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儚き想い、されど永遠の想い

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305部分:第二十三話 告白その六


第二十三話 告白その六

「土地の買い取りも進めています」
「関西全土のか」
「それも」
「そうです。線路の場所も駅の場所も」
 その双方をだというのだ。
「進めています」
「では資金は」
「それは」
「用意しています。必ずです」
 だからだというのだ。全ての準備ができているからこそ。
「八条財閥はやり遂げます」
「よし、ならばだ」
「我々もだ」
 老人達もだ。その声がだ。
 若返ったかの様にうわずっている。その声でだ。
 義正にだ。言ったのだった。
「君達に協力しよう」
「喜んでだ」
 こうしてだった。会合はだ。
 義正にとって満足いくものになった。それが終わってからだ。
 彼は屋敷に帰った。そこにはだ。 
 真理が待っていてだ。微笑んでこう声をかけてきた。
「御帰りなさいませ」
「うん、只今」
「御待ちしていました」
 笑顔でだ。真理は言ってだった。
 そのうえでだ。彼女はこう義正に話してきた。
「御夕食は」
「それは」
「召し上がられてきましたね」
「実は」
 隠さなかった。真理に対して。
「悪いですが」
「左様ですか」
「けれど。少し小腹が空いたよ」
 微笑んでだ。そういうことにした彼だった。
 そのうえでだ。真理に笑顔で話した。
「だから何か食べましょう」
「はい、それでは」
「僕はお茶漬けを」
 それを食べたいというのだった。食べやすいものをだ。
「けれど真理さんは」
「私は」
「何を食べるのでしょうか」
 微笑んでだ。こう彼女に尋ねた。
「真理さんは真理さんの食べたいものを」
「召し上がって宜しいのですか」
「人はその財政が許せば」
 それならばだというのだ。
「何を食べてもいいですから」
「だからですね」
「そう。そうなったから」
 時代がだ。そうさせたというのだ。
「だから」
「では私は」
「真理さんは?」
「お茶漬けを」
 微笑んでだ。それをだというのだ。
「それを頂きます」
「いや、それだと」
「同じですね」
「それでいいのでしょうか」
 少し戸惑いながらだ。義正は真理に尋ね返した。
「僕はかなり食べてきましたが」
「私は、ですか」
「お茶漬けだとあまり」
 食べられないのではないかというのだ。
「それでもいいのでしょうか」
「おかわりをすればいいですから」
 微笑んでだった。真理は。
 その笑顔でだ。こう義正に答えたのだった。
 
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