| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

STARDUST∮FLAMEHAZE

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第三部 ZODIAC CRUSADERS
CHAPTER#53
  FAREWELL CAUSATIONⅩⅢ~Titanic Catastrophe~

【1】


 暗黒の中から漏れ出ずる闇蒼の月。
 その周囲を取り巻く翡翠の()
 ヒールの爪先が罅割れたアスファルトについた刹那、
彼女が発したのは言葉ではなく奇襲失敗に於ける現場からの離脱だった。
 幾ら距離を置いても安全な射程距離など存在し得ない、
だがビル屋上の昇降機塔の影に身を寄せた5人は、
真王が顕れて以降初めて、深く呼吸をする事を許された。
「“弔詞の詠み手” マージョリー・ドー。
やはり、アナタでありましたか」
 長い栗色の髪と深い菫色の瞳、
所々解れはあるが却ってそれが
内部の凄艶を際立たせるタイトスーツ。
「おいおいおいおい、誰だよ花京院、このスゲー美人!」
 神妙な声で接する淑女とは裏腹に、軽薄な熱に浮かされた騎士の頭を
少女がジャンピング・フック(変形のガゼル・パンチ)で打つ。
「声が、大きい……! みつかったらどうするの、バカ……ッ!」
 この状況でいつもの喧嘩を始めようとする二人の口を、
花京院とヴィルヘルミナが懸命に止めた。
「ったく、アンタら本当に退屈しないわね。
あんな真王(バケモノ)放っとけって、私は言ったんだけど、
まさか本当に戦ってるなんて」
「見てしまった以上、知らないフリは出来ませんよ、
ミス・マージョリー。
『本体』を狙うのは正しかったようですが、
予想以上の空間の歪みに、大分流されましたね」
「アンタの『法  皇(ハイエロファント)』がなかったら、
近づくコトも出来なかった。
結晶の回転で「牽力(けんりょく)」飛ばさなかったら、
多分呑み込まれて一巻のオワリだったわよ」
 何故か微かに酒気(ワイン)の香りを滲ませながら、
二人は先刻の奇襲を反芻した。
「いや、それより」
「自己紹介は、後。私もアンタのこと知らない」
 平常なら当然の疑問を、美女は開いた掌だけでサクッと制する。
「騎士の “オマケ” って想っときゃいいわ。
本体は兎も角、能力は結構役に立つ」
「異論はないのであります」
「まぁ、今はそういう事にしておきましょう」
「粗品」
「お、おまえら、なぁ……」
 疑問を呈しただけで何故ここまでボロカスに言われねばならないのか、
普通なら人間不信に陥る冷罵の嵐を、ポルナレフはなんとか半泣きで押し留めた。
「ギャーーーーーーーッハッハッハッハッハ!!!!!!!!!!!
まぁこいつら無愛想なのは今に始まったことじゃあねー。
あんま気にすんなよ(あん)ちゃ」
 突如美女の腰から下がった分厚い本から飛び出てきた蒼い炎の魔獣が、
場末の飲み友達ようにポルナレフ背中を爪のある掌でバンバンヤると同時に、
全員分の右手と両手と脚と拳がその表紙を思いっきり塞いだ。
「さっき、大声で喋るなって言ったわよねぇ?
バカなの? それとも物凄くバカなの?」
「ノリアキ、スタンド能力の取得法教えてくれる?
コイツと居るといつか死ぬわマジで」
「玉砕は御随意に、でも巻き込まないで欲しいのであります」
「同類戦車」
 讒謗と共に表皮がボロボロになった神器グリモアが石作りの床に転がった。
「アンタ、オレと同じ匂いがするな」
「噛み千切るぞ小僧……」
 なんとなくチーム内では同じポジションにつきそうな二人(?)が
初見を交わした後、全員は天空を貫く暗黒大樹を見上げる。




