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レーヴァティン

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第四十二話 山伏その三

 その錫杖で襲い掛かって来た三人の賊の頭を叩き割った、賊共は頭から血と脳漿を出してそのうえで崩れ落ちる。それからだった。
 賊達の中に入り次々に一撃で仕留めていく、それに英雄達も続く形で。
 館に入りその中にいる賊達を片っ端から切り捨てた、逃げようとする者もその背中を容赦なく切り捨てた。そうして。
 館にいた賊共を命乞いをした者達を除いて全て切り伏せた、それが終わってからだった。英雄は鮮血に染まった館の中で山伏に問うた。五人共その顔に返り血を浴びているが一切気にしてはいなかった。
「それでだが」
「はい、わしのことですな」
「俺達と同じと言ったな」
「如何にも」
 山伏は否定せずに答えた、それも胸を張って。
「わしも寝るとです」
「この世界に来るな」
「起きている時は日本におりますぞ」
 二十一世紀のそこにというのだ。
「街は神戸ですぞ」
「神戸、か」
「はい、今は長田に」
「というと大学生か」
 山伏の四角い顔を観つつ問うた、中背だががっしりとした体格で長方形のその顔の顎は剃り残しが見られる。小さめの一重の目の上には太く濃い海苔を思わせる眉があり黒髪は量が多く上に立っている感じだ。色は黒めだ。
「それも八条大学か」
「左様」
 その通りという返事だった。
「わしは八条大学に通っているであります」
「やはりそうか」
「では貴殿等も」
「俺達も同じだ」
 英雄は山伏に答えた。
「あちらの世界では八条大学の学生だ」
「同じキャンバスにいるとは」
「しかし広い大学だ」
「お互いに顔見知りでないこともまた」
「あることだ、一学年で相当な数がいる大学だ」
 それだけにというのだ。
「日大以上にいるのだからな」
「世界屈指の巨大学校でござるからな」
 大学だけでもだ、そこに高等部から保育所までありしかも動物園や植物園に水族館、博物館や美術館まであるとてつもなく巨大な学園なのだ。
「それも当然でござるか」
「同じ大学でも学部、学科が違うとだ」
 それでというのだ。
「違う学校にいると言っていい」
「それで、でござるな」
「俺達がお互いを知らないのも当然だ」
 ごく普通のことだというのだ。
「至ってな、それでだが」
「これよりでござるな」
「あんたも俺達と一緒に来るか」
「その話でありますが」 
 その話を受けてだ、山伏は英雄に言葉を返した。
「詳しいことは後にしまして」
「今はだな」
「賊退治としましょうぞ、名を名乗る位で」
「俺は時任英雄だ」 
 続いて三人も名乗った、それと共に英雄は刀も見せた。
「武器は天羽々斬だ」
「本朝の神話の刀でござるな」
「それがこの通りだ」
 賊達を切りつつその刀を見せる。
「日本刀になっている」
「そうありますな」
「そしてあんたの名前は」
「山岸峰夫と申します」
 山伏も名乗った。
「八条大学理学部にいるであります」
「理学部か」
「はい」
 そうだとだ、山伏は二人に名乗った。
「そうであります」
「そうか、そしてこの世界にはか」
「ある日寝たらでありました」
 峰夫の錫杖が唸る、賊を二人一気に吹き飛ばして倒した。そうしつつ英雄に対してさらに話していった。 
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