星河の覇皇
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第六十六部第三章 幸せの国その十
「その若さに覇気、カリスマはだ」
「それがですね」
「相当に大きいというのですね」
「資質もな。私なぞ及びもつかない」
こうも言うのだった。
「素晴らしい方だ」
「いえ、それは違います」
カルは玉座に座る己の主君に強い声で答えた。
「陛下、それは全く以てです」
「違うというのか」
「確かにアッディーン大統領は英雄です」
カルも認めることだった、このことは。
「軍人としても政治家としてもです」
「まさに英雄だな」
「はい、ただ戦争において常勝ではなく」
「政治においてもだな」
「オムダーマンを見事に統治してです」
「様々な政治改革も実現しているな」
「オムダーマンはこれまではサハラ西方の端の一国でした」
そしてそれに適合した政治システムの国家だったというのだ。
「しかしそのオムダーマンをです」
「それをだな」
「はい、やがてはサハラを統一し万全に統治出来るだけのシステムを整えられています」
「中央集権的民主主義だな」
「そうした国家に整えています、国家元首の権限が強い」
アッディーンが作り変えているのだ、オムダーマンを。
「そうもしている手腕はです」
「見事だな」
「軍人、政治家としてどうみt女男です」
「優秀な方だな」
「はい、しかしです」
ここでだ、カルは言うのだった。
「国家元首としてはどうか」
「そのことか宮内相が言うのは」
「そうです、陛下は千年以上の歴史を誇るワンチョク朝の歴史を受け継いでおられ」
そしてというのだ。
「お生まれになられてから王になるべく教育を受けて来られましたね」
「その通りだ」
王もそうだと答える。
「そのことはな」
「そして即位されてからです」
「これまでか」
「国王としてです」
即ちブータン王国の国家元首としてというのだ。
「何の落ち度もなく王としての務めを果たされています」
「だからか」
「陛下はワンチョク朝の千年以上の歴史を背負われてです」
それと共にというのだ。
「国家元首としての務めを果たされているのです」
「それならばか」
「アッディーン大統領に劣ってはおりません」
「国家元首としてはか」
「国家元首、君主とは何か」
カルはこのことについてさらに話した。
「祭事ですね」
「うむ、王そして王族はだ」
「祭事を行う存在ですね」
「その祭事においてか」
「陛下は若しアッディーン大統領が皇帝になってもです」
「劣ってはいないというのだな」
「そうです、国家元首としての資質でもです」
このことにおいてもというのだ。
「陛下は誰にも遅れを取っていません」
「ならいいがな」
「陛下は国王、国家元首であられ」
「軍人、政治家ではないか」
「確かに軍の最高司令官であられ最高の政治権限も持っておられます」
ただこれは象徴としてのことだ、連合ではどの君主もあくまでそうした存在なのだ。政治ではなく祭事を行うものなのだ。
「しかし軍人でも政治家でもあられません」
「そうしたことを考えても仕方ないか」
「僭越ながら」
そうだとだ、カルは述べた。
「国家元首としてお考え下さい」
「そうなるか」
「陛下の理想とされる方はどなたですか」
「二十世紀の日本の昭和天皇にだ」
そしてとだ、ブータン王は答えた。
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