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流星のラブライブ!

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プロローグ

 
前書き
どもども
今日から新シリーズ連載開始

ラブライブ!の世界に転生した弱いけど憎めない『クラウン』の物語だ。

これからもよろしくお願いします 

 
時は220X年。科学の発展により電波を使った革新的な技術な開発されて全ての電子機器が電波で繋がれている世界。地球外生命体を発見し、未知なる生命体と友好を結ぼうとするが失敗し襲撃を受けてしまう。地球はこの未知なる電波生命体の侵入を許してしまった。
人類は強力な力を持つ生命体と決死の戦いを行い、ついに敵を退けることに成功してしまった。

ここまで書いて纏めてしまったが地球征服の野望を掲げた宇宙人が地球侵略というカスカスになるまで見続けられたVHSのテープのようなシナリオにはお約束の青いヒーローが颯爽と登場して野望を打ち砕いてしまうのは古今東西、宇宙の四方八方どの銀河でもSF小説の中でお決まりの展開というかオチと言っても過言ではない。
読者や筆者にとってもこの場合は地球側について物語を読み進めていくと思う。
歴史は勝者によって創られるのはどの時代でも土台当たり前に行われてきたことであるし、それが一種の娯楽となって後々の世にまで語り継がれて行くことであろう。勝てば官軍とはよく云ったものだ。

まあ、ここで完成完結された物語について異議を唱えたり、賠償して欲しいや気持ちを分かって欲しいとか……ちょっとだけあるかもしれないけど侵略して悪い事をしたのは余もよく分かっておる。とりあえず諸々の事情をすっ飛ばして結論を言ってしまえば征服は失敗したという訳である。

我々は負けた。
いやー、強かったよあのヒーロー
見た目格好いいし
攻撃もデザインも気合入っていましたよ
若い子がきゃーきゃーいうのも分かる

侵略の第一手の宇宙ステーションを破壊するまでは任務としては簡単だった。
ひょっとして簡単に終わっちゃう?勝利の美酒にありつけたりしちゃう?
地球をどんな感じで統一するかとか、お城どんな感じにしようかなとかついつい妄想しちゃったよ。
なんか目の前のモノを破壊すればよいし、最初は油断してくれてたからさ。

あと我らの王様からの指令で今回の任務を行ったわけだから「失敗しました」って言って簡単に帰れるところじゃないし、暖かく迎えてもくれないし……命ある限りまたチャンスを窺って侵略行為を再開するってなかなかよ。
君たちの世界でいうところのブラック企業とかそこらへんでイメージしてみた方が良いかな。
思い出したくもないかもしれないけど「契約取れませんでした」って報告したら「はぁ!?取れるまで帰ってくんな」って部長や課長に言われたら途方に暮れるよね。
それに近いと思う。

自分の星に帰れないから
家にも帰れないわけだ
帰る手段もない
ロケット貸してくれるかなとも思ったけどこの不況の最中に
「すみません。地球侵略に失敗しました……帰りたいのでロケット一台ください」と面と向かって言った殴られて終わりだよね。

星には帰れないし、かといって玉砕する勇気もないから征服しに来た地球でまさかのサバイバル生活がスタートしたんだ。
宇宙人だろうが地球人だろうが、とりあえず生きるのに必死だった。
侵略メンバーで知恵を出し合って人間に擬態してバイトしたり、住処探してアジトにして、来る日も来る日もあの青いヒーローを倒す方法を画策したり大変。
テレビ局に勤めた輩もいたな……弁当分けて貰って日々食いつないでいくだけの生活。
なんか書籍を書いた奴もいてインタビュー受けたけど「宇宙人も悩んでいる」が結構ベストセラーになって少しだけ良い思いはしたけど出版社業界も一瞬でさ、すぐに生きるのに困窮する日が続いた。

余はそんなに小説書くとか苦手だし、武勇伝ならまだしも負けたとか陰鬱なのってどうにもこうにもにっちもさっちもブルドック並に波長が合わなくてねぇ
ここを読んでいる読者の方でも共感してくれる思うんだけど。読んでいるか分からんけど
そんな生活が続くと……癒しが欲しくなるんだよね
綺麗な風景を見に行ったりそれこそ猫とかペットとか、アニメとか「萌え」とか最高だと思うし。
そんな中でも選んだのは音楽なんだよね
苦しい時に聴いてたら元気にさせてくれたりとか明日も頑張ろうとか思えて……地球に来て久しぶりに前向きなれたのもある。
あの娘が歌う曲がもうワシの中で大ヒット。
歌っている姿も凄くかわいいのよ。余の中でマジ天使って言うのかな。
同年代には絶大な人気を得ているシンガーで話題のドラマにも出ていて毎週録画して何回もチェックしていましたよ。

