レーヴァティン
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第四十三話 鞍馬山その十
「それでもだ」
「倒すか」
「そうするか」
「俺は今言った」
やはり断言だった。
「そして嘘を言ったつもりもない」
「決してか」
「ではだな」
「ここで修業しつつ待っていろ」
最先達も大天狗も飲んでいるかの如きだった、非常に強い気が身体全体から発せられていた。黄金色のそれが。
「この山でな」
「その言葉確かに聞いた」
「我等もな」
先達と大天狗は英雄のその言葉に頷いて答えた。
「そして貴殿の心も受け取った」
「それもな」
「ならばだ」
「ここで是非聞かせてもらおう」
鞍馬山においてというのだ。
「貴殿が島を統一し海の魔神を倒したという話を」
「そして世界を救ったという話をな」
「是非だ」
「ここにいてな」
「そうしてもらう、では次だ」
英雄は前を向いていた、それが言葉にも出ていた。
「次の場所に行く」
「五人目のいる場所にでござるな」
「そうだ」
まさにそこにとだ、智に答えた。
「そうする、これからな」
「ではまずはでござるな」
「都に戻りだ」
そうしてというのだ。
「情報を集めるとしよう」
「五人目のでござるな」
「出来れば六人目以降もだ」
他の面々の情報もというのだ。
「集める」
「そうでござるか、では」
「まずは都だ」
この島に最も人が多く情報も集まるこの街にというのだ。
「戻るとしよう」
「待て、五人目ならだ」
それならとだ、大天狗が五人に言ってきた。
「知らない訳ではない」
「知っているのか」
「ここから南、甲賀に行くことだ」
その場所にというのだ。
「そこに五人目がいる」
「甲賀か」
「そこは忍の里だがな」
「その忍の里にか」
「外から来た者がいるという」
「そしてそいつがか」
「おそらくだが」
英雄達が探しているというのだ。
「五人目だ」
「そうか、ではな」
「そこに行くか」
「そうする、この山からだ」
鞍馬山からというのだ。
「甲賀の里に行く」
「甲賀の里はここから南です」
良太が言ってきた。
「琵琶湖を左手に見つつ下りです」
「そしてだな」
「その先にあります」
「そうか、ではな」
「これからですね」
「甲賀の里に行く」
今いる鞍馬山からというのだ。
「そうする」
「それでは」
「すぐにこの山を出る」
「わかりました」
「行くがいい、漢達よ」
最先達は腕を組み彼等に告げた。
「そして新たな仲間を手に入れるのだ」
「わかった、ではまたな」
「機会があれば会おう」
最先達は英雄達に言った、英雄達はそのうえで鞍馬山を下りた。そうして次の目的地である甲賀の里に向かうのだった。
第四十三話 完
2017・11・22
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