紅茶と和菓子
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第一章
紅茶と和菓子
長原知美の好物は紅茶だ、だが今友人達はその知美の家で紅茶をにこにことして飲んでいる彼女を怪訝な顔で見ていた。
そうしてだ、こう彼女に尋ねた。
「あの、ちょっとね」
「今紅茶はどうなの?」
「あまりね」
「どうかって思うけれど」
「あれっ、どうして?」
紅茶を飲む知美自身は友人達に不思議そうに聞き返した。
「この紅茶美味しいわよ」
「いや、美味しいとかじゃなくて」
「今出てるお菓子和菓子じゃない」
「三食団子におはぎにね」
「きんつばもあるし」
見れば皆が座っているテーブルの上にあるのは和菓子ばかりだ、そしてそれぞれの娘の前に紅茶が入ったティーカップがある。
その和菓子達を見ながらだ、彼女達は知美に言うのだった。
「ちょっとね」
「この組み合わせはね」
「ないでしょ」
「紅茶と和菓子って」
「どうもね」
「ああ、和菓子ならっていうのね」
知美も友人達の言いたいことを察して答えた。
「日本のお茶ね」
「そうそう、番茶とかね」
「和菓子には日本のお茶じゃない」
「日本と日本で」
「それが普通でしょ」
「それで何で紅茶なの?」
このお茶を出していることを言うのだった。
「そもそも」
「そこがわからないわよ」
「どう考えたて合わないでしょ」
「紅茶と和菓子の組み合わせは」
「どうもね」
「美味しいわよ」
だが、だった。知美は平然とした顔で答えた。
「紅茶と和菓子もね」
「本当?」
「本当にそう?」
「お団子やおはぎと合うの?」
「きんつばとも」
「合うわよ」
知美はまた答えた、平然とした顔のままで。
「だから食べてみて、騙されたと思って」
「ええ、じゃあね」
「頂くわね」
「折角出してもらってるし」
「それじゃあ」
友人達は知美の勧めに従うことにした、それでだった。
それぞれ覚悟を決めてそうして紅茶を飲んでから各人がこれだと思った和菓子を手に取って食べた、すると。
知美の言う通り合っていてだ、こう知美に言った。
「えっ、確かに」
「美味しいわ」
「嘘みたい」
「紅茶と和菓子も」
「これがかなり」
「いけるじゃない」
友人達ははっとした顔になってそれぞれ言っていた。
「イギリスのお茶と和菓子なのにね」
「合うわね」
「嘘みたいね」
「そうよね」
「そうなの、実は子供の頃からこうして楽しんでるの」
知美も和菓子、きんつばを食べつつ笑顔で話す。
「これが案外以上にいけるのよ」
「本当に案外以上ね」
「合うわよ」
「和菓子食べて紅茶飲んで」
「この組み合わせもいけるじゃない」
「だってお茶はお茶だし」
それでというのだ。
「お菓子、和菓子にも合うのよ」
「成程ね」
「そういうことなのね」
「お茶はお茶っていうのね」
「紅茶も」
「紅茶はケーキやクッキーとだけじゃないのよ」
こうしたものとしか合わないのではないというのだ。
「和菓子とも合うの。それじゃあね」
「ええ、今日はね」
「紅茶飲んで和菓子食べて」
「そして楽しみませてもらうわ」
「そうさせてもらうわ」
友人達は笑顔で話してだ、そしてだった。
紅茶と和菓子の組み合わせを心から楽しんだ、知美は最初からそうしていた。そして友人達が帰った後もだ。
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