ドリトル先生と奈良の三山
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第八幕その六
「不自然だね」
「これ古墳じゃないの?」
「形もそんな感じだし」
「山にしてはね」
「おかしいね」
「こうして見ると余計に思うね」
実際にと言った先生でした。
「この山は普通の山じゃないって」
「遠くにも見えるね」
「こうした山が」
「あの二つの山もそうよね」
「三山よね」
「そう、畝傍山と香具山だよ」
先生はその二つの山の名前も出しました。
「やっぱり万葉集にも謡われていてね」
「昔からあって」
「それでなの」
「和歌にも謡われている」
「そうなのね」
「そうなんだ、僕もこうして見ると」
耳成山をしみじみと見ながら思うのでした。
「この山は本当にね」
「おかしくて」
「それでだね」
「どうかって思う」
「そうなのね」
「先生にしても」
「他の二つの山も見るよ」
畝傍山と香具山もというのです。
「今日のうちにね」
「うん、じゃあね」
「次はどの山なの?」
「どっちの山に行くの?」
「畝傍山を見よう」
こうしてです、畝傍山も見て香具山も見てでした。先生達はとりあえず大和三山を見て回ってでした。昨夜お話していた川の幸を食べさせてくれるお店に入りました。
そのお店で沢蟹やたにし、それに泥鰌に鮒と鯉を食べてでした。動物の皆はこれはというお顔になって言いました。
「あっ、これもね」
「結構いいね」
「たにしも美味しいし」
「沢蟹も小さいけれど独特の味で」
「泥鰌もいいわ」
「勿論鮒も」
「そうだね、鯉は食べたけれど」
それでもと言った先生でした。
「以前にね」
「他のも美味しいわ」
「そうそう、鮒にしても」
「どれもね」
「中々いけるわ」
「こうしたのをね」
まさにとです、先生は沢蟹を塩茹でにしたものを食べながら言いました。
「万葉集の頃は食べていたんだ、ただ」
「うん、お醤油やお味噌も使ってるけれど」
「鯉はお刺身でお醤油に漬けてるし」
「どれもね」
「そうした調味料は使ってるわね」
万葉集の頃にはなかったものをです。
「それはね」
「やっぱりね」
「そこは違うわね」
「そうしたことは抜いておくべきね」
「お醤油やお味噌は」
「うん、けれど食材はね」
調味料は置いておいてです。
「同じだよ」
「たにしにしてもね」
ダブダブはそのたにしを楽しく食べています。
「そうね」
「ふうん、たにしってこういう味なのね」
ポリネシアもたにしを味わいつつ言います。
「美味しいわ、これも」
「泥鰌も結構」
トートーはこちらを食べています。
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