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儚き想い、されど永遠の想い

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367部分:第二十八話 余命その九


第二十八話 余命その九

「そしてそこで」
「ではそこで」
「皆さんと一緒に」
 こう話してだった。二人でだ。
 実際に二人は食堂に行きだ。食べようとした。そこに行くと。 
 婆やだけでなくだ。佐藤もいた。そうしてだ。
 彼以外にもだ。メイドや運転手、それにシェフ達もだ。屋敷にいる全員がいた。
 その彼等がだ。笑顔で二人を出迎えてきた。そうして言ってきたのである。
「ようこそ」
「よく来て頂けました」
「席はもう用意してますので」
 こう話してだった。二人をその席に案内してだった。
 席につきそのうえでだ。佐藤が彼等を代表して言った。
「ではです」
「今からだね」
「はい、蕎麦を召し上がりましょう」
 笑顔でだ。こう言ってだった。
「そうして一年を振り返り」
「これからのですね」
「新しい一年を迎えましょう」
 こうだ。真理達に話したのである。
「お蕎麦を食べてからです」
「お蕎麦はいいものですね」
 婆やもここで話す。彼女の蕎麦を前にして。
「ただこうして食べるだけでなくです」
「蕎麦湯ですね」
「それも楽しめますので」
 穏やかな笑みでだ。義正に答えたのである。
「非常にいいものです」
「そういえば婆やは昔から」
 真理は幼い頃から自分と共にいてくれているその婆やのことを思いだしながら述べた。
「お蕎麦が好きでしたね」
「そうです。おうどんも好きですが」
「お蕎麦はとりわけ」
「大好きです」
 まさにそうだというのだ。蕎麦は大好物だというのだ。
「食べていると落ち着きます」
「そこまでのものなのですね」
「お蕎麦は素晴らしい食べ物です」
 こうまで言う婆やだった。
「ですから是非です」
「こうして食べて」
「一年の最後に」
 婆やはもう箸を手にしている。義正がだった。
 一同にだ。こう言った。
「では一年の最後を迎えたことをお祝いして」
「はい、そうしてですね」
「今ここで」
「召し上がりましょう」
 こう皆に述べてだった。それを合図にして。
 誰もが手を合わせそのうえでだ。その蕎麦を食べるのだった。
 蕎麦はコシもありそのうえでだった。風味もよかった。その蕎麦を食べてだ。
 真理は目を細めさせて言った。
「素晴らしいですね」
「合格ですか」
「はい」
 その通りだとだ。シェフに対しても答える。
「合格どころかです」
「それ以上ですか」
「見事なお蕎麦です」
 合格を越えた域にある、そこまでだというのだ。
「ここまでのものは中々召し上がることはありません」
「実はかなり苦労しました」
 シェフはその義正に答えた。当然彼も食べている。
「このお蕎麦になるまではです」
「お蕎麦にですか」
「色々と調べてそして」
 学んでから。それからだというのだ。
「工夫をしました」
「特に打ち方です」
 彼等はその打ち方についても言及した。その蕎麦のだ。
 
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