その娘の名前は「響 ミソラ」っていってね。
あ、余はミソラちゃんって呼んでいるんだけどね。
赤毛の少しだけボーイッシュのシンガーでまだ11歳なのに国民的アイドル並の人気を博しておりました。

音楽を聴いてから余には波長が合ったこの娘しかいないと考えてバイトで貯めたお金を工面して彼女のグッズを買い漁り、足しげくコンサートに通ったり、その為に倍率の高いチケット争奪戦に宇宙人さながら参加してネット上で百戦錬磨のオタク達と殺り合い、時には騙される事もあった。
でもあの娘の為に「転売反対の運動」を率先して行い、ファンレターも書いて余に出来る限りの応援をコツコツとしていたんだ。
侵略メンバーの中にもミソラちゃんのファンがいて意気投合し、一緒のオタ仲間として応援をしていたのよ。
先着予約100名様限定のお宝ジャケット(CDジャケットのギターを弾いているミソラちゃんを傾けると、あら不思議購入者にウィンクとピースサインをしてくれる代物)を手に入れてニンマリとしているとそんな時に限って星からやっとなのか帰還命令が出てね。
星に帰れるのは嬉しいが二度とミソラちゃんともう会えないのが辛くて悲しくて、貯金を叩いて持ち帰るグッズを購入し、風呂敷に包んだ。
そして最後の思い出作りでミソラちゃんのコンサートの限定チケットを手に入れて仲間と一緒に見に行こうとした電車の中で王に逆らって地球破壊の兵器を起動させようとする元仲間のジェミニの襲撃を受けて頭にソードを刺されてしまったのだ。

これほど残酷な事がこの銀河中にあるのだろうか?
楽しみにしていたコンサートも観れずに死んでしまう事に余は震えた……仲間に逃げるように促した後で電波の道であるウェーブロード上で散らばるグッズを横目で見ながら余は……否、『電波界の無冠の帝王 クラウン』は感謝していた。

ミソラちゃんに逢えた事を
侵略しに来なければファンになれなかった
辛い時に元気をくれた歌の素晴らしさを教えてくれたのが彼女だった

ジェミニ……お主では勝てぬ
ロックマンにはな……余が認めた流星のヒーローじゃ

電波生命体の最期は星の最期のように激しく七色にうねりながら点滅を繰り返す。エレキソードの出力が上がり頭部を貫かれるとクラウンの輝く冠はダイヤモンドダストのように散り散りとなり愛すべきアイドルの居る地球に溶け込んでいった。

意識がなくなったからもう死んでしまったと思っていてね。
仲間を守れたから良かったが
やはり最後に立派なコンサートを見て思い残すことが無いように噛み締めて盛り上がってから死にたかったのが本音だ。
地球で死ねば地球のあの世にいけるのだろうか?

侵略者としては地獄とか天国とかの地球の尺度に考えは持ち合わせていないが、侵略者として裁かれるべきなのだろうなと思っていたら気付いたら妙に暗く何やら湿っぽい。地獄とはかく陰気な所であるなと考えていると聞き覚えのある声が聞こえてきた。
重力があちらこちらに移動、いやこれは持って揺さぶられているような感覚に近かった。
「……なんかお宝あるかも」
半覚醒の冠をフル動員してこの状況を推察しようとするが如何せん情報が足らな過ぎて、四方の壁に叩きつかれていく。声を思い出そうとしても激突音やくぐもった声で思い出すことが出来ないでいた。
ようやく揺れが収まったと思っていると上部の隙間から光が漏れ出して何冠から顔を覗かせるとそこにはかつての推しアイドルと瓜二つ姿の小学生と目が合うと大口をポカンと開けて徐々に青い顔色になっていき震えだした。

「ぎゃあああああああああああああああああああああああーーーーーが、骸骨ぅぅぅぅぅぅー!!!???」
「ぎょわわわわわわわぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーー!!ミソラちゃん!!!!?」
木箱から飛び出した年季物の冠から出現した発光する喋る骸骨の姿に戦慄した小学五年生の少年『響 ミソラ』。奇しくもクラウンが元の世界で大ファンで推していた国民的なシンガーでありアイドルと同じ顔、同じ赤い髪色、青いフード付きのパーカーを着ていて、正に性別以外は偶然の一致に近い。
クラウンは消される前ですら上げなかった悲鳴を上げた。それは骸骨の出現を目撃した彼も同様である。
運命の神は少しだけこの両者とこの街に悪戯をしでかしたらしい。


流星のロックマン×ラブライブ! クロスオーバー作品
流星のラブライブ!