(きゃ)()()()()()()!!!!!!!!!!!
()()()()()()!!!!!!!!!!
許隷(ほれ)何処(いずこ)(まぎ)れた?
怯え(まい)ぞ! 
()い者共! 今一度(わらわ)を疵つけてみせよ!
まだ足りぬ! 充たされぬ! もそっと! もそっと来やれ!』




 何という光景だろうか。
 数千年、或いは数万年振りに傷ついた真王の軀躰(からだ)に対して
怒り狂う処か歓んでいる。
 死を司る偶像(カミ)、冥界を支配する王ですら
人間如きに傷つけられる事など
永劫の地獄に敲き堕としても尚足りぬ「屈辱」で在るというのに。
「なんて、異容(カタチ)に成ってンのよ。
ブチ切れて怒り狂う方がまだ解り易いわ」
 大樹の至る処が捻じれ、数千本の枝が屈曲し、数十万の葉が牙を剥き出しにして
ゲラゲラと笑っている。
 足元の根がコンクリートを抉りながら地を鳴らし、
飛び散る樹液()が新緑を芽生えさえ
寂滅の光砲が無作為に天空へと射出される。
 ソンナモノを乱発してよく封絶が解けないと想われるが、
ティリエルの存在とリンクしているため
今現在ファフニールの封絶にも成っているのだろう。
「主上、倒錯偏好。至玉瑕疵(かし)
「アンタ喋れるんだから普通に喋りなさいよ。
誰に気ィ使ってンのよ?」
 先刻の熾烈な大攻防を遠間からみていた美女がそう呟いた。
「兎に角、アレが遊んでる内に『本体』を討って御還り願うしかないわね。
元々不確定(イレギュラー)召喚(呼び出)されたンでしょう?」
「でも、遠方(とお)い、わ。今まで来た道のりの、何よりも」
 真王の懐、その胸中に抱かれる少女がズーム・アップされる。
 ソレが粟粒ほどの小さな姿に視えたのは、距離の所為だけではあるまい。
「さながら、“メデューズ号の(いかだ)” ってワケ?
悪かったわね。千載の好機討ちもらして」
「違う、私の方にチャンスが在った。
それを迂闊にも気づかなかっただけ」
 香港で極限の(しのぎ)を削った二人のフレイムヘイズ、
敵同士で在ったにも関わらず今は奇妙な連帯が両者を繋ぐ。
「 『スタンド使い』 と出逢うと、フレイムヘイズって変わるのかしら?」
「“人” によるでしょ? 能力が在っても精神が低劣なヤツじゃ、
私自身(ろく)でもない存在に成ってた気がする」
 元は個々人が自己中心的に動いてた者達、
だが 『信頼』 が力を生むと知ったいま、
己を恥じるのではなく相手を誇る。
「頼りにしてるわよ。魔術師(マジシャン)
「Yessir(了解)、闇 蒼 の 月(ダーク・ブルー・ムーン)
 もう一つの双名()で、互いの気持ちを交感した後
片割れの少女が決然と前を向く。
「承太郎は、来ない! もう戦わせない!
でも――!」
 アイツのやろうとしていた事、その意志までは終わってない。
“私達”が終わらせない!
 言葉に出さずとも、そこにいる全員が少女の気持ちに感応していた。
 彼を知らぬ者にさえ、その感情は伝播した。
「動きが読めない以上! 作戦は立てられない!
誰でも良い! 相手を翻弄しながら本体まで辿り着いて!
一人でも射程距離に到達出来れば!
私達の勝ち! 真王だって倒せる!!」
 スタンドは精神の原動力(エネルギー)
 フレイムヘイズは存在の根源力(チカラ)
 故にその“士気” が向上(あが)れば、
携える戦闘力も歯車的に増していく。 
「おい、ちょっと見ない間に、アイツ雰囲気変わったな。
まるで承太郎が二人いるみてーだぜ」
「人との関わり合い、というやつかもしれませんね」
 アナタの意志は、私が受け継ぐ。
 だって私は、空条 シャナだから。
 だから――!
READY GO(い く わ よ)!!」
「「「「「「オウ!!!!!!!」」」」」
 散開、スタンド使いとフレイムヘイズ。
 幻朧の遣い手と劫火の契約者、本来交わり得ない、
時空も次元も異なる両者が一つと成る。
 同じの目的のための「共闘」ではなく
確かなる繋がりを持った『仲間』として。
 その先陣を駆るは一人の魔術師、
その双名()が示すが如く、
戦風を纏う躰に紅蓮の鳳鎧が着装されていく。
 自己修復能力。 
 回復というには心許ない時間だったが、
集った仲間が、その心の繋がりが、少女の存在力を揺さぶり
状態を無欠へともっていく。
(ほう)? 其処に()ったか? 待ち兼ねたぞえ?』
 瞬間、背後に強烈な気配を感じた。
 振り向かなくても解る、黒い肌、ほぼ裸に等しい美妖女が
