レーヴァティン
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第四十二話 山伏その四
「この世界にいました、そしてこの錫杖でありますが」
「並の錫杖ではないな」
「役小角の錫杖です」
それだというのだ。
「修験者の開祖でありますな」
「そうらしいな、俺も詳しくは知らないが」
「その錫杖で、でござる」
「戦っているか」
「そうでござる、わしに武力と法力を授けてくれております」
この両方をというのだ。
「そしてその力で」
「今もだな」
「戦っているでござる」
「わかった、ではだな」
「はい、そこから先は」
「賊共を全て倒してな」
「それからでござる」
その時にあらためてとだ、峰夫は英雄に述べた。そしてだった。
彼は英雄達と共に戦い続けた、次から次に敵を倒してそうしてだった。敵を次から次に倒してであった。
遂に一人残らず倒した、謙二は自分達以外に動くものがいなくなった館の中で気配を探ってから英雄に言った。
「逃げた者はです」
「いないな」
「はい、逃げようとした者はいましたが」
それでもと英雄に話すのだった。
「全てです」
「追いついてだな」
「倒しています」
「私が式神を飛ばしてです」
どうして逃げる者達を成敗したか良太が話した。
「倒しました」
「それは有り難い」
「はい、ですから」
「誰も残っていないか」
「左様です」
「礼を言う」
表情は変わっていない、英雄は笑顔を作るのが非常に苦手でだ。だが言葉で感謝の意を伝えたのだ。
「お陰で賊共が全ていなくなった」
「これでよしですね」
「本当にな、それではな」
「捕らわれていた人はいなかったでござる」
今度は智が言ってきた。
「そして銭や宝の場所もわかったでござる」
「そうか、ではな」
「銭や宝をでござるな」
「集めてだ」
そのうえでとだ、英雄はさらに話した。
「それからだ」
「都にでござるな」
「戻ろう」
「転移の術を使えばです」
また良太が言ってきた。
「それで、です」
「移動出来るな」
「それもすぐに」
「ではだ」
「はい、ではまずは」
「銭や宝を車に収めるか」
持ち運びやすい様にだ、英雄はここまで考えた。
「そしてそのうえでな」
「都に戻りましょう」
「すぐにな」
「ではわしもです」
峰夫も英雄に申し出た。
「ご一緒させて頂きます」
「そうか、ではな」
「五人になるでありますな」
「これからはな」
「細かい話はわしの修行の場の山でとなりますが」
「仲間になることについてのか」
「しかしおおよそは決めております」
これが峰夫の返事だった。
「わしは貴殿等と一緒に行くであります」
「あんたもそうしてくれるか」
「外の世界の者の話は聞いております」
それは既にというのだ。
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