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レーヴァティン

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第四十二話 山伏その二

「戦がはじまりましたし」
「今のでな」
 賊共の首を撥ねたこと、まさにそれが開戦だったというのだ。
「館の賊共も見ていた」
「それでは」
「攻め入る、そして切っていくだけだ」 
 英雄はこう言って刀を収めることなく仲間達と共に先に進んでいった、そうして館から出て来た賊達を仲間達と共に切り捨てていった。
 英雄はただ前に進み刀を動かすだけだった、それだけで賊達の首が飛び身体が縦や横に両断されていく。
 三人もそれぞれの腕で戦い賊達を倒していく、それを見て彼等に襲い掛かろうとする賊達は怯えを出して言った。
「この連中強いぞ」
「何だあの侍の刀は」
「陰陽師の護符からどんどん鬼が出て来て仲間達を食らってやがる」
「坊主の念を受けたらどんな奴もくたばりやがる」
 そうして襲い掛かる者達は次々に倒されていっていた、彼等はその状況を見て恐れをなしていたのだ。
 しかしその賊達が逃げようとするところにだ、四人は足を踏み入れてそのうえでさらに倒していく。そうしてだった。
 館の門の前まで来た、するとそこにはこれまで以上の数の賊達がいたが。
 英雄が彼等を切り捨てようとするとそこにだった、不意に一人の山伏が来てこう彼と仲間達に言ってきた。
「お助けして宜しいでしょうか」
「来たか」
「わしも感じていましたぞ」
 山伏は自分を目だけで見て言ってきた英雄に応えた。
「貴殿達のことは」
「この山に入ってだな」
「はい」 
 その通りだとだ、英雄は山伏に答えた。
「左様でありました」
「そうか、やはりな」
「といいますと」
「同じだな、俺達は」
「外の世界から来ました」
 山伏は英雄に答えた。
「わしは」
「そうか、やはりな」
「そして貴殿達も」
「そうだ、他の世界から来た」
「二十一世紀の日本から」
「夢を見るとだ」
 この世界への行き来の仕方もだ、英雄は山伏に話した。
「この世界に来る」
「全く同じでありますな」
「そうだな、しかしな」
「その話は後にして」
「今はこの連中だ」
 館の門を固める賊達を見据えた、その数は二十人程でこれまでより多い。だが身なりも発している気もこれまでの者達と同じだ。
「この連中を倒してだ」
「そのうえで、でござるな」
「都の民の頭痛の種を潰しておく」
「潰す、ですね」
「払っても取ってもまだ残る」
 都の民達を悩ませ苦しませるものはというのだ。
「だからだ」
「潰すのですな」
「完全に潰して跡形もなくしてだ」
 つまり一人残らず倒してというのだ。
「そしてだ」
「都の、この山の周りの民達の悩みをですな」
「潰す」
「この周りの民達も苦しめているでござるかこ奴等は」
「左様」
 その通りとだ、山伏は智にも答えた。
「それでわしが来たのであります」
「そうでござるか、では」
「力を合わせて」
「五人でこの賊達を成敗するでござる」
「ではこのままです」
「館に押し入りましょう」 
 謙二と良太も言う。
「そしてそのうえで」
「皆退治しましょうぞ」
「一人も討ち漏らさないことだ」 
 英雄はこのことを気にかけていた、まさに念頭に置いていた。
「いいな、一人もだ」
「わかっていますぞ、では」
 山伏は錫杖を手にしてだった、そのうえで。 
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