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獣篇Ⅱ

作者:Gabriella
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20 親子の絆は、無敵。

_「いらぬ!このわしに、太陽などいらぬわァァッ!貴様らがごときか細き灯など、わしが必ず…かき消してくれる。その忌まわしき魂と体…引き裂いてなァッ!」


だが先に知に日輪を救い出すのが先だ。立ちふさがるものは皆倒しつつ、ただひたすら走って先に進む。

_「日輪様、もうしばしの辛抱です。お気をしっかり!」


_「いたぞ、反逆者どもだ!」



クソ、まただ。戦いが始まった。

_「チッ)ここにはッ…!鳳仙の方に人員を裂きすぎたかッ!まさかまだ鳳仙に与するものがこれほど残っていようとはッ!」



_「母ちゃん…こりゃ逃げ切れるもんじゃないね。晴太、アンタだけでも行っとくれ。」

_「母ちゃん!?」

_「安心しな、お前だけ逃げろ、なんてことはもう言わない。闘おう?一緒に皆と。私がここにいれば、敵を引き付けられる。お前はその隙の間に管制室に急ぐんだ。おそらく何人束になろうと、あの鳳仙を倒すことは難しい。でも決して歯が立たない訳じゃない。夜王がなぜこの地下深くに吉原を築いたか、分かるかい?そう、ここは誰のための桃源郷ではない。あの男が、陽の光から逃げるために創った、あの男だけのための桃源郷なんだ。鳳仙は太陽を何よりも憎み恐れている。ただで陽を嫌う夜兎。それも、何年も陽を浴びていない夜兎が、太陽の元に晒されればどうなるか。この吉原に築かれた地下は、元は幕府の艦船を製造していた造船所だったんだ。今は見えないよ、船を出し入れするハッチは天井に存在する。管制室へ行くんだ。そこへいけば、この鉛色の空をこじ開けられる。」

_「そのために、母ちゃんを囮にしろ、ってんのか?そんなの…」

_「逃げた先に自由なんて、ありゃしない。闘わなきゃ。檻の中で闘わなきゃ。檻を蹴破らなきゃ、ホントの自由なんて手に入りゃしない!最後まで闘わせてくれ、晴太。」

_「母ちゃん…今度会うときは、鉄格子なんてないんだから…思いっきり甘えさせてくれよな?」


_「晴太…」




_「オイ、準備はできたか?マザコン野郎。」

_「さァ、行こうか。吉原に太陽を、取り戻しに。」



よし、神楽ちゃんと新八かついている。私はここいらで戻るとしよう。


例のごとく、ワープする。

下から見上げた神威の目が光る。
よほど興奮しているようだ。


_「打てェェッ!」

打つ。ただひたすらに打ちまくる。



もう倒したとばかり思っている遊女たち。だが、気配でわかる。まだ鳳仙(かれ)はまだ死んでいない。

_「まだだァァァッ!」


銀時にクナイが刺さる。

_「銀時ィィッ!」



_「フフフフフ)
ぬるい…ぬるいわァァァッ!
貴様らがごときか細き光がいくら集まろうと、この夜王を干からびさせることはできはせん。この深き夜を照らすことなど、できはせぬわァァァッ!」


雄叫ぶ。

_「ば、ばかなッ…!あれだけやってもまだ…!」


神威が口笛をふく。
呑気なヤツ。私がここにいるのを知っててんなことしてんなら、後でぶっ飛ばす。

_「太陽などとはほど遠い。吹けば一瞬で消える蝋燭の灯のような脆弱な光。それが貴様らだァァァッ!大人しく死んだような目で我が鎖に繋がれておけば生かしてやったものを。まさか、一度は我らに消された残り火から飛び火をもらおうとは。火種は消さねばなるまい。その、鈍く光る光をォォッ!」


本性が出たな!?


月詠が短剣を抜く。それを銀時が制す。

_「待て、…もういい。もうオレだけで十分だ。その灯は取っときな?明日の煙草のためにな。」

銀時…お前一人で背負うつもりなのか?

_「武士道とやらか。殊勝なことだなァ。己一人の命を捧げて女たちの免罪を乞おうというのか?フン)
無駄だ。貴様が終われば次は女たちだァ。」

_「消させやしねェさ、もう誰も。たとえか細い蝋燭の灯でも、集まりゃァ闇も照らせる。たとえ灯が消されても、一本でも灯が残っていれば、また灯をともせる。…お前にゃァ、オレの灯は消せねェよ。何度吹き消そうと、無駄な話だ。オレにゃァ、取って置きの火種があるンだ。絶対に消えねェ、火種がついてンだ。ヤツらがいる限り、オラァ何度消されても、何度でも燃え上がる!」


そろそろ晴太が管制室の着いた頃だろう。今は、すべてが彼の 両腕にかかっている。
 
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