甲冑の肩に手を掛けている。 
 だが違う――!
 コレは脳裏に刻まれた真王の「幻覚」だ。
「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ!!!!!!!!」
 既にして迫っている漆黒の刃、斬攪(ざんかく)の嵐。
 振り向いていれば生命(いのち)は亡かっただろう。
 真王と一番最初に対峙したのはこの少女、
その時に受けた存在の暗視。
 ならば相手の精神に干渉して幻覚を魅せるコトも可能なはず。
 そして真王(コイツ)は私と戦っているのではなく“嘲笑っている”
だから背後からの攻撃なんて姑息な(ツマラナイ)真似するわけがない。
 この間0,2秒、“魔術師” の少女は『スタンド使い』としての
戦闘思考を獲得しつつ在った。
 それ故の躊躇無き行動、停滞ではなく前方への連撃(ラッシュ)
 四方八方から襲い来る文字通りの刃林を、
少女はスタープラチナ顔負けの剣捌きで弾き返していく。
 しかしその場へ留まるに在らず、その刃圏を徐々にではあるが
前方へと侵食していく。
「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ
オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ
オラオラオラアアアアアアアアアァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!!!!」
 だが戯れとはいえ真王の攻撃、その数が多過ぎるのでスベテ弾き返す事は(あた)わず、
纏った紅蓮の鳳鎧の右肩甲(ライトショルダー)が砕け、
脇腹(サイド)にも亀裂が走り精巧な装飾の入った目当て(ヴァイザー)
原型を無くしていく。
 つまりソレほどまでに、守りを捨て全身全霊の「攻撃」でなければ
真王の刃嵐には抗しきれない。
 だが窮地ではなくこの選択はベスト、
鎧は守って敗北から逃れるのではなく、
攻めて敵に勝利するためにこそ在る。
(私が護るから……! 全部受け止めるから……ッ!
行って皆! 後お願い!!)
 以前の彼女ならば、例えフレイムヘイズと共闘した場合でも
相手は自分で仕留めようとしただろう。
このような「捨て石」とも呼べる決断はしない。
「シャナッッ!!」
 承太郎以外ではより深い関わりを持つ者の声が、
その決断に感応し声を掛ける。
「――ッ!」
 同時に周囲を取り巻く翡翠の円環、
それが打ち漏らさらざる負えない刃を弾き
鎧の損傷をガード、再生の時間も与える。
「ありがと!! 花京院!!」
 気をつけてとまで口には出来ないが、
一瞥し穏やかな微笑を浮かべる風貌を想い浮かべ
斬撃の回転は向上()がる。 
「シャナが攻撃を引きつけてくれる御蔭で、
こっちは力を温存したまま近づけますね」
「並の宝具や自在法じゃとっくに粉々よ。
適材適所ってヤツだわ」
 如何なる存在(モノ)でも決して欠けず罅割れる事もない
紅世の妖魔刀、“贄殿遮那(にえとののしゃな)
 宛ら童子の夢想と見紛う(安易な)硬度だが、真王相手(この場合)
その頑強さが初めて無類の真価を発揮する。
 先攻防御、その間隙を縫って暗黒大樹の深奥に飛び込もうとする
二つの色彩が突如『壁』に阻まれる。
「「――ッッ!!」」
 ヴァグン! という痛みもそこそこに、戦術というよりは嘲りを含み
真王の盤石(よゆう)が衝撃に垣間見える。
「な、何!? この先にミエナイ壁みたいのが在って進めない!」
「恐らく “気流” です! 樹木の(あな)から噴き出した超高密度の空気をジェット気流のように集めて、この場を塞いでいるんです!」
「また気流!? 壊せない相手はもううんざりよ!」
 受けた衝撃でそこまで分析出来る花京院は流石と云えよう、
だが『遠隔操作』と『殺傷特化』 、能力の「相性」は最悪。
 ザギュウッッ!!
 弾かれた二人の間隙を縫って、白銀の刃が空を切り裂いた。
「我が『白 銀 の 戦 車(シルバー・チャリオッツ)』の剣は!
空気を切り裂き真空を生み出すッ!
騎士の往く道を気流如きで阻もうとするとは笑止!!」
 既に周知の事実、だが初対面の美女の為に敢えてポルナレフは
堂々と己が『能力』を明かす、ソレがスタンドのパワーを増強させる、
属性の相性とはいえ真王の障壁すら打ち破るほどに。
(やっぱり、ヤる――!)
