儚き想い、されど永遠の想い
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94部分:第八話 進むだけその十一
第八話 進むだけその十一
「私達もですね」
「そうですね。それは」
「そう思われますか?」
「思うようになりました」
ここでもだ。義正はなってきたというのだ。
それは何故か。彼はこのことも話した。
「なったのです」
「最初はそうではなかったのですか」
「御会いしていませんでした」
それがなかったというのだ。それはだ。
「ですが御会いしてそうして」
「変わられたのですか」
「そうです。変わりました」
笑顔になっていた。お互いにだ。
それでだ。義正はまた話すのだった。
「私もはじまったのです」
「二人になったからですね」
「そうです。二人になったからこそ」
「では私もまた」
真理もだ。ここで言うのであった。
「はじまったのですね」
「そうですね。二人になったから」
「はじまりは二人から」
「一人ではないからこそ」
「はじまったのです」
こうだ。二人で言っていくのだった。
そう話してだった。彼等はだ。
そのはじまりを感じていた。そのはじまりを見てなのだった。
そのことからだ。二人はだ。ふとだ。
空が変わったのを見た。色が変わってきたのだ。
「赤くかけてますね」
「そうですね」
二人でだ。その色を見ての話だった。
「では。もう」
「帰りますか」
「そうですね。遅くなってはです」
「よく思われませんから」
健全な交際故にだ。それでの言葉だった。
そう話してだ。二人は。
砂浜から駅に向かう。そうしてそこから。
それぞれの家に帰るのだった。真理の方から先に下りた。
その彼女にだ。義正は列車の中から声をかけた。
「あの」
「はい?」
「駅の出口までお送りして宜しいでしょうか」
こう彼女に言うのだった。おずおずとした態度で。
「そうして宜しいでしょうか」
「ですが」
「時間が遅れることですか」
「はい、それはいいのですか?」
「構いません」
微笑んでだ。それはいいという義正だった。
「それ位はです」
「構いませんか」
「そうなのですか」
「はい、構いません」
また言う義正だった。
「それは構いません」
「そうですか。では次の列車に乗られるのですね」
「そうすればいいだけです」
それでいいというのだった。
「ですから」
「そうですか。では」
「それではです」
こうしてだった。義正はだ。
一旦列車から降りてだった。真理を見送るのだった。
それが終わってからだ。彼は次の列車に乗った。これが今の別れだった。
その別れの後真理は自分の屋敷に向かう。その時にだ。
ふとだ。咳を出してしまった。何度かした。
「また」
その咳を出してから言うのだった。最近出るその咳にだ。どうも困ったものを感じていた。
しかしそれをすぐに忘れてだ。彼女は自分の家に帰るのだった。
第八話 完
2011・4・17
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