ドリトル先生と奈良の三山
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第七幕その七
「非常に関わりが深いですが先生は」
「うん、知ってるよ」
先生は微笑んで白鹿に答えました。
「日本の歴史や宗教も学んできているからね」
「文学もですね」
「そうだよ。三山を観るのもね」
「文学の学問ですね」
「万葉集のね」
「あの歌集ですね」
白鹿も知っているものでした。
「あの歌集の論文も書かれて」
「そしてね」
「今回ですね」
「その三山のことも書くよ、それはね」
「最初からですね」
「そのつもりだったからね」
「それでは」
「うん、ただ君達もあの三山のことは知らないんだ」
「神々も実は」
白鹿が仕えている彼等もというのです。
「ご存知ないのです」
「あれっ、そうなんだ」
「はい、遠い昔のことなので」
それでというのです。
「忘れておられるのです」
「あれっ、神様なのに?」
「忘れたりするの?」
「神様だったら覚えてるんじゃ」
「そうよね」
「日本の神様は違うの」
「日本の神々は人とあまり変わらない部分も多くて」
白鹿が自分のお話にいぶかしんだ皆にお話しました。
「それでなのよ」
「ううん、人間臭いっていうか」
「何かね」
「ギリシアや北欧の神様以上にね」
「日本の神様って人間臭いわね」
「昔のことを忘れるところも」
「どうも」
「古事記や日本書紀に書かれていないと」
記録に残っていないと、というのです。
「もうね」
「簡単になのね」
「忘れてしまう」
「そうなの」
「そう、実際にね」
本当にというのです。
「日本の神様達は忘れてしまうの」
「それで三山のことも」
「もう忘れたの」
「何時出来てどんなものか」
「全く」
「ご存知の神様はいないわ」
奈良にはというのです。
「本当に聖徳太子の様な方ならご存知だったでしょうけれど」
「あの人は特別だったみたいだしね」
先生が聖徳太子についてお話しました。
「前世のことも覚えていて予知能力もあったというし」
「はい、まさに超人神人と言うべき方で」
「それでだね」
「あの山達のこともご存知だったでしょうが」
それでもというのです。
「あの方も亡くなられてです」
「千数百年だからね」
「ですから」
それでというのです。
「今はもうです」
「神々もだね」
「御仏の方々は後から入ってこられましたし」
その飛鳥時代にです。
「ご存知ないです」
「本当に誰も知らないんだね」
「そうなのです」
「ううん、何かとんでもなくスケールが大きいというか昔というか」
「そうしたお話ですね」
「そう思ったよ」
白鹿とお話をして聞いていてです。
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