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魔法科高校の劣等生の魔法でISキャラ+etcをおちょくる話

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第八十話

神原駿河と相対してから、三日目の朝。

今日はゴールデンウィーク前日。

抑圧された学生達が解放を目指して最も頑張る1日だ。

「それで、昨夜は?」

「ん?昨日も〔ヤツ〕は来たぞ。
撃退したがな」

「……………」

隣を歩く箒から、昨日のレイニーデヴィル戦について訊かれた。

「昨日も同じようにファランクスで攻撃を受け止めていたら数分で帰ったぞ。
まぁ、そろそろレイニーデヴィルも契約の履行が不可能だと解る頃だろう」

「だといいのだが…」

「なに、心配する事はない。俺には再生があるからな」

すると、箒が俺の肩に手を置いた。

「一夏。お前が簡単には死なない上、超常の力を操る事を私達は知っている。
だが、だがそれでも、目の前でお前が傷付くのを見ているのは辛いのだぞ?
よく『遺される者の事を考えろ』というが、お前は『見ている者の事を考えろ』」

「コレは手厳しい」












神社で稽古をした後、神社からの帰り道を歩いていると…

「一夏」

「どうしたほう…」

「今日はお前の家に泊めて貰うからな」

いきなりだなぁおい…

「荷物は?」

「ウカノミタマに入っている。
と、言うよりもお前の部屋に置いてあるだろ」

「あのねぇ、普通異性の部屋に服を置かないの。
少しは恥じらいを持て」

「今更だな」

「アマノハゴロモが無いんだからさ、俺だって魔が差すんだぞ?」

「それでもお前はそうしないだろう?」

「お前の厚い信頼に涙が出そうだよ」

「なに、あの女との戦いで疲れたお前を癒してやろうと思ってな」

「いやかえって疲れる気がする」

「ほう?」

あ、だめなやつだこれ…

搾られる…あ、でも束さんがいないから…

「橙。やれ」

『はいはーい』

「え?」

ドン!という衝撃が精神を揺さぶった。

「ぐあ!」

まさかレイニーデヴィル!?

と思ったが、周りには箒のエイドスしかなく、日もまだ沈んでいない。

そして、箒をみるが…

「おい箒テメェ!」

箒の頭に狐の耳があった。

それに腰の辺りに違和感が…

「なぁに、ゴールデンウィーク中には元に戻る」

「いやぁ…だってさぁ…」

狐モードのお前…色々凄いじゃん…

いや、まぁ、俺もだけど。

「大丈夫だ。千冬さんのOKは取っている。
『いっそ木乃伊にしてしまえ』とな」

「姉さぁぁぁぁぁぁぁぁんっ!?」

「それにな、一夏。今のお前は、獣化しておくべきだ。
命を狙われているのだ。少しでも強化しておけ」

『そうだよ。本当なら三日前からますたーに憑依しときたかったんだよ?」

ああ、そうだな…

「橙の言うことも最もだ…逃げろ箒!
ファランクス!」

side out











「ちぇんのいうことももっともだ…にげろほうき!
はらんくす!」

住宅街に差し掛かり、一夏が叫ぶと共に、サイオンが溢れ出した。

「橙!手筈通りだ!一夏のサポートとあの女の足止めを頼む!
五分で戻る!」

「わかったよほうき!
ますたー!れいにーでびるを縫い付けて!」

「もどる!?いやにげろよ!」

「行くぞ稲荷!」

『うん!箒!』

飛行術式キャスト!

待ってろ一夏…! 今日でケリを付けさせてやる!

side out














「行くぞ稲荷!」

そのまま戻ってくるなよ…!

しかし、そんな思考は、ファランクスが破られた事で、放棄せざるを得ない。

「ファランクスが破られた!?
バカな!?」

『ますたー!怪異を舐めすぎ!』

くそ…!

ヤツの拳を視ると、先日からあった貫通力高の情報強化だけではなく、グラムディスパージョンに類似した術式すら纏っていた。

「う…そだろ!?神原駿河の願いの為に術式を組んだってのか!?」

つまり昨日までのは対抗術式の為の布石…!