(お見事(みごと)、!? 、誰にでありますか?)
(程程)
 ソコに殺到する、後の展開を知悉していたかのような漆黒の刃の雨。
 ソレを本体ごと空間に大きく円陣を組んだ騎士の群れが瞬く間に弾き返す。
「さっきの“血” の効力がまだ残ってる!
第二陣はオレに任せろ! 
早く『本体』を!」
 こちらの狙いを曝け出す結果になったが向こうもそんな事は
先刻承知だろう。
 その無敵の黑躯(からだ)の裡にティリエルを取り込んでしまえばよさそうなものの、
それではツマラナイとでも言うように覆いもない無防備の台座の上に放置、
触れられるならヤってみろと言うように周囲を蔓がザワザワと取り巻く。
「弱点」を剥き出しにしている以上どう考えても『罠』
相手が真王ならどれほどの絶望が待っているか計り知れない。
 しかしそのコトを知悉(ちしつ)していても敢えて飛び込む!
小賢しく一手一手慎重に詰めていかなければならない等と愚考(ヌカ)しても、
雑魚(ザコ)なら兎も角この相手には通用しない。
 100%万全な状態などいつまでも待っても来ない、
そう考える愚か者は死ぬまで一切行動出来ない。
 可能性とは待つモノではなく、“自ら引き上げる”モノだから。
「“桜 蓮 漆 拾 陸 式 麗 滅 焔 儀(セイクリッド・ヴァレンタイン・ブレイズ)” 
四 精 霊 の 幻 想 曲(エレメンタル・アラベスク)土 巫 女(ノーミード)』 」
 その可能性を引き上げる喚声が傍らから、
硬質化した桜火に染まる(リボン)が周囲を取り巻いていく。
「ちょっと! 防御はいいけどこれじゃ動けない!」
「“エメラルド・スプラッシュ” で撃ち抜こうにも距離があり過ぎます!
パワー不足で弾かれるか、そもそも命中(あた)るかどうか解りません!」
「並び!」
「委 (細) 承 (知)!」
 旧知と新知の者が叫ぶ声を二つの声が打ち消す。
 リボンで出来た鉄壁の繭から、宛ら小型の砦といった風情の底部から
尖頭(ドリル)状の捻杭(パイル)が大地に、
無数に走った亀裂に打ち込まれその奥底で振動する。
 然る後――
 真王に穿たれた無数の暗孔から膨大な量の水流が噴き騰がり
周囲数㎞にも及ぶ広域を河川も巻き込んで氾濫させる。
四 精 霊 の 幻 想 曲(エレメンタル・アラベスク)水 公 主(ウンディーネ)
 此れにて総出、捻杭(パイル)を根元から折った砦は
激流を制する「箱舟」と成って空中から真下の軌道で
真王への進撃を継続する。
 本来伸ばしたリボンで地下水を沸騰(震盪)させ(或いは水道管を断ち切り)
その膨張圧で洪水を引き起こし「敵軍」を壊滅させる戦略技。
ソレが箱舟の運搬になってしまうのは法儀(じゅつ)の遣い手として
遺憾な処だが、相手が数多の師団ではなく真王ならば(むべ)()(かな)
「花京院殿、箱舟の守備と方向柁(ほうこうだ)を願うのであります。
「外」に出られるのはいま貴方だけなのであります」
 申し訳程度の隙間(のぞき窓)は空いているが「前方」のみ、
本体が箱舟に乗り込んでいるのでソレに引っ張られるカタチで外に浮いている
法  皇(ハイエロファント)』が能力としては適任。
「エメラルド・スプラッシュッ! 了解です」
 既に役割を理解していた中性の少年が流法を放つと同時に
淑女へ頷く。
 なんとなく面白くない美女の直上で、放たれた翡翠の結晶弾が後方斜めの軌道で
激流に着弾、射出の推進と反動で大きくバウンドした箱舟の背後に
巨大な漆黒の刃が次々と突き立ち河面(かわも)を裂く。
命中()ったんないわよ! 長所と短所は表裏一体!
流れる木の葉を矢で狙ってるようなものッ!」
 実際はそこまで有利ではないのだが、
しかし美女の感奮に水を差さないよう花京院は
スタンドの触手や触脚を伸ばして微妙に進路を変えながら
障害物、降り注ぐ刃を避けていく。
 絶え間無い残虐の嵐が幾分弱くなってきている、
シャナ、ポルナレフの奮戦も無論有るだろうが
元々が「枝」 、ソレを刃に変質させたモノなので
どうしても蛇行した機動を執らざる負えず
下から接近すればするほどその数は減り命中精度も落ちてくる。
 ましてや相手は遊興に耽る絶対者、
もしかしたらその攻撃を直下に切り替えるような真似はせず
このまま『本体』の根元まで接近出来るかもしれない。
“かもしれなかった”
 台座の上で流式の構えを執る、
双真(ソーマ)の少女をヴィルヘルミナが知覚するまでは。







