魔法科高校の劣等生の魔法でISキャラ+etcをおちょくる話
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第三十六話
姉さんが家から出ていった…
いや、べつに失踪した訳じゃないよ?
ただ単に神社から出ていって元の家に戻っただけだ。
姉さんは今現在国家代表なのだ。
かなりイイ給料貰ってるらしい。
しかしその分帰りが遅くなったりする。
それで迷惑が掛かるからと出ていったのだ。
まだ話してないが俺も中学に上がったら元の家に戻ろうかと思っている。
で、今日は休日なのだが…
「姉さん!何をどうしたら一週間でこんなに散らかるのさ!?」
「しょうがないだろ…片付ける暇も無いんだから…」
姉さんの部屋を掃除してるのだがソレはもう散らかっていた。
服は脱ぎっぱなしだし、枕元にビールの缶は置いてあるし…
下着が散らばってるのは妙齢の女性としてどうにかならんのかねぇ?
キッチンはあまり汚れていない、と言うか使った形跡が無い。
ゴミ箱の様子を見るに多分毎食コンビニ弁当だろう。
冷蔵庫の中にはビールと冷凍食品しかなかった…
アンタは何処の葛城一佐だ…
動線上以外は全く汚れてない。
まぁ、遅くまで頑張ってるのだろう…
取り敢えず姉さんの部屋を片付ける。
ゴミは分別してゴミ箱に、衣服は洗濯機の中に放り込む。
そして諸々を片付け終え…
「姉さん、買い物行くよー」
「冷蔵庫にあるだろ」
アホか。
「冷凍食品しかないだろうが!」
「べつに構わんが…」
「俺が構うわ!」
てな訳で二人で買い物に行く事になった。
スーパーにて。
「で、何が食べたい?」
「何でもいいぞ」
「漫画じゃあるまいし…まさかこのセリフを言われて困る日が来るとは…」
「お前が作る物ならなんでもいいぞ」
「姉さん、それ普通は男が女に言うセリフだからね?」
暗に料理を覚えろと言ってみる。
「鏡を見てから言う事だな」
「だとしても姉さんが料理できない事実は変わらないよ」
「う…ぐぅ…」
「さて…どうしようかなぁ…」
何作ろう?
ふとホットケーキミックスが目に入った。
ホットケーキか…いや、姉さん結構食うしな…足りんだろうな…
あ、いや、でも…
なんだかんだでホットケーキミックスをカゴに入れる。
あとは…生クリームと…
その後諸々の材料を買って店を出た。
「ん」
ん?
姉さんが手を差し出した。
「荷物、持つぞ?」
「大丈夫」
こう…魔法でちょいちょいっと…
あー…魔法科の世界だとこんだけでしょっぴかれるんだっけ?
サイオンセンサー無くて本当よかったわー…
家に帰って調理開始。
テーブルの上で……
目の前には姉さんがいる。
「おい、一夏、何をするつもりだ?」
「え?ナポリタンつくるだけだよ」
作るのはナポリタンだ。
え?ホットケーキミックス使わないのかって?
後で使うよ。
先ずはナポリタンだ…ただし調理器具は使わない。
ただし水を張ったボウルは用意した。
具材と食器以外はそれだけだ。
先ずは魔法で玉葱とかの材料を浮遊させる。
次に茹でてないパスタを一本取る。
圧切…キャスト
圧切をかけたパスタで皮を剥いたり切ったりする。
切った野菜をそのまま浮遊させておく。
次は水を浮かせ…振動系で沸騰させる。
それと同時に具材を集め、ゆっくりと熱していく。
水が沸騰したのでパスタを突っ込む。
具材がいい感じになってきたのでケチャップをかける。
群体制御で具材にケチャップを絡ませる。
パスタが茹で騰がったのでパスタを熱湯から取り出す。
残った熱湯はボウルへ。
そしてパスタと具材を混ぜ合わせる。
十分絡んだら俺と姉さん、それぞれの食器へ…
「はい、完成」
「お前はマジシャンか?」
「魔法師ですが?」
「ああ、うん、そうだったな…」
『ますたーって暇なの?』
『なんで?』
『今のってもろに暇潰しじゃん』
と言われてしまった…
『「魔法調理」…細かい制御の練習にはちょうどいいんだけどな…』
『ふぅん…』
「お、旨いな…」
「そりゃ(柳韻さんの)奥さんに仕込まれたからね」
俺と箒は奥さんに結構料理を習っている。
理由?束さんも姉さんも料理出来ないからね…
あと俺は柳韻さんに、箒は雪子さん(箒の叔母さん)にそれぞれ神主と巫女の仕事やしきたりを習っている…
ヤベェよ…箒が超廃スペック小学生になっちまった…
「そう言えば…お前、今年もやらないのか?」
「何を?」
「巫女神楽」
「ぶふぉっ!げぇっほげっほ!」
突然の姉さんの言葉にむせてしまった。
「そんなに驚く事か?」
「いや、おかしいだろ」
「そうか?お前の舞は綺麗なんだがなぁ…」
俺は柳韻さんに神主としての教育を受けている…
しかし一方で雪子さんに巫女としての教育も受けている…
何故だ!?