出会いの話から少しだけ時を巻き戻し、ここはクラウンがいた世界から時間や場所がズレた世界で宇宙人からの侵略はおろか宇宙人がいるのかいないのかが年末特番として議論されている時代の日本の東京都千代田区にある『山ノ児玉小学校』と呼ばれる学校があった。
歴史としてある方で明治6年にとある教育者が開校し、現在では全校生徒180人。
激しい時代の流れに立ち向かえるように自主性を養いながら子供達の幸せを願うことを目標に掲げている。
自主性ですかー
悪く言えば放任主義?
でも度の過ぎた悪戯をしたら担任の育田先生から拳骨が飛んでくるから結構厳しいのかもしれない。
でもやりたい事や先生との距離が近いので割かし自由に学びを謳歌できているのは運が良いと云える。

五限の社会の授業が終わり、そのまま帰りの会になだれ込んでいってからのベルトコンベアー式の『さようなら』の挨拶を済ませた直後の五年生の教室で赤髪のショートカットを青いフードに覆った少年『響 ミソラ』は立ち上がっていた体躯を挨拶の頭を下げて勢い良く上げる動作の惰性に合わせて椅子に着地して机に突っ伏した(水飲み鳥の動きに近い)。そこから片付ける暇の無かった消しゴムのカスを集めてデコピンで弾いて激闘の証を次々と床に叩き落していく。
席は窓際から二番目の席で春爛漫とした桜吹雪や朗らかな風を感じる事ができるベストポジションであるのだが窓は閉められていて傾いた陽がうっとしい位に差し込んでいて燃え尽きたばかりのミソラには哀愁を強くするスポットライトに他ならなかった。
人数が少なくなる教室の中でランドセルを背負った左側の髪を結んだ少女が机で死んだように魂を出しているミソラに声を掛けた。

「だ、大丈夫?ミソラ」
レフトサイドテールの黄色いスカートお履いた少女の名は『矢澤こころ』と言った。ミソラとは幼馴染で腐れ縁。最初、ミソラを女の子だと思って声を掛けたのだが結果的に男の子だと判明した後でも学校帰りの下校で一緒に帰る仲である。
「こころー死んだ……僕の心は死んだ。社会のテストほとんど空欄で出してしまったよ」
「ミソラは社会が苦手だからね。早く準備して帰ろう」
今度はライトサイドテールの短パン姿の活発な少女『矢澤ここあ』がランドセルを背負って、机からヌルヌルと溶け出すクレイアニメのような姿に変貌したミソラに声を掛ける。
言う必要はないかもしれないが二人は双子で他に姉と弟がいるらしい。

「ここあー……ココア?……そういえばテストに出た」
「あっ!?ココアの生産量一位を書くのだっけ?」
「ココアの原材料だからカカオ豆じゃない?」
「そうそう!!ミソラはなんて書いた?」
「oh……こかこーら」
「あ、ミソラが口をあんぐり開けて頭の悪い人になっているわ」
注)某つぶやく青い鳥で有名なキャラの事。
「私は買い物手伝うから知っているよ!!」
こころが胸を大きく張って鼻をピンと伸ばした。自信満々に鼻息を吐き出した。
「カカオ豆と言えばチョコレート!!という事はあのお菓子のパッケージに書かれている『ガーナ』が正解よ」
「……コートジボワールだっつうの!!この前授業でやってたでしょ」
「オーノー」
ここあが頭を抱えて二体に増えた頭の悪い人に社会の教科書を広げてカカオ豆の生産のページを見せる。
参考写真の髭もじゃの男性が袋に詰めているカカオ豆と笑顔がまぶしい事よ。
ちなみにガーナは第二位だそうです。こころちゃん惜しい。
コカ・コーラは圏外でした。

「こーとじぼ?……!!!こーの所合ってる!!『こーとじぼ』の『こー』と『こかこーら』の『こー』が合ってるから部分点貰える!!!」
目をらんらんに輝かせてミソラが勢い良く立ち上がってビシッと指をここあに指した。
「もらえるかー!!」
「だって途中式書けば部分点がうんたらかんたらって」
「それって算数じゃないの?」
光っていた目に闇に飲まれていき、椅子に崩れ落ちるように盛大な音を立てて座ったミソラは「ふふふ……」と不気味な声を漏らした。
「人を持ち上げて落とすのはサイテーの事だと思うよ」
「いや持ち上げてないし、勝手に盛り上がっていたのミソラだし」
「聞いたほうが早いんじゃない?先生いるから」
こころがミソラのフードを持ち上げながら教卓の前でテスト用紙の入った書類入れと教科書などの荷物整理をしている担任の育田先生の方へとミソラの視点を動かす。
「そっか!!まだ望みは……」
「さっきの奴だったら部分点ないぞ」
こちらを一瞥するわけでもなくカバンのチャックを締めていく先生の一言に歩みだしたミソラの一歩は行き場を無くし右往左往した。
動きだけで育田先生は万博の有名な歌の動きを連想した。三歩進んだら二歩下がって結果的には一歩しか進んでいないような動きの奴だ。
月の石は人いっぱいで諦めた苦い思い出あり。

