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ドリトル先生と奈良の三山

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第十二幕その二

「それは」
「そうだね、読むと心が奇麗になるなら」
「有り難い教えだから」
 オシツオサレツも二つの頭でお話します。
「それならね」
「本当に同じだね」
「仏教徒の人達にとってお経は聖書なんだね」
 トートーはこう考えました。
「そして仏典も」
「キリスト教の本はとても多いけれど」
 聖書だけでなくとです、ダブダブは言いました。
「仏教もなのね」
「お経ってかなり多いみたいだね」
「お話を聞いてるとね」
 チープサイドの家族は先生のお話を思い出しました。
「相当な数があって」
「一つ一つ学んで覚えてくものみたいだね」
「そのお経も一杯あったのね、ここには」
 ポリネシアは境内をじっくりと見回しています。
「そうだったのね」
「ただ力があるだけじゃなくて」
 ホワイティも言います。
「学問も出来た場所なのね」
「そう思うと先生にはぴったりの場所かな」
 こう言ったのは老馬です。
「じっくりと学問が出来るのなら」
「先生は権力とかには興味がないけれどね」
 ジップはまず力のことからお話しました。
「学問は大好きだからね」
「うん、学問はね」 
 まさにと言う先生でした。
「仏教も凄く面白くて楽しいからね」
「だからだね」
「先生にしてもなのね」
「この興福寺は実に興味深い」
「そうした場所なの」
「そうだよ、仏教学はね」
 それはといいますと。
「素晴らしい学問の一つでね」
「学んでいてだね」
「先生としても楽しい」
「そうなの」
「とてもね。僕はキリスト教徒だけれど」
 そして神学者でもありそちらの博士号も持っています、尚且つ国教会の聖職者の資格も持っています。
「仏教もね」
「好きなのね」
「そうなのね」
「そうなんだ、そちらの論文も書いているしね」
 仏教のものもというのです。
「それも楽しくね」
「そうなの」
「それじゃあだね」
「興福寺の経典にも興味がある」
「そうだね」
「興味があるというか大事に保存してもらってね」
 そしてというのです。
「是非ね」
「残しておいて欲しい」
「貴重な文献だから」
「そうして欲しいの」
「うん、どんなことが書かれているかは他の文献で知ることが出来るし」
 そして読めるというのです。
「そこはいいんだ」
「そうなの」
「別に」
「読ませてもらいたいとは思うけれど」
 直接です。
「けれどね」
「それが出来ないなら」
「それならなのね」
「文献とかで読ませてもらう」
「あとコピーとか」
「コピーじゃなくて模写だね」
 それになるというのです。
「写経とかでの写しだね」
「そっちはいいの」
「そうなの」
「それじゃあ欲しくもないのね」
「そうなのね」
「欲しいとは思わないよ」
 先生は無欲さも出しました。
「別にね」
「成程ね」
「その辺りも先生だね」
「先生らしいね」
「無欲なのね」
「うん、読みたいけれど」
 それでもというのです。 
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