エルフ×エルフ
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第一章
エルフ×エルフ
森エルフとダークエルフは元々は同じ種族だった、だが地下に移住したエルフ達がダークエルフという黒檀の様な肌と見事な銀髪、エメラルドの様な緑の目を持つ外見となってから別の種族となった。
だが彼等が元々同じ種族であり生物学的にも近い存在であることは明らかであり婚姻も可能であることは事実だった。だが居住している地域の違いから両者が交流を持つことも少なくなっていた時代が続いていた。それが多くの種族が様々な地域に混在して居住する様になってからこのことも変わった。
エルフとダークエルフも普通に交流することになりそこから交際がはじまりだした、そして遂に結婚する者が出た。
ある街でパン屋をしている銛エルフのアルカード=クリスソンとそこで勤めていた娘であるダークエルフのアン=コートナーガ結婚することにした、両者共典型的な森エルフとダークエルフの外見だ。
周囲は二人の結婚を祝った、だがここで誰もが疑問に思うことがあった。それは一体何についてかというと。
「子供はどうなるんだろうな」
「そうだよな、二人の間の子供は」
「エルフとダークエルフの間の子供の外見はどうなるんだ」
「エルフになるのか?」
「それともダークエルフになるのか?」
「どっちなんだ」
「それがわからないな」
こう話す、それは当人達もそうでアルカードは妻となったアンに首を傾げさせつつ尋ねた。
「僕達の子供はどんな外見になるんだ?」
「そうよね」
妻も微妙な顔で返す。
「私もそれがずっと気になってるけれど」
「わからないね」
「ダークエルフは元々森エルフだから」
このことから言うアンだった。
「森エルフになるかしら」
「元々同じ種族だしね」
「そうじゃないかしら」
「いやいや、確かに僕達は肌や髪の毛の色が違う位の違いだよ」
「それ以外は変わらないから」
「だからだね」
「エルフになるんじゃないかしら」
「そう言うとだよ」
アルカードはアンに返した、二人共夕食の後でテーブルに顔を見合わせて座っているが真剣な顔である。
「もうね」
「ダークエルフにしても」
「あるんじゃないかな」
「色の違いしかないから」
「子供は両方の親の血が入るじゃない」
だからだというのだ。
「僕達の子供もね」
「ダークエルフの血も入って」
「ダークエルフになることもね」
妻の、子供にとっては母の血を受け継いでというのだ。
「可能性があるよ」
「そうなの」
「だからどうなるかは」
「わからないのね」
「肌の色も」
エルフは白、ダークエルフは黒だ。どちらも見事なツヤを誇っている。
「両方の血が入るよ」
「じゃあ灰色?」
「白と黒が混ざって」
「そうなるのかしら」
「灰色の肌なんて」
アルカードはその肌の色を想像してこう妻に言った。
「何かトロールとかゴブリンとか」
「そんな感じね、言われてみれば」
「エルフ的じゃないね」
「そうね、あの人達の感じよね」
「ちょっとそうした肌の色のエルフは想像出来ないな」
「言われてみれば私も」
アンもそうした肌の色のエルフを想像してみて首を傾げさせた。
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