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相談役毒蛙の日常

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十九日目

央都アルン 混沌の館

「ようこそカトラス!我々カオスブレイブズは君を歓迎しよう!」

「どうしたトード。ついに逝ったか?」

「いや、新人迎え入れる時の御約束。
俺かイクシーズが絶対言わなきゃダメってなってんだ」

「へー…」

カトラスのレベリングをしながら環状山脈を越え、アルンへ、そして混沌の館へ…

なおこの間一週間。

今日はリアルで金曜日、時間で言えば26時だ。

多分混沌の館に入ったらイクシーズに文句言われるな…

「ま、取り敢えず入れよ」

ぎぃぃぃ…と正面玄関を開ける。

「戻ったぞぉー!あと新人連れて来たぞぉー!」

んー…

「誰も居ねぇな…出払ってんのか?」

まぁ…探してみるか…

「カトラス、ちょっとテルキス探すからついてこい」

「へーい」

んー…取り敢えず…

玄関から真っ直ぐ伸びる廊下、さらにその先の会議室。

先ずはあそこだな。

ツカツカと大理石の床を踏みながら会議室へ向かう。

ガチャ…

「おーい、誰かい、る…か……おや皆さんお揃いで」

いきなりヒット。

中には幹部会が勢ぞろい。

なんだ会議中だったのか…

「お?ギルマスが居たのかトード?」

俺の後ろからカトラスがヒョイと顔を覗かせた。

「「「「「「「「は!?」」」」」」」」

何故か全員が驚いたリアクションを見せた。

「あ、コイツはカトラス。俺がスカウトした。
種族はシルフ。得物は刀だ」

「あ、カトラスです。ヨロピク~」

「今までの一週間位コイツを育ててな。
ま、戦力になる奴だ。入団手続き頼めるか?」

真っ先にフリーズから回復したのはテルキスだった。

「あ、あぁ…わかった。例のプレイヤーだな?」

リアル、ヴァーチャル共に、テルキスには先に話を通してある。

「そうだ」

「いいだろう。しかしその話は後だ。
カトラス君も一緒でいいからさっさと会議に参加しろ。
いいな。トード、一週間お前の穴を埋める為に費やした労力分は働いてもらうからな?」

「は?なんで?俺に大した仕事なんて無いだろ?」

「この一週間。新規実装されたダンジョンの攻略で連戦だ。
あの双子を率いるのにどれだけ苦労したことか!」

あー…なるほど…たしかに新生ALO…通称"アップデート000"で追加されたコンテンツが大量にあるらしいからな…

「あー、わかったわかった。おいカトラス。こっち来い」

「いいのか?コレって幹部会なんだろ?」

「混沌の館の中にお前を放り出す訳にはいかないの。
ここの奴らはほんっとうにカオスだから」

いつも通りテルキスの隣に座る。

「よいしょっと!」

「わわわ!?」

カトラスを膝の上に乗せる。

「椅子が無いんだから我慢しろ」

「むぅ…」

その後の会議の内容は新ダンジョン攻略の会議だった。

なおカトラスは俺の副官という事になった。

「では他に意見はあるか?」

というテルキスの問いに、複数人が挙手した。

「ではリディ。アタッカー隊から何かあるか?」

リディ。創設メンバーにして現アタッカー隊隊長だ。

「では…おいトード!テメェ!その可愛娘ちゃんとどんな関係だコラァ!」

「スカウト隊からも同じ質問しまーす」

スネークお前もか!?

「では私からも…カトラスちゃん、ウチの相談役とはどんな関係なんだい?」

「はーい!ヴィーにどういけーん!」

リディ(♂)に続いてスネーク(♂)、ヴィー(♀)、カールターナー(♀)が質問した。

全員が創設メンバー、スネークはスカウト隊隊長、ヴィーはメイジ隊隊長、カールターナーはヒーラー隊隊長だ。

「ん?トードとは幼馴染だぞ」

「お前は正直に答えるな」

「別にコレくらいはいいだろ」

はぁ…

「幼馴染だと!?トード!貴様裏切るのか!?」

「うるさいぞエリアス!と言うか今関係ないだろ!」

とタンク隊隊長エリアス(♂)に言った…が…

「いーや!関係あるね!レイド中にうっかりお前に魔法が当たっちまうかもしれねぇだろ!」

「イクシードのお前がデバフをかけ間違えるんだったら誰の魔法も当たらねぇよ!」

エリアスは少々変わったビルドで、タンク兼バファー/デバファーなのだ。

「テルキス!さっさと閉めろよ!」

しょうがないので会議自体を終わらせる。

「そうだな…トードとカトラス君の関係は後で個人的に聞け。
以上で攻略会議を終了する!解散!」













「あー…つかれたー」

自室に戻りながら、そんな事を言う。

あれから、カトラスを入団させた。

その後はリディのバカがギルメン全員に俺とカトラスの事を有ること無いこと織り混ぜて広めやがった。

「あー…葵…わりいけど俺とお前で一部屋らしい…」

「別にいいぞ。どうせ倉庫だろ?」

「そうだぞ」

俺の部屋は混沌の館の最上階。

イクシードの部屋が集まっている階層だ。

「ここだ」

と言って部屋のドアを開ける。

「ぐっちゃぐちゃだな…」

俺の部屋は真ん中にベッド(天蓋付き)、その周りにオブジェが大量に置いてある。

「あのオブジェな、どうやってもストレージに入らねぇんだよ…
でもレアリティがレアリティだから捨てるに捨てられなくてな…」

「売れば?」

「買ってくれる奴が居ない」

「そか」

「攻略は明日だ。今日はさっさと落ちるぞ」

「ん」

ベッドに横になり、ログアウトボタンを押す。

「じゃ、お休み、いい夢見ろよ葵」

ログアウトすると、急激に眠気が襲ってきた。

時計を見ると29時…っていうか朝の5時…

「寝よ」
 
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