ニィ…とレイニーデヴィルが笑みを浮かべた。

そして、ヤツが、一歩踏み出した。

マズイ…!

「剛気功!」

レイニーデヴィルの拳と、剛気功のクロスガードが激突し、爆音を轟かせた。

「ぐぁ!?」

だが、体格差故に、俺が押し負けてしまう。

数メートル吹っ飛ばされた。

飛行術式を展開。

その勢いのまま、空中に逃げる。

「はぁっ…はぁっ…!」

剛気功は、正確には魔法ではない。

その上、術式の性質上ファランクスには組み込めない。

だから、剛気功の対抗術式をヤツは持っていない。

「ヤツは空中なら追ってこれない…
最悪朝までこのままだが…まぁ、いい」

だけど、その考えすらも甘かったと思い知らされた。

ヤツが屈伸したかと思うと。

目の前に、ヤツがいた。

「!?」

「ヒャァァァァァァァ!」

「ガッ……!ハッ…!」

ゴプリ、と血が喉の奥から溢れてきた。

視線を、自らの胸に向ける。

ヤツの、腕が、胸を、貫いていた。

「この高さをかっ…!?」

神原駿河の十八番は、ダンクシュート。

必要とされる跳躍力は、必然的に大きな物となり、それを怪異によって強化された彼女の脚力は…

地上十数メートルの俺の胸を貫く程のエネルギーを産み出していた。

「えぐず…ぷろー…じょん」

俺を中心にし、今度はレイニーデヴィルが吹っ飛んだ。

【胸骨破砕/心臓破損/各血管断線】

【自己修復術式起動】

【魔法式ロード】

【コア・エイドスデータ バックアップよりリード】

【修復開始】



【完了】

「くそ…」

レイニーデヴィルは、地面に足を付け、此方を見上げ、にらみつけていた。

「レイニーデヴィル!
俺は死なん!神原駿河との契約の履行は不可能だ!」

だけど、ヤツはそんな事関係ないと言わんばかりに、呪詛を撒き散らす。

「イ…ニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニ……」

狂気を孕んだ呪詛。

しかしその呪詛は、途中でぷっつりと途切れた。

それを途切れさせたのは、この場に最も似つかわしくなく、それでいてこの場に最も相応しい人だった。

「あら、いったい誰の事が憎いのかしら?
修学旅行から帰って来たと思ったら、随分と物騒じゃない、神原?」

ひたぎ…さん…?

「待たせたな、一夏。
これで、ケリが付く」

そう言って箒が俺の隣に浮遊している。

「お前…まさか…」

「うむ。ひたぎさんの家まで一っ飛びして来た。
さぁ、大人しく彼女等の再開を喜ぼう」

ほんっと。イケメンだよな。お前は…

地上へ意識を向けると、こんな会話をしていた。

「神原。私は貴方をそんな風に育てた覚えは無いわよ」

「戦場ヶ原先輩…」

「彼は、私の恩人よ。そんな彼を殺そうなんて、随分と偉くなったわね神原。
私は貸し借りだけはきちんとする人間よ。
もしも貴方が彼を傷付けたなら、私は貴方に同等の報復をするわよ?」

「…………」

ひたぎさんがレイニーデヴィル…いや、神原駿河へ歩み寄り、そのフードを脱がせた。

「本当。バカな子。
直ぐに私の処に来てくれていたら。
私は貴方を受け入れて、また一緒に居ようと言ったのにね」

「戦場ヶ原先輩…今でも、一緒に居ようって、いってくれますか?」

神原駿河の涙声に、ひたぎさんは、しっかりとした、慈愛に満ちた声で答えた。

「勿論よ神原貴方は、私の、たいせつな…」



「箒、これ以上は野暮だろ」

「そうだな」

こうして、ここ数日にわたる騒動は、幕を閉じた。












翌日 阿良々木家。

「はい一夏くん。これ注文のヤツだよ」

「わざわざすいません暦さん」

「でもこれ本当に使うの?
買うとき誓約書書かされたんだけど?」

「試してみます?」

「いいのかい?」

「ええ、勿論です」

数十秒後、阿良々木家には、長男の悶絶する声が響きわたるのだった。
 
 

 
後書き
そろそろストックが切れます。 
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