「なんで分かったんだ……あの鼻か?ブタ鼻のクセに」
「関係ないだろ」
育田先生のコンプレックスである上向いた鼻を絶妙に弄ってくるミソラに先生は生徒名簿で今日の授業で使った古代の地球儀をポンポンと叩いた。
「あーそれと響」
「は、はい?」
「これを準備室に片付けておいてくれ」
「えー……今しがた点を失ったばかりの哀れな小学生に雑用を押し付けるのはちょっと」
「これで少しは評価を甘くしてやるんだよ。意欲とかそこらへんで上げてやるつもりだったが……矢澤にまかせるか」
「?!」
矢澤姉妹が仰天したように顔を見合わせたが、地面を這うように一瞬で移動したミソラが古代の国名が入った地球儀をトロフィーのように持つとへこへこしながら先生の隣を陣取った。
「ぜひ運ばせていただきます。出席番号8番 響ミソラ……響ミソラが運ばせていただきます」
「選挙カーかお前」

そして教室の扉を開けて出ていく二人を目で追いながら、声だけが反響して段々と小さくなっていくの聴きながら矢澤姉妹はしばし目で追うと幼馴染というか腐れ縁繋がりでミソラの筆箱や教科書を黒いランドセルへと詰めていき、帰りの支度を始めた。
「今日は先生、一段とハリウッド俳優のトムにそっくりですねー」
「お前はその辺りの頭の回転は速いんだよな」
「これで◎(よくできました)が手に入ります?」
「んー?あと四回か五回手伝ったら△(頑張りましょう)だな」
「……僕の評価ってどのくらいです?」
「▲(諦めましょう)」
「あ、諦め!?」
今まで聞いた事のない評価に口をあんぐり開けて思わず地球儀を落としそうになってしまった。
「落とすなよ」

育田先生が職員室に入っていくのを見送るとはす向かいの部屋にある授業で使う用具を置いておく『教科準備室』へ地球儀を軽くブンブン振り回しながら引き戸に手を掛けて一気に開けた。
中は算数で使う三角定規の大きいバージョンや理科で使う人体模型が無表情に立ち尽くしている。子供心にワクワクして地球儀を棚に仕舞うとお宝探しでもするかのように音を立てないように慎重に手が届く範囲の箱を開けていく。
人体模型の視界に入らないように忍び足で伏せながら移動していく。

あの人体模型は宝を守る門番で視界に入らず、音を立てなければバレる事はない。
大きな音をたてたり、目が合ったアウト

勝手に準備室でのルールを決めていき、気分は怪盗にでもなったかのようだ。
フードを深く被って顔がバレないようにふるまうと大きめのそろばんをデタラメに弾いてパスワードを解いて開けたようにイメージしてとある古めかしい箱を手に取った。
箱には十字で切るようにヒモが走っており、隙間に指を引っ掛けると緩んだ気配がした。
軽く振ってみる。

「なんかお宝あるかも」
カラカラと中で音がしている。重いか重くないかでいえば少しだけ重い。
「ん?なんだろう?」
ミソラは十字のヒモをズラして一塊に集めて収束させると箱からヒモを分離させた。
慎重に箱を開けてみる、ナニカ中デ声ガ聞コエルヨウナ……
ミソラの背中に冷たい液体が滴るようなむず痒い感覚に襲われるが好奇心が少しだけ勝っている。
「!?」
「……?!」
綺麗な宝飾が施された冠が入っていたが気付くと冠を中心にほわほわした真っ白な骸骨の頭部が出現してミソラを見上げている。
「…………」
数瞬の間があったあとにホラーな展開にお決まりの悲鳴が学校内に響き渡った。
「ぎょわわわわわわわーーーーーー!!ミソラちゃん!!!?」
「ぎゃあああああああああああああああああああああああーーーーーが、骸骨ぅぅぅぅぅー!?」

運命の悪戯か偶然かは分からないが電波に生命体が居るとは考えが付かない世界に目覚めた元侵略者の『クラウン』はかつての亡霊ではなくこの目の前の少年『響 ミソラ』を新たなパートナーに迎えて、この平和な東京の街でニューヒーローとして名を馳せることになっていく。 
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