アイドルの義務
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第一章
アイドルの義務
山北郁美はアイドルになることが夢でありとにかく歌と踊り、外見を磨き事務所のオーディションを受けまくり履歴書も出して出して出し続けた。その努力が実り見事大手芸能プロの一つ八条芸能事務所に採用されたが。
マネージャーになった生稲聡美に笑ってこう言われた。
「最初のお仕事はグラビアでいいわね」
「グラビアですか?歌じゃなくて」
「勿論歌ってもらうし同じ事務所の先輩の娘のラジオに出たりね」
顔出しの様な形でだ。
「あと色々レッスンもあるけれど」
「まずはですか」
「郁美ちゃんスタイルいいから」
だからだというのだ。
「グラビアよ、まずは」
「そう、ですか」
郁美は聡美が大きな目と愛嬌のある口元の顔でにこにことしながら話すのを聞いて言った。面長で顎の先がやや尖っていて切れ長のはっきりした目をしている。唇は紅で鼻は高い。黒髪を奇麗なロングヘアにしていて背は一六三位でありスタイルは上から八十六、六十、八十七で形もかなりいいものだ。
「私の初仕事は」
「郁美ちゃんスタイルいいからね」
「だからですか」
「そこを見て採用されたしね」
「あの、歌は」
「歌もよ、あとキャラクターもね」
面接の時に見られている、尚面接をした中には聡美もいた。
「明るくて素直で真面目でね」
「それで、ですか」
「いけるって思ってね」
「採用でしたか」
「けれど最初はね」
「スタイルですか」
「それを見てだから」
だからだというのだ。
「グラビアお願いね」
「それからですね」
「歌とかバラエティとかだから」
「そうなりますか」
「ドラマとかもね」
「何かどんどんですね」
「うちは真面目な娘は大歓迎で真面目な娘だったらね」
それならと言う聡美だった。
「見捨てないから」
「だからですね」
「そう、頑張ってもらうから」
だからだというのだ。
「郁美ちゃんにもね」
「頑張ってもらって」
「成功してもらうからね、アイドルとして」
「そしてアイドルの最初のお仕事は」
「グラビアだからね」
それでというのだ。
「頑張ってね」
「そうですか、まさかです」
「まさかって?」
「いえ、最初のお仕事がグラビアですか」
このことについて言う郁美だった。
「そうなるとは思っていませんでした」
「写真集出る位頑張ってもらうからね」
聡美は郁美に笑ってこうも言った。
「いいわね」
「写真集もですか」
「そうよ、いいわね」
「写真集って」
そう言われてもだ、郁美はまだ採用してもらって正式なデビューもまだなので信じられないといった顔で言った。
「夢みたいですね」
「今は夢みたいでもね」
「それでもですか」
「そのグラビアのお仕事が成功したら」
それならとだ、聡美は郁美ににこにことして話していく。
「お話が順調に進めばだけれど」
「写真集ですか」
「勿論DVDもよ」
そちらもというのだ。
「出してもらうわよ」
「ううん、歌やバラエティかと思ったら」
「アイドルというか女優さんでも誰もが通る道よ」
「グラビアは」
「今ドラマやバラエティに出ている女優さんやタレントさんもね」
その彼女達もというのだ。
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