レーヴァティン
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第四十四話 琵琶湖その九
「お楽しみ下さい」
「それではな」
英雄も頷いた、そしてだった。
彼は酒を飲み馳走も楽しみ風呂も満喫してだった、そのうえで三人の太夫達と床に入った。その三人と寝た後で。
英雄は床から半身を起こして杯で酒を飲みつつこんなことを言った。
「これが女か」
「そうでありんすよ」
「わっち等は如何でありんした?」
「よかったでありんすか?」
「こんなにいいものとは思わなかった」
太夫達が入れた酒を飲みつつ答えた、見れば彼女達は白い身体に一糸もまとわず髪もほどかれて長く伸ばされている。簪も櫛もさしていない。
「実によかった」
「そうでありんすか」
「お侍さんも楽しんでくれたでありんすか」
「それは何よりでありんす」
「また楽しみたい」
こうも言った英雄だった。
「今からな」
「いや、わっち等三人を同時に相手にするなんてないでありんす」
「おなご三人同時は凄いでありんすよ」
「お侍さん並ではないでありんす」
「そんなものか、女ははじめてだったが」
それでもというのだ。
「いいものだった」
「最初から三人でありんすか」
「三人同時に相手にしてでありんすか」
「しかもわっち等を満足させてくれて」
「まだでありんすか」
「相手してくれるでありんすか」
「凄いでありんすな」
太夫達も驚くことだった、だが英雄は一杯飲んで実際にだった。また三人の太夫を相手にしたのだった。
そうしてから朝起きてだ、店を出る時に婆に言った。
「楽しませてもらった」
「いや、凄いですね」
「三人同時に相手にしてか」
「お侍さん豪ですね」
そこまでの者だというのだ。
「そんな方はそうはいませんよ」
「そうなのか」
「そうなのかじゃありませんよ、平気な顔ですし」
「よかった」
無表情で言う英雄だった。
「女はな、また機会があればな」
「来てくれるんですか」
「そして楽しませてもらう」
こう婆に言った。
「女自体もな」
「どうもお侍さんは色の道においては」
「かなりか」
「はい、そう思いました」
実際にというのだ。
「三人同時相手に、しかもはじめてでしたね」
「そうだったがな、よかった」
「そうは出来ないですよ」
「そうしたものか」
「ええ、大判を何枚も出してくれましたし」
金払いの話もする婆だった。
「気前もいいですし」
「それはこの世界だけのことだ」
「この世界だけとは」
「何でもない」
彼等の世界の話で婆にはわからないと見て話さなかった。
「だが女はよかった、ではまたな」
「はい、それでは」
婆も別れの言葉を送ってだった、英雄を送りだした。英雄は店を出ると暫く朝の遊郭を歩いていたがすぐにだった。
智と会った、その智に問うた。
「どうだった」
「おなごでござるな」
「楽しんできたな」
「はい、しかしでござる」
「しかし、何だ」
「実は夜飲んで抱いてでござる」
智は照れ臭そうに笑って英雄に話した。
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