転生とらぶる
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ペルソナ3
1976話
「誰だっ!?」
「そんなっ! 私のルキアには、何も人の反応なんて!?」
扉の中に入った瞬間に掛けられた声に、美鶴が叫ぶ。
いや、美鶴だけではなくつい先程ルキアを使って周辺の探査をした山岸の口からは信じられないといった動揺の言葉が叫ばれる。
他の者も驚いており……それは、俺にとっても同様だった。
自慢ではないが、この世界で……いや、この世界を含めて様々な世界の中で、俺程に死線を潜り抜けてきた相手は、まずいないだろう。
それは人型機動兵器の戦いや生身での戦いを含めた、あらゆる戦いに関してだ。
それだけに、俺は相手の気配を感じるという能力には自信がある。
自信があるだけに……こうして、扉の向こうに人が、それも2人もいるにも関わらず、その気配を読む事が出来ないというのは、ちょっと信じられない出来事だった。
だが、一瞬だけ感じた動揺もすぐに沈静化する。
考えてみれば、探査能力に優れた山岸のルキアですら、地下施設にいるというイレギュラーシャドウをしっかりと確認出来なかったし、ましてやこの2人の姿を見つける事も出来なかったのだ。
そうなると、考えられる可能性はそう多くはない。
今回のイレギュラーシャドウにルキアの探査を妨害したような能力があり、あの2人の気配も覆い隠していたか、それともあの2人にそういう能力があるのか……もしくは、そういう効果を発揮するマジックアイテムの類があるという可能性も否定出来ない。
それとも、この場にいない向こうの仲間が何かをしているという可能性もあるか?
ともあれ、何らかの手段でこちらの感覚を妨害しているのは間違いなかった。
素早く考えつつ、改めて俺達の前に現れた2人の姿を見る。
そこにいるのは2人。
俺達に声を掛けてきたのは、長髪の男。何を考えているのか上半身は裸だ。夏だから暑いのかもしれないが。
ともあれ、その長髪の男はどこか虚無感に近いものを感じさせる。
声を掛けてきたのと、もう1人の男が半歩下がっているところを見ると、この男が主導権を握っているのだろう。
そしてもう1人は、眼鏡を掛けたインテリ風の男。
こちらは半裸の男の部下といった形なのは、その立ち位置を見れば明らかだ。
ん?
だが、その眼鏡を掛けた男の顔に、どこかで見た覚えがあるような気がした。
どこだ? 一体俺はこの男をどこで見た?
残念ながら……と言うのもどうかと思うが、俺がこのペルソナ世界に来てから会った事がある者はかなりの数になる。
それこそ、顔を見ただけで会話をした事もないような相手となれば、一体どれだけの数になるのやら。
ともあれ、眼鏡の男の顔を思い出そうとしているのだが、それよりも前に会話は進んでいく。
「初めまして。私の名はタカヤ。こちらはジン。ストレガという名前で活動している者です」
「ストレガ……?」
何か聞き覚えでもあったのか、美鶴は微かに眉を顰める。
ストレガ……ストレガか。俺は初耳だが、一体どんな集団だ? いや、影時間にこうしてここにいるのを思えば、自然とどのような連中なのかというのは想像出来るのだが。
「さて、皆さんの今日までのご活躍、影ながら見させて貰いました。聞けば人々を守る為の『正義の戦い』なのだとか。それはご立派です。本当にご立派だと思います」
そう言いながら、タカヤと名乗った男は拍手まですらしてみせる。
だが、後ろのジンもそうだが、心の底から俺達の活動に対して賛成している……とは、到底思えない。
そして、事実……
「ですが……それは、止めて貰えませんかねぇ?」
そう告げ、こっちに殺気を叩き付けてきたのだから。
それも強烈な殺気……という訳ではなく、ジワリと滲み出てくるような、そんな殺気。
殺気の類に慣れている俺はともかく、他の連中はタカヤの発する殺気に押されているように見える。
だが、そんな中で最初に口を開いたのは美鶴。
「馬鹿な、何故影時間を解決するのを止めようとする?」
「影時間やシャドウが消えたら、この力かて消えるかもしれへん。そんなん許される訳ないやろ!」
「力? 待て、この状況で力だと? お前達、もしかして影時間に適応しているだけではなく……ペルソナ使いか!?」
そう叫ぶ美鶴だったが、タカヤの方はそんな美鶴の言葉に答えるでもなく、口を開く。