 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッッ!!
 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッッッッ!!!!
 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッッッッッッ!!!!!!






 恐怖と脅威を文字に起こした感覚ではない、
事実全く同じ残響(おと)を伴ってソレ、
否! “ソレら” は立ち上がった。
 まず、初めに、『大地の巨人』
真王に比肩する超弩級(大型)の土塊がコンクリートを捲り上がらせて
ただ無造作にソコに現れる。
 続いて、『石の巨人』
周囲のコンクリート、アスファルト、路傍の石ころも観賞用の庭石も、
その更に下に有る岩盤まで凝結させて人型を成していく。
『青銅の巨人』 『鉄の巨人』 『鉛の巨人』
原理は先刻のモノと同様、近代都市を構成するあらゆる鉱物が
無作為に集まって恐怖と脅威を具現化する。
『火の巨人』
 真王の神力(チカラ)に境界はない、
物質ではない膨大な熱量すらも巨大な人の形容(カタチ)として
成型させてしまう。
『水の巨人』
 氾濫させた洪水が仇となったか? 斬れない、砕けない、貫けない、
「敵対」するコト自体が莫迦げている不滅の象徴が無情に意志を宿す。
並びにソレを応用させた『氷の巨人』
 今更ソレに対する怯懦(きょうだ)は麻痺してしまい蛇足だろうか?
そして幾つの生命が犠牲に成っただろうか?
あらゆる生物を無理矢理凝縮して全体を構成させた
『肉の巨人』
 そして――
 真王の黑躯(からだ)からゆっくりと、本当にゆっくりと影のように
沁み(いず)る最強の巨人。
 絶望の中の諧謔だと一笑に付すコトかもしれない、
宛ら超巨大なスタンドのような、
彼女の分身と呼んでも差し支えない漆黒の、
無数の枝と根が捻じり合わさって出来た
樹魂(じゅごん)の巨人』 
単純に言葉だけで表すなら、顕現した紅世の王が10体以上、
しかしソレが慰めにも何にもなっていないコトはお解りだろう。
 コレは『愛染双真』ティリエルが発動させた術式、
真王ファフニールにとっては奥義でも禁儀でも切り札でもなんでもない!
 破滅と絶望の(まにま)を、箱舟(ふね)は行く。
 後戻りは出来ない、逃げ道もない、
ただただ運命の車輪が、音も無く回るのみ。
 残酷に、無情に、救いもなく。
 苦々(くるくる)狂々(くるくる)と。


