儚き想い、されど永遠の想い
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363部分:第二十八話 余命その五
第二十八話 余命その五
「春を迎える為に」
「まずは食べることからです」
シェフは真理に話した。
「だからです」
「ええ。ですから」
「これからは一層腕によりをかけて作ります」
味だけでなくだ。滋養もだというのだ。
「ですから御期待下さい」
「そうさせてもらいます」
「では」
義正も言いだ。屋敷の中でもだ。二人は包まれたのだった。
そしてその中でだ。実際にだった。
義正は真理と夕食を採っていた。そのメニューはだ。
よく焼かれた羊の肉にだ。大蒜や人参が添えられている。サラダにはレタスだけでなく海草やラディッシュ等もふんだんに入れられている。
そしてスープにはだ。様々な野菜が豊富にある。そうしたものを食べながらだ。
義正がだ。真理に話してきた。
「羊はどうでしょうか」
「この羊はラムですね」
「はい、子羊です」
それだというのだ。
「匂いがありませんね」
「とても食べやすいですね」
「それだけではなくです」
まだあるというのだ。
「羊は身体にいいので」
「滋養にいいのですか」
「はい、そうです」
そうだというのだ。このマトンは。
「蒙古がありますね」
「草原のあの国ですか」
「はい、あの国ではこの羊か乳製品だけしかありません」」
「そうしたものだけで生きられるのですか」
「乳製品は言うまでもありませんが」
その栄養はというのだ。
「ですがそれと共にです」
「この羊の肉もですか」
「栄養があります。ですから」
それでだとだ。義正はフォークとナイフを操りそのラムを食べながら真理に話す。
「召し上がって下さい」
「ではもう一枚ですね」
「召し上がられますか?」
「はい」
そうするとだ。真理は微笑んで答えた。
「そうさせてもらいます」
「食べることです」
何につけてもだと。義正はシェフ達と同じことを言った。
「そこから全てがはじまりますから」
「一年も」
「一年は長いです」
こんなこともだ。彼は話した。
「ですからその長い時間を過ごすにはです」
「まずは食べることですね」
「そしてそれから桜を見ましょう」
ここでもだ。やはり桜だった、
「そうしましょう」
「そうですね。まずは冬を過ごし」
「最初の春に桜を見ましょう」
一歩ずつだった。今度はこう話す義正だった。
「しかしまずはです」
「まずはですね」
「冬を楽しみましょう」
今のだ。この季節をだというのだ。
「冬には冬のよさがあります」
「そうですね。寒さだけではなく」
「雪もあり。それに」
さらにだ。冬にあるものはだというのだ。
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