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レーヴァティン

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第四十四話 琵琶湖その三

「機会があればな」
「それならであります」
 英雄の今の言葉を聞いてだ、峰夫がすぐに行ってきた。
「ここから少し南に行けば温泉街があるでござる」
「温泉街、そこでか」
「見事な遊郭もあるであります」
 まさにそうした場所だった、この島においてもそうした店があり場所があるのだ。英雄がまだ入っていないだけで。
「そこに行くでありますか」
「そうするか、そうした場所も必要だな」
「必要だから存在しているであります」
 遊郭、彼等の今の世界では風俗産業と呼ばれているものもだ。世の中に一切不要ならば存在している筈がない。清濁だの正邪だのを置いておいて人間にはそうした欲か感情があるのは紛れもない事実なのだから。
「だからであります」
「入るか」
「それでは」
「拙僧はどうも」
 僧侶の謙二は遊郭については困った顔で述べた。
「やはり」
「入られないか」
「女色はよいといいましても」
「妻でありだな」
「遊ぶことはです」
 そういった女色はというのだ。
「どうにも」
「それは駄目か」
「はい、こちらの世界の僧侶も」
「女色を楽しんでいる、溺れているからか」
「そうなりますので」
 まさに英雄が言った通りにというのだ。
「ですから」
「そうか、ではだな」
「拙僧は入りません」
 遊郭には、というのだ。
「そうします」
「では他の場所に行くか」
「般若湯を飲んでいます」
 つまり酒をというのだ。
「そうしています」
「わかった、ではな」
「はい、それでは」
「悪いが温泉街に入ればな」
 その時はとだ、英雄は謙二に話した。
「温泉自体を楽しんでな」
「そうしてですね」
「酒も飲みそうして」
「拙僧はそこに留まり」
「俺達はそうした場所にも行くかも知れない」
「では、ただ拙僧もお忍びで女色ではなく」
 そちらは流石に駄目だとしてもとだ、謙二はこちらの世界でもある仏門のそうした抜け道のことも話した。
「別の方はです」
「そちらの色はか」
「いいとされています」
「そうなのか」
「はい、こちらの世界でも」
「それはこの世界でも同じか」
「どうやら」
 こう英雄に話した。
「寺の中でもそうでした」
「人の欲は絶てないですからね」 
 良太は謙二のその話を否定せずに述べた。
「ですからどうしても」
「あるとですね」
「そう言わせてます頂き」
 こう謙二に言ったのだった。
「私としましては」
「そうか、ではな」
「温泉街では」
「それぞれ楽しむか」
「そうしましょう」
 琵琶湖においての話だ、一行は琵琶湖の西岸を西に西にと進んでいく。その間時々だが魔物も倒していたが蛟とは戦わなかった。
 そして温泉宿に行くとだった、一行はまずは素麺を食べたがその素麺は汁の温かい素麺所謂にゅう麺であり。 
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