獣篇Ⅰ
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13 人は、転入生に興味津々になるものだ。
とりあえず、宴会がお開きになるまで、そのままの席順で座っていたが、段々と潰れていく隊士たちが増えてきたので、席を移動して縁側に移った。
しばらく月を見ていると、隣にMr.バズーカ砲が座る。ちなみに、彼が座ろうとしているのは気配で分かった。
_「どうされたんですか?沖田隊長。」
_「零杏こそどうしたんでィ?月見でもしてたんですかィ?」
_「まぁ、そんなところです。」
そうかィ、と言って、彼は抱えていた鬼嫁を手に取った。
_「ビンごと飲まれるんですか?
お酒に強いんですね。」
_「そうでィ。お前もどうでィ?」
鬼嫁を渡そうとする。
_「では、一杯だけ…頂きます。」
隊長直々に酌をして下さった。
そういえば、隣で副長たちが話していた事があったな。確か、2週間後くらいにもあともう一人、誰かが真選組に来る、とかいう話だった。誰だろう…
そんなことを少し考えていた。
_「零杏、どうしたんでィ?なに考えてたんでィ?」
言っていいものか、少し迷ったが、
言ってみることにした。
_「はい。あと2週間後くらいに真選組に来るはずの方について、考えていました。ちなみに、誰なのですか?」
沖田は、こちらをじっと見ている。
何か、ヤバいことでも言ってしまったんだろうか。
_「…副…土方さんたちが話してたことですかィ?」
_「そうです。」
_「あァ、それは確か、伊東鴨太郎とかいう人でさァ。今はまだ幕府の上の方で働いているが、2週間後くらいに真選組に降りてくる、って話でィ。」
_「そうだったのですか。偉い方だったのですね。」
_「あァ。近藤さんは、『先生』、なんて呼んでらァ。だが、どこか胡散臭い匂いがする。」
伊東鴨太郎か…。そういえばそんな名前、聞いたことがあるような気がする。
確か、伊東について晋助が万斉と話してた。
私はたしか、その時に晋助に命じられて、船の警備をするように、と言われたのを覚えている。
無論、サボってたが。笑
_「伊東鴨太郎さん…ですか。」
_「聞いたことがあるんでィ?」
否、ございませぬ、と言って、誤魔化した。
_「でもなぜ、今なのでしょうね。まだ新年度は始まったばかり。まだまだ年度末は先ですのに。幕府からおいでになるのなら、異動などは年度ごとなどで区切られているのが普通ではありませんか。」
_「ま、色々あるんでございやしょう?
とにかく、零杏は明日から、働くんですよねィ?」
_「ええ。きっと。
一体、どんな仕事が待っているのでしょうね。
副長秘書 兼一番隊副隊長、なんて重役を任されてしまいましたので。明日からはきっと忙しいことでしょう。」
_「ですねィ。」
沖田がよっこらしょ、と立ち上がる。
_「とにかく、零杏。
今日はゆっくり寝て、明日に備えてくだせェ。」
_「ええ。ありがとうございます。
沖田隊長も。おやすみなさいませ。」
沖田が去ってから、私は部屋に帰った。
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