歌集「冬寂月」
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二十七
雨音に
想いぞふりて
夢見月
逢ふもなきにし
影そいだきぬ
屋根を叩く雨音は…心に想いを降らせる…。
寂しさを纏って老い行く…なんと虚しいことだろうか…。
三月は夢見月と言うが…なんの夢を見れば良いのか…。
もう会うこともない人…その思い出を抱くだけの…寂しい夢か…。
雲ぞ流る
見なば現の
しがらみに
迷いそ尽きぬ
夜半の月影
雲は風に流され…星はその雲に隠されて…。
私は何をやっているのか…生きているだけで実に様々なしがらみがあるものだな…。
時折垣間見える月明かりさえ迷って見えるように…私の迷いも尽きることがないようだ…。
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