魔法科高校の劣等生の魔法でISキャラ+etcをおちょくる話
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第九十六話
「おにーちゃんあれは?」
「あれ?」
「あれ」
「あれは列車だよ。
今からあれに乗ってパリまで行くんだ」
「ぱり?」
「そうそう」
俺達はイギリスへ行くため、ひとまずベルリンの駅から列車に乗ることになった。
これからパリまで行って、観光して、そのあとイギリスへ行って、そして…
「一夏をとられた…」
「まぁまぁ、元気出してよ箒ちゃん。
いっ君はお兄ちゃんぶりたいんだから。
温かく見守ってあげようよ」
「取られてねーよ。俺は誰のもんでもねーよ。
あとぶってねぇよ正真正銘兄だよ」
「一夏は私の物だ」
「いっ君私と箒ちゃんの物~」
「戯け、弟は姉の物だ」
仲いいな。
「おにーちゃんはわたしのなの!」
「わぷ!」
円香に真正面からぎゅっと抱き締められる。
兄なのに…兄なのに…。
「ほうほう。モテるじゃないか一夏君」
円香の肩越しにすぐ後ろには生暖かい目の柳韻さんや楯無やヴィッサリオン。
「束も嬉しそうだ。だがあれの結婚相手は苦労するぞ一夏君」
「すでにしてますよ。でもまぁ、惚れた弱みって事で」
「箒の事も頼むわよ一夏君」
奥さんまで…
「おい坊主。お前もしかして…」
と楯無が俺と束さんと箒を見る。
しかし直後。
「はいはいお父さん。馬に蹴られる前にやめとこうね」
「楯無様、不粋です」
「待て刀奈!虚!…引っ張るな二人とも!」
刀奈と虚さんに引っ張られて楯無が何処かへ連れて行かれた。
「一夏…いいの? 放っておいて?」
簪指差した方では三つ巴…あぁ、いや、織斑篠ノ之両姉妹でバチバチしてた。
「円香ちゃんの腕の中なんだからきづこうよ」
そだねー。
「かんざしー、どうやったらとめられそう?」
「取り敢えず『自分は蚊帳の外です』って感じで私と話すのを止めたらいいとおもう」
「具体的に」
「試しに可愛い子ぶって媚びてみたら?」
「えー…」
「開き直ったら?楽になれるよ」
そーなのかー…
「じゃぁやってみるよ」
「へ?」
円香の腕の中でぐるんと体を回す。
「おにーちゃん?」
円香には効かんだろうが、後の三人には効くはず…
「ねぇ!」
四人の視線があつまる。
なるべく上目遣いで。
「俺の…ため…に…争っちゃ…やだ…よ…?」
「「「ぐはっ!?」」」
あ、鼻血だした。
「おにーちゃーん!」
円香もにもいっそう強く抱き締められる。
「恥ずかしいなこれ。もう二度とやらん」
すると簪が近寄って来た。
「今日のオカズにするね」
取り敢えず想子弾を目の前で弾けさせる。
「ふやぁ!?な、なに!?」
「円香の前でそういう話をするんじゃない」
「そーゆーはなし?」
ほらみろ…
「なんでもない。お前にはまだ早い」
「無知シチュ…」
もう一発。
「ふゆぅ!?」
そこで一両の列車がホームに入ってきた。
「ほら、俺達が乗る便だ。邪魔になるからさっさと乗るぞ」
「マジか」
車内に入ると、個室に別れていた。
「ホグワーツ特急みたいだ」
「ハリー・ポッター?」
隣の簪が俺の呟きに応えた。
「うん」
えーっと、一つのコンパートメントに…六人か。
俺、簪、刀奈、箒、束さん、姉さん、円香、本音、虚さん、エレン、リム、ヴィッサリオン、フィグネリア、柳韻さん、奥さん、楯無。
計十六人。
「一夏、入ろ」
「ん。わかった」
簪、本音、箒、円香、エレン、リムと同じコンパートメントに入る。
「もう一人行けそうね」
と刀奈が乱入してきて、八人になった。
「いや、六人だぞ」
すると窓際にエレンとリム、隣に簪と本音、対面の窓際に円香、隣に箒、刀奈が座った。
「ほら満杯じゃねーか」
とコンパートメントを出ていこうとした時…
ガシッと刀奈に腕を掴まれ、後ろに引っ張られた。
そのままぽすんと刀奈の膝に乗ってしまう。
「ほら、入ったでしょ?」
ジーザス。
汽笛が鳴り、列車が発進した。
「にしても軽いわねー…っていうか軽すぎない?
