オミテッド・トリガー起動>』

トリガーから音声が聞こえた

『<対象スキャン>』

なにか、体の上を撫でられるような感覚がした。

『<スキャン終了>』

『<トリオン体を構築します>』

そして一瞬体が吸い込まれるような気がした。

「おお!成功したな、やっぱりオミテッド・トリガーなら大丈夫だったな」

なんだそれ?

「オミテッド・トリガー?」

「後で説明する。さ、林道さんの所に行こうか」

「あ…羽が無い…」

「あ~…悪いけどトリガーってそういう物なんだ…」

「靴置いて来たんだけど」

なんでこのトリガーは靴『だけ』ないの?

「あ…ほら」

迅がしゃがんだので背中に乗る。

「行こうか」

俺は迅に連れられてテントに向かった。

中では林道さんが書類を書いていた。

その隣にはふてくされた小波が居た。

「あー!迅さんずるーい!」

「おー?来たか。取り敢えず小波には謹慎三日と減俸60%しといたから」

減俸六割って…

「天使ちゃん、ボーダーは衣食住は提供してくれるからね、心配は無いさ」

まるで軍隊だ。

「じゃぁ減俸九割位でよくない?」

「な!翼あんたねぇ…」

小波がこちらに何か言おうとしたのでそっぽを向いておいた。

「まぁ大方小波がなんかやったんだろ。詳しくは聞かないよ。他に何かあるか?」

「オミテッド・トリガーって何?」

「ああ、それね。戦わない人用の武装が無いトリガーだよ。
あ、換装解いたら換装する前の格好だから、ちゃんと服着ろよ」

「わかった」

「えっと…服取りに行こうか」

テントから出て迅はシャワー室に向かう。

男子シャワー室から忍田さんが出てきた。

「迅!貴様堂々と女子シャワー室に入ろうとは何を考えている!」

「あ、忍田さん…いやね」

「落ち着いて忍田さん、今回迅はわるくないよ」

「翼君?」

「小波が天使ちゃんを女子シャワー室に連れ込んで不貞を働いたんですよ。
で、小波は減俸と謹慎を言い渡されて俺達は天使ちゃんの服を取りに来ただけです」

「そうかなら早く済ませろ」

「なんで忍田さんは迅達みたいな服じゃなくてスーツなの?今シャワー浴びて来ただけでしょ?」

「今から市長達と会議だ。俺と城戸さんが出席。林道さんは書類処理だ」

「あー…頑張ってください忍田さん」

迅がすごく気の毒そうに忍田さんに行った。

その後服を取ってテントまで送ってもらった。

「天使ちゃん。朝食はどうする?持ってこさせようか?」

「いや、わるいよ」

「じゃぁ待ってるから」

そう言って迅はテントから出ていった。

「トリガー……クローズ」

『<オミテッド・トリガー起動終了>』

『<トリオン体を解除します>』

換装を解くと裸だった。

「早く着替えないと」

迅に悪いしね。

俺はそそくさと着替えてテントを出た

「お待たせ、迅」

「じゃぁ行こうか」

「ん」
 
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