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レーヴァティン

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第四十三話 鞍馬山その一

               第四十三話  鞍馬山
 英雄達は鞍馬山に向かう途中の最初の山で夜は洞窟を見付けてその穴に入った、すると入ったところでだった。
 雨が降ったのを見てだ、英雄は峰夫に言った。
「実際にだな」
「はい、山にいるとであります」
「こうしたこともわかるか」
「風、そして空気の感じでであります」
「空を見ずともわかるか」
「天候の変化は」
「成程な、山は自然そのものだ」
 そうした環境だからだというのだ。
「その中に長い間住んでいるとな」
「わかりました、そしてであります」
「雨の夜はか」
「旅や修行の時はこうして雨を逃れているであります」
「成程な、しかし鞍馬山には庵はないのか」
「いえ、あるでござるが」
 峰夫は英雄そして他の仲間達に鞍馬山での暮らしのことも話した。
「しかし夜に修行する時は入らずにであります」
「外で修業をしているか」
「そうであります」
「成程な、だから雨の夜はどうするかもわかっているか」
「左様であります」
「そのこともわかった、では今から食うか」
 夕食のことは忘れなかった、それでだった。
 英雄も他の面々も持っていた干し飯を出してそれを食いだした、水をかけると大きくなるのでそれを食べてだった。
 英雄は少し浮かない顔になってだ、仲間達にこうしたことを言った。
「俺は実はこれは好きじゃない」
「干し飯はですか」
「そうなのですか」
「そうだ」
 自分達も干し飯を食べている良太と謙二にもこう返す。
「味も口ざわりもな」
「両方共お好きでない」
「だから今もですか」
「あまりな」
 どうにもという顔での返事だった。
「浮かない」
「そうですか、しかしです」
「食べられるならです」
 それならばと返す二人だった。
「まずはよしとしましょう」
「餓えるよりはいいですから」
「それはわかっている、しかしな」
 どうにもという声で言うのだった。
「やはり干し飯はな」
「お好きではなく」
「あまり召し上がりたくないですか」
「どうもな」 
 言いつつも食べているがやはり浮かない顔である。
「出来れば食いたくない、こうした持ち運んで食うものもな」
「今後は干し飯でなくですか」
「他のものを食されたいですか」
「何か考えるか、だがこれはだ」
 今度は小魚を干したものを出して食った。
「好きだ」
「干し魚はお好きですか」
「そうだ」
 こう智に答えた。
「こちらはな」
「左様でござるか」
「干し肉や干し魚は好きだしな」
「その辺りは人それぞれの好みでござるな」
「そうだな、米は日本人なら誰でも好きだと思うが」
 それでもとだ、今度は再び干し飯を食っていた。
「食い方はそれぞれだな」
「では玄米はどうでありますか」
 峰夫はこちらの飯のことを聞いてきた。
「白米ではなく」
「そちらも別にだ」
「食べられるでありますか」
「麦飯も好きだ」
 こちらもというのだ。
「これもな」
「麦飯もですか」
「あちらの世界でも結構食っている」
「それはまた」
「確かに白米が多いが」
 こちらを一番よく食べているというのだ、起きた時の世界では。 
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