ちゃんと食べてるのかしら?」
と刀奈が俺の体をまさぐる。
「おい手付きがアウトだ」
「んー?こんなに筋肉があって軽い筈は…」
トゥワイス・グラビティ、ディキャスト。
飛行術式、ディキャスト。
「あら?」
「お前がさっき引っ張った時咄嗟に飛行術式を使ったんだ」
「魔法かしら?」
「そう言うこと」
「おねーちゃん魔法使えるの?」
と斜め前からエレンが質問した。
「できるよ」
片手をエレン達へ掌を向けて掲げる。
「水よ、世界を舞う水よ。我の前に姿を顕せ」
手の上に徐々に水が発生する…ように見える。
やがて水は大きめのビー玉程の大きさになった。
「すごいすごーい!」
とエレンは目を輝かせ、リムは無言で水の珠を見ていた。
「水よ、その形を顕せ」
水が少しずつ少しずつ凍っていき、やがて氷の真球となった。
ソレをふよふよとエレンの方へ向かわせる。
「エレン、手を出せ」
エレンが手をお椀の形にしたので、その上にゆっくりとおろす。
「わっ…つめたい…」
エレン、リム、円香は興味津々で氷の珠で遊び始めた。
残りは箒を除いて無言だった。
「一夏、今のどうやったの?」
「今のは何も無いところから水を生んだ訳じゃない。
このコンパートメントに漂う水蒸気をかき集めただけだ。
箒、窓開けて、触らずにね。CADは使っていいよ」
箒が窓に手を向けると、窓が独りでにあいた。
「わ~…もっぴぃもサイキッカーなの?」
「もっぴぃと言うのをやめろ。
あとサイキックではなくこれも魔法だ。
まぁ、サイキックと言っても間違いではないのだがな」
「一夏君。説明おねがい」
はいはい。
「俺達が使う魔法は、超能力研究の終着に位置する科学だ。
超能力を万人に使えるように体系化したのが俺や箒が使う魔法。
だから俺達がやる事は科学的に筋が通っているんだ」
「でも水を集めるにはエネルギーが必要なはず。
その運動エネルギーはどこからきたの?」
さすが簪、鋭い。
「俺達の魔法は、情報を書き換える事で発動する。
俺達が住む物質界とはべつの情報世界イデア。
そこにある個々の物体の情報体エイドスを書き換える事で、その情報と物質の相互作用で俺達は任意の現象を引き起こす。
さっきのもそうやって水を集めたのさ」
「「「?」」」
「お前ら重力の空間モデルは知ってるか?」
ポケットからハンカチを出し、広げ、空中に四隅を座標固定して浮かせる。
「これが宇宙な」
そして、開いた窓から入ってくる空気の水蒸気を集め、球を複数創る。
「これが星とかの物体」
一番大きい球をハンカチの上に置く。
するとそこを中心にへこんだ。
「この凹みが重力…つまり質量による空間の歪みだだ」
そこへ小球を転がすと、凹みへ向かっていく。
「コレが重力の仕組みだ。
一方俺達がやっていることを簡単に再現するとだな」
全ての球を浮かせる。
「ようするにこういう事だ」
中心を裏から引っ張る。
球を落とせばもちろん引っ張った所へ。
「コレが俺達だやったことさ」
ハンカチをしまい、作った水珠を凍らせて、エレン達へ渡す。
「ようするに、俺達はアカシックレコードの現象に関する欄を好きなように書き換えられるって事さ」
「おりむぅ、日本語話してよぉ…」
「これは口で行っても伝わらんからなぁ…
あぁ、そうだ。例えば『このエリアに入った物を減速させる』っていう風に空間の情報を書き換えたらバリアになるぞ」
「む?そんな面倒な事などせずに対物障壁を…」
「分かりやすく説明してんだから静かに」
「むぅ…」
箒が重力制御をつかい、俺を持ち上げ、自分の膝の上にのせた。
「今のは重力を制御したんだ。
情報を書き換えて重力エネルギーを別のエネルギーに変換して俺を一時的に軽くしたって訳。
魔法はエネルギーの収支が釣り合っていないと失敗しやすくなる。
世界を欺けないんだ。」
そうだな…
「ドライミーティアっていう魔法がある。
空気中の二酸化炭素をドライアイスにして打ち出す魔法だが、この魔法は気温が高いほど威力が上がる」
「なぜ?ドライアイスが溶けてしまうはず」
「エネルギーの収支。
つまり熱エネルギーを運動エネルギーに変換するんだ」
「なるほど」
あとは…
こんな事もできる。
パレードキャスト。
「え?私?」
「いま、俺は自分の外見情報を書き換えて、簪と同じ姿に『見せている』」
パレードディキャスト。
「一夏、古式の説明はいいのか?」
「めんどいからパス」
「古式って何かしら?」
「ようするに祓魔とか陰陽道とかさ」
「一夏」
「なんだ?」
箒の方を向くと、唐突にキスされた。
しかもディープキス。
途中で、ドン!という衝撃を感じた。
覚えのある衝撃だった。
箒が唇を離す。
案の定、箒には耳があった。
獣の、狐の耳が。
「ふぅ。古式魔法はこういった、いわば『怪異』を使役する術式も含まれる。
そうだろう?一夏」
「問答無用で耳を生やすな」
氷球で遊ぶ三人は気付いて居ないようだったが、更識姉妹と本音は目を丸くしていた。
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