「シャドウは常に我々と共にあるもので、そこに災いが含まれるのも当然でしょう。また、人が人を襲うのも、これもまた当然。当然……つまりそれは摂理、自然の法則と言っても間違いではありません。ですが、貴方達はその自然の摂理を自分達の独善だけで変えようとしています。貴方達の正義は自然の摂理に反した、嘘や偽りでしかありません。そう正確に言うのであれば……偽善以外のなにものでもない!」
美鶴と会話をするのではなく、自分の意見だけを言っているだけのタカヤ。
話しているように見えて、会話が噛み合っていないその様子は、一種異様なものを感じさせる。
そして、俺は以前にもそんな相手と会話をしたことがあった。
……そう、ギアス世界で戦った相手、シュナイゼルとだ。
もっと、自我というべきものが殆どなかったシュナイゼルに比べると、タカヤの方は強烈なまでの自我が存在しているのだが。
「あんたら、本当は気が付いてるんやろ? 影時間を知る前に比べて、今の方が生き甲斐……充実感があるってことを。そんなに退屈な日々に戻りたいんか? 生きる目的そのものがなくなってしまうで?」
タカヤとジン。
ストレガと名乗った2人の言葉に、俺以外の全員が完全に呑まれていた。
自分達が正しいと信じてやってきた事が、もしかしたら全く意味がなかった事かもしれないと、そう言われたのだ。それも、さも当然といった風に。
その辺りから考えると、ここまで真っ向から反対された事のない美鶴達が相手の言動が理解出来ず、圧倒されてしまっても仕方がない。
まぁ、イレギュラーシャドウを倒さなければ、世界が滅亡するかもしれないというにも関わらず、それと全く気にした様子がなく偽善だと言われたのだから、相手が理解出来なくてもおかしくはないが……だからといって、このまま向こうの言う事を聞く訳にもいかない。
「お前達が何を考えているのかは、分かった。それに、どうしたいのかもな。だが……正直なところ、それがどうした? というのが俺の本音だな」
『アクセル!?』
空間倉庫の中からゲイ・ボルグを取り出しつつ、全員の前に出る。
後ろから俺の名前を叫ぶ声が聞こえてくるが、取り合えず今はそちらを気にする必要はないだろう。
そもそもの話、向こうが何をどのように希望していようが、この世界が滅亡されると困る。
「おや、貴方は……」
「アクセル。アクセル・アルマーだ」
「知っています。この影時間にいながらにして、ペルソナを使わずにシャドウを倒す力を持つ者。……正直、貴方のようなイレギュラーな相手が存在しているという事からして、疑問なのですがね」
「疑問だろうが、何だろうが、正直なところ関係はない。生憎と、俺は影時間をそのままにしておくという選択肢は存在しないからな。それに、退屈な日常だと? それは別にいいじゃないか。この世界でだって、影時間以外にもそういう存在はある。どうしても日常に馴染めないなら、そっちに行けばいいだろう」
そう言ってはいるが、実際のところ本当にこの世界にそういう存在が他にあるのかどうかというのは、俺にも分からない。
だが、過去にシャドウという存在がいた以上、他にもそういう存在が現在進行形であってもおかしくはないだろう。
……最悪の場合はホワイトスターに連れていくという手段もあるが、正直なところこんな奴をホワイトスターに連れていくと混乱する未来しか見えない。
ともあれ、ホワイトスターに戻る前にこの世界が破滅するというのは俺にとっては問題外だし、何よりそうなれば、俺を愛するといったゆかりすら殺してしまう事になりかねない。
他にも美鶴を初めとした知り合いがこの世界の破滅に巻き込まれるなんてのは、絶対にごめんだった。
「なるほど。貴方のような存在がいるのであれば、影時間以外に……と言うのも、満更嘘ではないのでしょうね」
「ちょっ、タカヤ!?」
俺の言葉を認めたタカヤに、ジンが慌てたように声を掛ける。
お互いの立ち位置もそうだが、こうして見る限りでは完全にタカヤが主導権を握っているのだろう。
だからこそ、ジンにしてみればタカヤが俺の言葉に興味を示したように見えて慌てた……といったところか。
「落ち着きなさい、ジン。ただ、少し彼の言う事が気になっただけです。影時間をどうこうするつもりは、今の私には一切ありません」
「全く、驚かせんといて下さい」
そんな2人のやり取りに、残念だと思うと同時にやっぱりなという思う俺がいる。
もしかしたら……本当にもしかしたらだが、タカヤがこっちの言葉に興味を持ち、影時間について終わらせるという事を受け入れるのではないかと、そう期待してしまったからだ。
「この非日常的な時間が終わるのが嫌だったんじゃないか?」
「そうですね。それもあります。ですが、ジンも言っていたでしょう? もし影時間を終わらせた場合、私達の力……ペルソナという力もなくなるかもしれないと」