「しょうがないだろう?お前から神楽を教わりたいと言ったのがきっかけなのだからな」
くそぅ…あんな事言わなきゃよかった…
篠ノ之神社の巫女神楽…それは神々に捧げる舞であると同時に…
篠ノ之流『剣術』の武舞だ。
一刀一扇…それが篠ノ之神社の巫女神楽、しかし本来は扇ではなく短刀などを持つ。
左手の得物で相手の攻撃を弾き、右手の刀で斬り伏せる。
剣道ではなく、剣術。
剣を操る術、人を殺める術…
俺は強く為りたかった。
いざ、魔法が使えない状況になっても切り抜けられるように…
だから俺は柳韻さんに剣術を習った。
そしてせっかくなので雪子さんに武舞を習った…のだが…
「まさかお前があんなにも化けるとはなぁ…」
白騎士事件以前、俺は雪子さんに言われて試験の名目で巫女神楽を舞った…フル装備で…
刀と扇は勿論、装束を着て化粧をして髪を結ってだ。
『試験』は無論、合格だった…
しかしそれ以来篠ノ之神社の祭りが近くなると雪子さんに躍らないのかと聞かれるのだ。
もう6月だ、そろそろ何か言われる時期だ…
「まぁ、雪子さんも何も言わないし…まだ気にする事じゃないよ。
それより目下の心配事は…」
ジーっと姉さんを見る。
「な、なんだ?」
「いやー…あの白騎士様が生活力皆無とはねぇ…」
「べ、別に関係ないだろう」
プイッとそっぽを向く姉さん。
もう二十歳だというのにこういう仕草の一つ一つが可愛かったりするのだ。
「な、なんだ一夏?」
「いやー?べつにー…」
そう言って食器を下げる。
さて…次は…
「姉さん、デザート食べる?」
「ん?ああ、貰おう」
はいはい…
冷蔵庫から材料を取り出しテーブルに並べる。
「今から作るよ」
先ず卵を数個割って中身を浮遊させる。
卵をときつつ牛乳を多めに入れ更にホットケーキミックスを入れて混ぜていく。
「一夏、何を作るんだ?そんな緩い生地ではホットケーキは作れんぞ?」
「まぁ、見てなって」
次に生クリームを出しこちらも浮かべる。
空気を含ませつつかき混ぜホイップクリームにする。
あぁ、結構疲れるなコレ。
今空中にあるのは滅茶苦茶緩いホットケーキの生地とホイップクリーム。
そして生地を数十に分割する。
そして分割した生地を全て同じ大きさの円にし…焼き上げる。
焼き上がった生地を冷却。
更にホイップクリームも同じ数に分割し少し小さめの円にする。
それらを交互に重ね合わせ…
大皿に乗せる。
この間約三分…普通なら生地を焼くのに十倍以上掛かる。
「はい…ミルクレープ完成…はぁ…疲れた…」
今までは魔法の『威力』ばかりを高めていたが…
今回は繊細な調整が求められた。
ナポリタンはパスタと具材が生煮えだったり焦げたりしないよう、ゆっくりと温度を上げないといけなかった。
ミルクレープは生地を焦がさないよう、最低限の熱のみを発生させなければいけなかった。
うん、疲れたけどいい練習になったな…
切り分けて小皿に乗せる。
「召し上がれ」
「ああ」
ぶっきらぼうだけど頬が僅かに緩んでいた。
ったく…本当にかわいいんだから…
フォークで切り取って口に運んだ。
「どう?美味しい?」
「ああ、旨いな…」
パクパクとミルクレープを食べる姉さん。
やっぱり姉さんも女の子だねぇ…
そう思いながら俺もミルクレープを食べる。
うん、旨い。
その後、他愛ない会話をしたりしてゆっくりしていた。
「姉さん、そろそろ帰るよ」
「そうか…」
あぁ、もう、そんな捨てられた子犬みたいな顔しちゃって…
「また来週もくるよ」
「ああ、待ってるぞ」
うーん…
あ、そうだ!
あー…でもな…ま、いいか…
「姉さん」
「なんだ?」
「姉さんがモンド・グロッソで優勝したら…」
「姉さんの為だけに巫女神楽舞ってあげる」
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