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レーヴァティン

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第四十一話 大江山その十

「私はそのお考えを素晴らしいと思いました」
「行うべきか」
「金銀や宝に執着しないそのお考えも」
「必要だとは思う」
 この考えは英雄も否定しなかった。
「ものの売り買い、経済体制の確立の為にな」
「貨幣経済はなくてはならない」
「そう考えているがだ」
「ご自身はですね」
「必要なだけあればいい」 
 これが英雄の貨幣というものへの考えだった。
「多くあるに越したことはないがな」
「他の人のものまでですね」
「奪うつもりもないし奪われたものを返すこともだ」
 また奪われた者に奪われたものを返すという話をした。
「何とも思わない」
「では、でござる」
 今度は智が聞いてきた。
「国としましては」
「国家財政だな」
「はい、そちらについては」
「多ければ多い程いい」
「そうお考えでござるか」
「それだけ政治が助かる」
 だからだというのだ。
「国の金は多ければ多いだけいい」
「そちらについてはでござるな」
「内政や貿易で手に入れるべきだ、ただ」 
 こうも話した英雄だった。
「税は必要でもな」
「それでもでござるな」
「それを重くしては何にもならない」
「重税は民を疲弊させるでござる」
 智もこう言った。
「幾ら国に必要としても」
「そうだ、必要なことは必要だが」
「それが重くてはでござる」
「何もならない」
 国にとってというのだ。
「民が疲弊してはな」
「だからでござるな」
「重くない方がいい、軽い税で民には楽に働いてもらってだ」」
「その働きでより多くの富を生み出してもらう」
「そして田畑を整え商いも盛んにしてだ」
「国を富ましてでござるな」
「国自体を豊かにすべきだ」
 重税よりもというのだ。
「その方が遙かにいい」
「その通りでござるな」
「それが政です」
 謙二もこう言って英雄に賛同した。
「重税に頼るよりも」
「政自体にだな」
「力を注いでそのうえで」
「国を取ますべきだな」
「はい、重税は短いものです」
 そこから多くのものを得られる期間はというのだ。
「そして長い目で見れば僅かです」
「だから軽くしてだな」
「国を富ませればです」
「結果として得られる税も多くなる」
「そうなりますので」
「税は軽くていいな」
「要は国を富ますことです」
 このことが最良だというのだ。
「国に税が必要で銭は多い方がいいですが」
「どうして富を得るかはだな」
「そこからです」
 国を豊かにしてというのだ。
「そうすれば多くの銭が入り」
「その銭をさらに内政に使ってな」
「富を得られます」
「その方がいいな」
「はい、それが英雄の政かと」
「俺は英雄だとは思わないが」 
 自分ではとだ、英雄は仲間達に話した。
「しかしだ」
「それでもですね」
「そうした欲はある」
 政についてはというのだ。
「多くの銭が欲しい」
「それが国の為になるからですね」
「それを手に入れる政をしていきたいしな」
「上手く使うこともですね」
「そうして国を富ましてもいきたい」
「よいお考えかと」
「そして賊を成敗することもだ」
 それもと言うのだった。
「今からだ」
「行きましょう」
「それでは」
 一行はそのまま大江山の館に向かっていった、そうしてそこでまた戦いと出会いを経るのであった。


第四十一話   完


                  2017・11・8 
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