「別に力という点ではペルソナに拘らなくてもいいんじゃないか? 俺の方に来れば、それこそペルソナとは違った力を教えてやる事も出来るぞ?」
「アクセル!?」
後ろから、美鶴の驚愕の声が聞こえてくる。
まぁ、その気持ちも分からないではない。
現在俺が美鶴に対して開示している情報から考えれば、俺がタカヤ達に対してペルソナとは別の力……そう、つまりネギま世界の魔法を教えようとしているように思われても、おかしくはないのだから。、
影時間に適性を持ち、その上でペルソナ使いとして覚醒しなければ使えないペルソナと違い、ネギま世界の魔法はそれこそ誰もある程度までは覚える事が可能だ。
そんな魔法を、タカヤのような存在に教えるのは危険だと、そう美鶴は言いたいのだろう。
もっとも、当然のようにそんな魔法をタカヤのような奴に教えるつもりはない。
タカヤという人物の性格を考えると、それはこの世界にとって致命傷になりかねないというのが大きい。
どこかシュナイゼルに似た虚無感……いや、破滅願望か? ともあれ、そういうのがある以上、ネギま世界の魔法なんか教えたら、一体どうなる事やら。
だが、取りあえずそういうのがあると油断させるという意味では、ネギま世界の魔法は見せ札として大きいと思う。
「そちらの女性……桐条美鶴の様子を見る限り、どうやらブラフという訳でもなさそうですね。ちなみにその力がどのような力なのか……教えて貰えますか?」
「そうだな、例えば……そこにいるのとか」
タカヤの言葉に俺が示したのは、山岸の足下にいる子猫の炎獣。
タカヤ達も、まさかそんなのがいるとは思っていなかったのか、子猫の炎獣を見て思い切り驚いている。
……まぁ、白炎で生み出された炎獣だしな。それこそペルソナやらシャドウやらについて詳しい者であっても……いや、だからこそというべきか、驚愕するのだろう。
ペルソナとかそういうのを出した訳でもないのに、魔法のように見える何かを使ってるのだから。
「それに……こういうのもある」
タカヤとジンの視線が子猫の炎獣に向けられた瞬間、俺は気配遮断を使用する。
「なっ!?」
驚愕の声が上がったのは、ジン。
まぁ、俺の事が見えなくなったんだから、それで驚くなという方が無理だろう。
幸い……って言い方はこの場合正しいのかどうか分からないが、ジンもタカヤも普通に生身の目で俺を見ている。
これでもし何らかのカメラとかそういうのでこっちを見ていれば、俺が気配遮断を使っても意味はなかったのだが。
「え? ちょっ、おい! アクセルはどこにいった!?」
背後から真田の驚く声も聞こえてくるが……お前、俺の気配遮断は知らなかったっけ?
ともあれ、この状況になってしまえば向こうにはどうしようもない。
「……これは面妖な。一体彼はどこに? ペルソナ能力の類は使っているように見えませんでしたが、彼は元々ペルソナ使いではありませんしね。そうなると、彼が言っていた魔法云々という話が関係しているのでしょうか?」
「タカヤ、そんな悠長なこと言ってられへんで! 消えたっちゅうことは……」
ジンが何を警戒しているのかは、俺にも理解出来る。
そして理解したまま……俺の姿は、ゲイ・ボルグを持ったままタカヤの後ろにあった。
まだ攻撃態勢には入っていない。攻撃態勢に入れば、気配遮断の能力は解除されるしな。
タカヤが……ストレガが何を考えているのかは分からないが、とにかくお前にはここで退場して貰う。
怪我をさせて入院させて、影時間の解決から退場して貰うのではなく、人生からの退場。
シュナイゼルに似た……もしくはそれ以上に質の悪い破滅願望を持っている以上、こちらとしては妙な方向に引っ掻き回すよりも前に手を打っておく必要がある。
じゃあな。
そう判断し、俺は攻撃態勢を取る。
気配遮断の効果が解除され、ゲイ・ボルグを構えた俺の姿がタカヤの後ろに現れ……
「アクセル、駄目だ!」
そんな美鶴の声が周囲に響くのだった。
後書き
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1435
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.10
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1389
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