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レーヴァティン

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第四十六話 忍の者その五

 田畑もある場所からなくなった、良太はその田畑がなくなった場所を見て英雄にこうしたことを言った。
「あそこが、ですね」
「里の葉てだな」
「そうなりますね」
「別に柵や壁はないがな」
「はい、あそこから田畑がなく」
「家もない」
「小屋もです」
 それもなかった。
「そして人も行っていません」
「まさにあそこはだな」
「里ではありません」
「それがわかるな」
「境目は曖昧でも」
 それでもというのだ。
「ありますね」
「田畑も家もなく人もいない」
「領域ではないということです」
 そうなるというのだ。
「そこから先は」
「領域か」
「はい、里にも領域があり」
「世界だな」
「あちらはこの里の世界ではありません」
「そうなっているか」
「世界と世界の境目は曖昧な場合もあります」
 はっきりと分かれているとは限らない、良太はこう英雄に話した。
「川や壁で分けられているとは限りません」
「そういうことか」
「はい、では今はです」
「あちらには入らずにな」
「この里の中にいる彼に会いましょう」
「この家でござる」
 智は自分達の前にあるその家を見て述べた。
「噂の家は」
「そうか、ではな」
「家の中に入ってでござる」
「会おうか」
「六人目と」
 一同はこう話してその家、ごく普通の百姓の民家に入った。扉を開けるとそこに黒い髪の毛の中背で引き締まった身体の男がいた。身なりは百姓のものだが。
 その彼の方からだ、英雄達を見て言ってきた。
「あんた達まさかと思うけどな」
「わかるか」
「ああ、外の世界から来たっていう」
「御前と同じだな」
「そや、それがしもや」
 男は明るい口調で英雄に話す。
「この忍の里におるけどな」
「元々はだな」
「寝たらこっちの世界に来る」
「そうした人間だな」
「そやねん、この村に流れ着いてな」
「結婚してだな」
「今はここで暮らしてるんや」
 そうしているというのだ。
「かみさん貰って幸せにな」
「暮らしているか」
「そうや、しかし何時かはな」
「外の世界から来た者の話を聞いているか」
「既にな、それでや」
 そのうえでというのだ。
「自分等が来て誘いをかけると思ってたわ」
「そうか、話が早いな」
「もっと話が早くなるで」
 笑ってだ、男の方から話してきた。
「これからな」
「ではか」
「そや、この結城耕平今からな」
「俺達と共にか」
「この島を統一して世界を救う」
「その旅に出るか」
「そうするわ」
 こう答えたのだった。
「それがしもな」
「そうしてくれるか」
「ああ、ただな」
 ここでだ、その男結城耕平は百姓の服から瞬時に忍装束に着替えた。陽気で人懐っこい感じの漫才師を思わせる顔も目以外隠れてしまった。 
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