← To Be Continued……
















『後書き』


はいどうもこんにちは。
再開したのに何故か、HUNTER×HUNTERが再開してまた休載して
某番組で特番が組まれるくらいまでかかってしまいました。
御機嫌よう作者です・・・・('A`)
まぁもう片方の作品完結させるためと言うのは言い訳にしかなりませんが。
(コレも結構苦労した・・・・)
同じような理由で筆が滞っていたのは事実です。
結局相手が無敵である以上『本体狙い』の戦いになるのは必然の成り行きですが、
しかしアッサリ到達したら面白くもなんともありませんし、
そしてファフニーちゃんがただデカイだけで
刃の連打と光の大砲しか使って来ないのもワンパターンで面白くないので
如何にすればその強さを見せつけてソレを「乗り越える」という描写にするか
というのに四苦八苦していたのが本当の処です。
「悪い例」はシャナ原作の2巻終盤ではっきり反面教師になっているので、
(超巨大化しておきながら羽根付きヘタレ付き(超ハンデ!)
の小娘に何故負ける・・・・('A`))
名前負け、(笑)、世界でただ一人作者だけが強い強いと大騒ぎしている
展開にはしたくないと想いました。
まぁだからといって誰が「地鳴らし」造り出せという話ですが、
そんぐらい出来なくて何が『真王』だという話もあって
しかもコレはティリエルがファフニーちゃんの力使って勝手に生み出したモノ
なので、彼女の強さはまだまだ底が知れません・・・・('A`)
(でもマジで「この後」どうしよう・・・・助けて荒木先ry)

