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儚き想い、されど永遠の想い

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67部分:第六話 幕開けその十一


第六話 幕開けその十一

「そのお店は」
「はい、レコードや楽器を売っているお店でした」
「そういったお店ですか」
「そこで聴けます」
 そうだと話す義正だった。
「クラシックのコーナーもありまして」
「そこでショパンも」
「その気になればショパン以外もです」
「それ以外もですか」
「はい、聴けます」
 穏やかな言葉でだ。真理に話した。
「そのお店で」
「そうですか。そこは神戸にあるのですね」
「そうです、神戸です」
 まさにだ。その神戸にだというのだ。彼等が今住んでいるこの街にだ。
「そのお店はあります」
「では。今度」
「行きましょう。こうしたコンサートもいいですが」
 それだけではないというのだ。音楽を聴くことはだ。
「レコードもまたいいものです」
「レコードにはレコードのよさがあるのですね」
「だからこそ今広まっています」
 ただそこに音楽家がいなくても音楽が聴けるだけではないというのだ。
 レコードそのものにもよさがある。だからこそ広まっているというのだ。
「ですから」
「わかりました。それでは」
「一緒に来て頂けますね」
「はい」
 また答える真理だった。こくりと頷いて答えたのである。
「そうさせて頂きます」
「それでは」
「楽しみにしています」
 また言う真理だった。
「是非共」
「期待して頂き何よりです」
 こう言葉を返す義正だった。
「ではそのご期待に添えさせてもらいます」
「そうして頂けるのですね」
「期待は添える為にありますから」
 それでだというのだ。
「ですから」
「成程、だからですね」
「はい、だからです」
 義正の返答は誠実なものだった。彼のその人柄を的確に見せているものだった。
「そうさせてもらいます」
「では」
「それでなのですが」
 話が決まってからだ。義正はだ。
 その話を変えてきた。今度はこう真理に話した。
「そろそろですね」
「そろそろ?」
「また。ピアノがはじまります」
 音楽の話だがだ。それは今の話だった。
「ですから。戻りますか」
「そうですね。それではですね」
「はい、戻りましょう」
 真理にだ。そのことを話した。
「そうしましょう」
「わかりました。そうですね」
 真理もだ。義正に笑顔で応えたのだった。
「会場に戻りそうして」
「今の。ピアノを楽しみましょう」
「そうしましょう。二人で」
「はい、二人で」
 こう話してだ。二人は今の話はそれで終わらせそれぞれ立ち上がりコンサート会場に戻った。義正が自分の席に戻るとである。
 義愛がだ。彼に言ってきた。
「戻ったな」
「はい」
「丁度いい時に戻ってきた」
 笑顔でだ。末弟にこう話すのだった。
 
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