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背番号十

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第二章

「いいわね、じゃあね」
「ええ、サッカー頑張るわ」
 奈央はいつもこう返していた、彼女の部活での背番号は阪神では永久欠番の一つでもあるので余計に意識していた。
 だが甲子園に阪神の応援に高校の友人達と共に行く時にだ、奈央は友人達に着ている服について言われた。
「あんたいつも甲子園には阪神の服着ているけれど」
「私達だってそうだしね」
 見れば全員阪神グッズに身を包んでいる、それぞれ派手に赤や黄色でアレンジされた阪神のユニフォームを着ている。
「そうだけれど」
「背番号は十じゃないのね」
「六番じゃない、いつも」
「監督さんの現役時代の背番号じゃない」
「何で十番じゃないのよ」
「部活はその番号なのに」
「あの背番号は無理よ」
 奈央は友人達に真剣な顔で答えた。
「幾ら何でも」
「ひょっとして藤村さんの背番号だから?」
「初代ミスタータイガースの」
「だからなの」
「十番は着ないの」
「野球の時は」
「そうよ、絶対に着けられないわよ」
 奈央は断言した。
「十と十一、ニ十三はね」
「流石にっていうの」
「永久欠番は」
「着けて行かれないの」
「あんたの部活の背番号でも」
「恐れ多いわ」
 こうまで言う奈央だった。
「流石に」
「だから六番なのね」
「それにしてるのね」
「それも兄貴さんのお名前で」
「それを着てるのね」
「そう、監督さん広島時代は十だったし」
 阪神に移籍する時に広島時代の十番は阪神では永久欠番なので着けられないということで六番になったのだ。
「だからよ」
「それでっていうのね」
「応援の時は十番じゃないの」
「そこは外してるの」
「甲子園でも流石にいないじゃない」
 阪神ファン達が日本一集まる場所、今自分達が向かう場所もというのだ。
「そうでしょ」
「まあね」
「現役の人の背番号が一番多いわね」
「レジェンド選手も多いけれど」
「流石に永久欠番はね」
「ないわね」
「僭越に思うから」
 奈央にしてもというのだ。
「私も着けないの」
「サッカーの時の番号でもなのね」
「それでも」
「他の時も好きな数字だけれど」
 それでもとだ、また言う奈央だった。 
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