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レーヴァティン

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第四十四話 琵琶湖その二

「一メートルある鯰だ」
「日本最大の鯰です」
「その鯰も食えるか」
「食べようと思えば、そして鯰以外に魔物もいて」
「魔物もいるか」
「そちらにはご注意を」
 琵琶湖にいる魔物にはとだ、良太はこのことは忠告した。
「くれぐれも」
「強いか」
「そうしたものもいる様です」
「となると龍か蛟か」
「蛟の様がいると聞いています」
 謙二が言ってきた。
「琵琶湖には」
「そちらか」
「はい、龍より格は低いですが」
 蛟がさらに長生きすると龍になると言われている、その期間は数百年であるとされている。
「しかしです」
「それでもだな」
「蛟も強いです」
「そうだな、では蛟が出たらな」
 その時はと言う英雄だった。
「倒す」
「そうされますね」
「その時はな」
 英雄は湖を見つつ謙二に答えた。
「蛟とはまだ戦ったことはないが」
「龍より幾分力が落ちますが」
「それでも強いか」
「はい」
 それが蛟だというのだ。
「ですから出て来た時はです」
「注意が必要か」
「さもないと遅れを取ります」
 油断出来ない相手だというのだ、蛟は。
「大きくしかも強いので」
「龍になるだけあってか」
「非常に」
 実際にそうだと言う謙二だった。
「その蛟も琵琶湖にいます」
「わかった、では蛟が出たらな」
「その時はご注意を」
「そうしていく、だがな」
「だが?」
「蛟も魔物がいてもな」
 それでもとだ、英雄は青く澄んでいる琵琶湖を見て言うのだった。
「奇麗な湖だな」
「そうですね、見ていますと」
 良太が英雄の今の言葉に応えた。
「思わず入ってしまいそうな」
「そうしたくなるな」
「この湖は」
「自然とな、あちらの世界の琵琶湖と同じだな」
 起きたその時の世界と、というのだ。
「このことは」
「あちらの琵琶湖にも行かれたことがあるのですね」
「二回か三回な、そしていつも思った」
 その琵琶湖をだ。
「入りたいとな、しかしそれは琵琶湖の南の方だった」
「大津市やその辺りですか」
「そうだった、西の方には行っていない」
 琵琶湖のそこにはというのだ。
「あちらにはな」
「あちらはでござる」
 智がその琵琶湖に西について述べた。
「風俗の世界でござるから」
「それは知っている、そちらは俺はな」
「行っていないでござるか」
「興味がないと言えば嘘になるが」
 しかしと言うのだった、英雄は表情を変えずに智に答えた。
「まだ行ったことがない」
「そうでござるか」
「まだな、そしてだ」
「こちらの世界でもござるな」
「行ってみたいものだ」
 そうした店にというのだ。 
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