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儚き想い、されど永遠の想い

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422部分:第三十二話 紅葉その十二


第三十二話 紅葉その十二

 それでだ。こうも言うのだった。
「貴女の魂に」
「私が何度生まれ変わっても」
「はい、そうです」
「私の魂が」
「無意識。これも大事なのでしょう」
 フロイト的なものはまだ確かにはなっていない。しかしそれでもだった。
 義正はだ。まだそれが確立されていないフロイト的なものを実際に話したのだ。己の中で感じながら。
「それは人を形成するものですから」
「無意識がですか」
「そうです。人の心を」
「だからこうしてですね」
「はい、花に他のものを」
 見て欲しい、義正はこう述べていく。
 そうしてだった。その蘭を見てだった。義正もその花について述べた。
「いいと思います」
「蘭達がですね」
「はい、非常に奇麗です」
「そうですね。こうして見ていると」
「心が奇麗になるように思えます」 
 そこまでだというのだ。そしてだった。
 それを見つつだ。義正は落ち着いた顔になりこんなことも話した。
「ではです」
「蘭の次はですか」
「この植物園では果物も多く採れます」
「果物ですか」
「召し上がられますか」 
 そのだ。果物をどうかというのだ。
「そうされるでしょうか」
「柿はあるでしょうか」
「柿ですか」
「それに葡萄は」
 そうしたものがあるかというのだ。義正に対して問うたのである。
「あるでしょうか」
「この植物園には我が国の果物もありまして」
「では柿も」
「あると思います」
 こう彼に述べるのだった。
「そしてです」
「そして?」
「柿と葡萄ですね」
「はい、そうしたものです」
「それを食べましょう。ですが」
 柿と聞いてだった。義正はだ。
 少しだけ戸惑う顔を見せてだ。こう真理に話すのだった。
「柿はお身体にあまり」
「よくないですか」
「身体を冷やすと言われています」
 だからだ。今の真理にはだというのだ。
「よくないと思いますが」
「そうなのですか」
「ですがそれでもですね」
「はい、柿と葡萄です」
 その二つをだというのだ。秋の味覚のだ。
 そしてそれに加えてだった。義正からも果物を出してきたのだった。その果物は。
「梨もどうでしょうか」
「梨もですか」
「梨もまた秋の果物ですから」
 それでだというのだ。梨もだというのである。
「だからですが」
「そうですね。梨もあれば」
 真理もだ。梨についてもなのだった。
「いいですね。それで」
「はい、それで柿のことなのですが」
 義正は柿のことに話を戻してきた。そうしてだ。
 真理にだ。こう答えたのだった。
 
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