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〜高校生組〜 妹達を追って
第10羽 うさぎたちの沈黙
前書き
始まりのーひそひそ話ー
ヒソヒソヒソヒソ…
その時、背後から何か物音がしたような気がした。
何か危険な気配がした気がした。自分で言うのもなんだが、こういう時の私の感覚は結構鋭いと思っている。
振り返った私はそこにあった小さな脇道に視線を送る。
「どうしたのリゼちゃん」
「しっ!あそこに何かいる!」
その言葉に、ココア達は私の後ろに身を寄せあう。
そして私がモデルガンを向けた先に出てきたのはー
真っ白でもっふもふなウサギだった。
それを見た皆は一斉に安堵の表情を見せる。
「なんだ、ただの可愛らしいうさぎだね」
「この街にもうさぎがいたんだな」
「うさぎ怖い」
いや、シャロに効果はバツグンだったようだ。
どうやら今回は私の直感は外れたようだな。私もフッと肩の力を抜いた。
「もふもふ…」
その後ココアがいつもの如くモフりに行った。じりじりとうさぎに近づいていくココア。私にはそのココアとうさぎの間で…何かが一瞬光ったような気がした。
次の瞬間ー気がついたら、私はココアを押し倒していた。
身体が勝手にココアに飛びついていた。
同時に軽快な「スコーン!」という音が自分の左側から聞こえて、音のした方に振り返ったらオレンジ色の魚屋の壁にうさぎが突き刺さってるのが見えたんだ。
「「「「え?」」」」
べつに君の聞き間違いじゃないぞ。もう一回言おう。オレンジ色の魚屋の壁にさっきのうさぎが刺さっていた。
よく見るとうさぎには白い角が生えていた。なるほど、さっき光ったように見えたのはこれか。
つまり、このうさぎはココアを刺そうとして…
背筋がゾッとした。さっきまでうさぎのいた路地に振り返ると…そこには。
同じようなうさぎが集まっていた。
20…いや、30か?
ぱっと数えきれない程のうさぎが。
「逃げるよー!」
ココアが叫ぶと同時に時が進み始めた。私たちは逃げ、うさぎたちは一斉に追いかけてきた。
「なんで私のところばかりに来るの!?」
気づけば私たちは道を広がって走っていたが…ああ、大半はシャロについてきていた。…まてよ?
「千夜、先回りするぞ!」
「え?わ、わかったわ!」
「シャロ、もう少し頑張ってくれ!」
「え?えっと…まかせてください!」
頼もしいシャロの叫びを背中に受けながら、千夜の手を引いて私は脇道にそれた。
「ぜぇ…ぜぇ…もう…走れない…」
「先回りしなきゃいけなかったからしょうがないだろ、ほら来るぞ」
目の前に再び角うさぎの大軍が迫ってくる。先頭には必死な表情のシャロとココア。千夜が攻撃態勢に入った。
まだだ。まだ、もう少し引きつけて…
私は肺いっぱいに空気を吸い込み、
「今だ!千夜!シャロとココアは」「フローズン・エバーグリーン!」「全力で避けろーーー!」
大きな氷の塊になり、道を塞ぐうさぎ達。シャロとココアはうまく避けきったようだ。
「危な、かった…」
「先輩、私、なんとか、逃げ切り、ました!」
「お疲れさま。ごめんな、無茶させて」
「いえ、これくらいなんでもないですよ!」
息を整えたシャロはぶんぶんと頭を振った。まだもうちょっと余裕がありそうだな。
「うさぎに好かれるシャロちゃんはしょうがないとして、私が一緒に追いかけられなきゃいけない理由はどこにあったの!?」
「ほら、甘兎庵が見えてきたぞ」
「スルー!?」
あれだけ遠く思われた甘兎庵はもう目の前にあった。
後書き
あれれー?おっかしいぞー?
今回で甘兎庵には着いてる予定だったのになーなんでまだ道中なんだろうなぁー?
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