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ドリトル先生と奈良の三山

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第七幕その六

「そうしてきました」
「成程ね、わかったよ」
「宜しくお願いします」
 また先生にお話した白鹿でした。
「そのことを」
「それじゃあね、あとね」
「あととは」
「君は神様の使いと言ったよね」
「はい、先程」
「日本には神様が多いから」
 だからだというのです。
「どの神様かわからないね」
「そういえば日本って神様多いね」
「そうだよね」
「八百万って言うだけにね」
「物凄い数の神様いるよね」
「人も神様になるし」
「どんどん増えていってるし」
 動物の皆も言います。
「一体ね」
「どれだけいるのか」
「ちょっとわからないね」
「そうよね」
「うん、鹿だから春日大社かなと思ったけれど」
 それでもというのです。
「そうとも限らないし」
「はい、私は言うならば大和つまり奈良に座されている神々のです」
「使いなんだ」
「そうなります」
「特に決まっていないんだ」
「そうです、どの神とは」
 そうした立場だというのです。
「奈良の外の神々とは関係がなく」
「あくまで奈良におわすだね」
「神々の使いなのです」
「そして君以外にもだね」
「そうした霊獣はいます」
 そうだというのです。
「奈良、そして日本の各国に」
「都道府県になっても」
「そうです」
 先生に確かな声で答えます、その中性的な声で。
「今も尚です」
「日本の八百万の神々がいて」
「私達もいるのです」
「それが日本だね」
「はい、ただ十月になりますと」
 白鹿はこの月のこともです、先生にお話しました。
「私達は奈良を去る者と留守番の者に分かれます」
「神無月だからだね」
「その時日の本の神々は出雲に集まります」
「島根県にだね」
「ですから私達も奈良の神々にお供をする者とです」
「留守を守る者が出るんだね」
「そうなっています、あと御仏の方々とは」
 仏教の方とはです。
「いつもよくしてもらっています」
「仲がいいんだね」
「非常に」
 そうだというのです。
「そうしています」
「日本の信仰がそのまま表れているね」
「そうなっていますね」
「実際に」
「はい、そして私は飛鳥時代から生きていますが」
 千数百年生きているというのです、神の使いとして。
「その頃にはもう皇室はありました」
「聖徳太子もおられて」
「皇室は私達よりも前からです」
「存在しているんだね」
「本当にどれだけ存在しているか」
 それがというのです。
「わからないのです」
「二千六百年以上というけれどね」
「非常に長い歴史を持っています」
「君が生まれる前からだからね」
「はい、そして皇室は神道にも仏教にもです」
 そのどちらの宗教にもというのです。 
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