ソレと今回象徴的なセリフとして、
シャナが「出逢った人間」との関わり合いみたいなコトを語っていますが、
コレも言い得て妙な話で、やっぱマイナスなヤツと関わったらマイナスにしか
ならんのだなと当たり前の話を再認識したなという次第です。
「原作の」シャナが正直“アレ”なのは(ぶっちゃけて言うと〇○?)
一緒にいるアレが「注意」しないからであって
一言でも「人間(ひと)をモノ扱いするな!」
「(フレイムヘイズが)強いからって他の人を見下すのは間違ってる!」
「どんなに弱くても皆頑張って必死に生きてるんだ!」
とか言わせればワタシもここまで嫌いにならないんですが
(寧ろそれなら「無能力で普通の人間」の方が心に刺さる。
早人やルーシーと同じように)
なんで戦闘中「うわぁ!」と「シャナ!」しか言わないんだか・・・・('A`)
本来そういう「役割」の筈なのに、
にも関わらず抱きついたりだの○○しようとするだの、
「性欲(○漢○為)」だけは無駄に人一倍発達してるから
もう本当に呆れ果てるしかありません・・・・('A`)<どこの山○メ○バーだっての・・・・
結局、アレは全編通して「性欲だけでしか」動けていないんですよねぇ・・・・('A`)
人外のバケモノが襲ってきて、勝てないどころか殺されるかもしれないのに、
その苦痛や恐怖はまるで「無い事」かのようにすっぽり抜け落ちて
「でも!」とか言ってしゃしゃってくるのも全部コレで説明つきます。
同性の方ならお解りの通り、男は「本能(性欲)」に流されると
善悪関係なく理性も吹き飛んでどんな見苦しい醜態や言動も「自覚」なく
平気で行ってしまいます。そしてその自分の行為が「失敗」する、
相手に「拒絶」される等とは微塵も考えていません。
だから痴情の(もつ)れで相手を刺し殺してしまったり、
好意が受け入れられなかったコトを逆恨みしてストーカー化してしまったり
するわけです。
シャナ原作のアレが“自分だけは死なないと思っている勘違い莫迦”なのは、
ただ熱(性欲)に浮かされて他の思考や感情が「麻痺」しているだけで、
命をかけて家族や友人を護ろうとする「高潔な精神」とは
一番かけ離れた行為なのです。
だから7巻なんか見てください、
『教授』が襲ってきてこの後何百人、何千人死ぬか解らないのに、
協力を求めてきたシャナを無視して吉田サンの方に行こうとしてるでしょう?
本当に誰かを助けるために行動してるならそんな事出来る筈ないのに
(紅世の徒が大暴れしたら吉田サンも喰われるだろ・・・・('A`))
「他人の命」より「自分の性欲」を『最優先』させているから、
このような眼も当てられない醜態を晒すコトになるのです。
そして自分は「私情」を優先させておきながら
シャナが「私情」を露わにしたら“フレイムヘイズに在るまじき行為”
等と抜かしてキレるのは、
最早怒りを通り越して哀れみしか浮かんできません・・・・('A`)
(そしてシャナもそんな人間の○○に愛想尽かすなら兎も角、
捨てられた子犬のように鼻鳴らしてすり寄っていってるわけですから
ほんとチョロイン、或いはア〇ズ〇と言われても誰にも文句言えません)
つまり、灼眼のシャナ原作に出てくる“どうしようもない気持ち”というのは、
恋愛感情ではなく「性欲」のコトであって、
(まぁガキの恋愛なんてその「境目」があってないようなモノですが・・・・('A`))
ジョジョと比べれば一目瞭然のように、そんなことにすら気づかない白痴(作者)が
一番“どうしようもない”ということなのです。
だから仮にシャナが女の子じゃなくて「男」だったとしてみましょう、
(女でも容姿が〇○○○でも可)
絶対「でも!」なんて言ってしゃしゃってきませんから。
・・・・本当にもう、この原作者の方は莫迦なんですか?
それとも途轍もなく莫迦なんですか?
だからそういう「面」だけはジョジョのキャラと絡めて「是正」しようと心がけて
いるのですよ。ジョジョの主人公サイドに、自分が『スタンド使い』だからといって
他人を見下す者など誰一人としていませんし、
だからジョナサンはエリナさんを追いかけず
ディオサマに立ち向かっていくわけですから。
逆に(原作の)フレイムヘイズは“自分の力じゃないのに(紅世の徒の力なのに)”
ドヤ顔で普通の人間を見下してるから同じく本当にどうしようもありません。
(親が金持ちだからと偉そうにしてる○○と何も変わらない。
ジョジョではそういう卑劣なヤツは「精神(こころ)」が「弱い者」として
【悪】の側に組み込まれます)
まぁそんなこんなで、たった一人で味方から敵からその世界まで、
なにもかも崩壊させてしまう『最悪』なヤツというのは本当いるんだなと
想った次第で(しかもその「自覚」がない)
在り得ない話ですがもしこの作品にそんなヤツがいたら一体どうなっていたかと、
今更ながらゾッとする想いです。
ソレでは。ノシ


 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